七尾線特急以外は289系直流化改造するか、どこに転用していくか?
北陸新幹線敦賀開業後の681系・683系(ここでは以下、総称して「683系」)の今後が話題になっています。
金沢-和倉温泉の「能登かがり火」、大阪-敦賀の「サンダーバード」、米原・名古屋-敦賀の「しらさぎ」の運用だけとなるためです。
「サンダーバード」「しらさぎ」は直流電化区間だけの走行です。
JR西日本は交流電化区間を受け持たなくなり、七尾線津幡-和倉温泉の直流電化の所管に際し、IRいしかわ鉄道の金沢-津幡の交流電化区間に乗り入れるためだけに、交直両用683系を所有することになります。
683系の交直両用性能が活かせる列車は「能登かがり火」5往復のみとなります。
このほかは直流区間のみの走行となります。
現在の能登線特急は「能登かがり火」4往復と、大阪からの「サンダーバード」1往復で、編成両数としては6両編成2往復、3両編成3往復となっています。
大阪-和倉温泉の「サンダーバード」は七尾線では6両編成ですが、これがなくなり、「能登かがり火」だけの運用となると6両編成では輸送力過剰になり、5往復とも普通車のみの3両編成になると思われます。
また、今後の「能登かがり火」5往復の運用自体は2編成で賄えます。
3両編成2組、計6両に加えて、どの程度余剰車を持つかですが、全般検査等を考慮して1編成、多客期の臨時列車増発又は定期編成の増結用(3両×2本で6両編成の組成化)として2編成、計3両編成6組、18両ではないかと想定します。
JR東日本では直流区間だけを走る特急に交直流電車を走らせているか?
ここで参考までに、JR東日本の状況を見てみたいと思います。
直流区間だけを走る交直流電車特急として新井-新潟のE653系「しらゆき」があります。
E653系の場合は、新潟を基準として羽越線村上以北の交流区間に入る「いなほ」にも充当できる名目があります。
最近、羽越線「いなほ」用だったE653系1編成が常磐線勝田に転属したことが話題になっています。
これと同様、「しらゆき」の交直流E653系の充当は、将来の常磐線、東北線等の交流区間転用もできる可能性を含んでいると思われます。
「しらゆき」の直流電車置き換えはE257系により、理論上はいつでもできるからです。
一方、かつての常磐線特急651系交直流車は、交流区間走行がなくなった時点で直流化改造し、東海道線、高崎線、吾妻線で晩年を過ごしました。
その時点で651系の余生をわかってはいたものの、交直流では無駄、不経済であり、保守・維持管理面等の総合判断で直流化改造をしたと想定されます。
「能登かがり火」用以外の683系を直流化改造するか?
681系は1995年から1997年、683系は2001年から2011年の製造です。
681系は別として、683系は今後多くの車両が直流化改造、289系化されるのではないかとの話題を耳にするようになりました。
683系はまだしばらくは活躍すると思われますが、交直流車のまま直流区間を走行するかどうかをJR西日本は選択することになります。
「能登かがり火」の特急運用と、金沢から大阪まで、第三セクター路線を走行しながら回送による大阪への検査入場を除けば、交流区間走行の可能性がなくなるため、今後の長期運用、交流機能の保守・維持管理を考えれば289系直流化改造されていくと考えられます。
最終的に交直流車の683系で残るのは「能登かがり火」だけになりそうです。
289系直流化改造後の転用先は?
伯備線「やくも」381系の置き換えは振り子式の273系になり、683系の転属の可能性はなくなりました。
ただし臨時列車としては、振子機能はなくとも289系を充当する可能性はあると思われます。
JR東日本の「あずさ」E353系に対する、臨時列車用E257系と同じ考え方です。
紀勢線「オーシャンアロー」283系18両の置き換え充当が一番の候補です。
289系の改造を待たなくても、683系交直流車のままでとりあえず置き換えることも考えられます。
それ以外では関西空港「はるか」増発用としての683系(289系)充当が考えられます。
海外旅行の復活は「はるか」にとって追い風です。
281系、271系に加えて289系を投入してくるのではないかと思われます。
「はるか」は関西空港-京都だけでなく、北陸新幹線敦賀接続を考慮しての関西空港-京都-敦賀の設定や、関西空港-京都-野洲・草津・米原への設定、あるいは関西空港-新大阪-神戸-姫路なども考えられます。
「はるか」の増発が阪和線の線路容量等で困難ならば、289系投入により「はるか」と「くろしお」を日根野まで併結する方法も考えられます。
おおさか東線大阪-奈良の「まほろば」、関西線(大和路線)、奈良線経由で大阪-天王寺-奈良-京都の特急設定も余剰車活用として可能性はあるかと思われます。
瀬戸大橋線岡山-多度津・琴平の臨時列車充当、団体列車への改造充当、117系「WEST EXPRESS」第2段の列車充当の可能性も皆無ではないと思います。
北陸の第三セクター4路線一体で683系1編成を購入する可能性は?
あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道はJR西日本の521系を受け継いでいます。
敦賀-大聖寺を受け持つハピラインふくいも521系を引き継ぎます。
えちごトキめき鉄道は、直流区間の妙高高原-直江津(妙高はねうまライン)ではJR東日本E127系を引き継いでいますが、交流区間の直江津-市振(日本海ひすいライン)はET122形気動車を新製投入しました。
ET122形にしたのは、521系2両編成では輸送力過剰であり、気動車1両の方が身軽で経済的であり、輸送実態とも一致しているためです。
また、糸魚川-梶屋敷の交直流切り替え地点に新駅を設けた、えちご押上ひすい海岸駅なども、521系では成し得なかいET122形ならではの芸当です。
えちごトキめき鉄道の413系・455系、あいの風とやま鉄道の413系といった国鉄型交直流電車の話題と集客力効果は広く知られているところです。
その効果は国鉄型車両だからこそではありますが、683系自体も交直流特急電車として貴重な文化財と考えれば、敦賀-直江津の北陸4社の第三セクター路線共同で683系1編成を購入し、イベントで5社路線を走り回ることは考えられないでしょうか。
また、その4社にかつて、681系で時速160km/h運転の栄光列車として走行していた北越急行を加え、計5社で683系3両1編成を購入するのはどうでしょうか。
敦賀-直江津-十日町で団体列車企画を立て、富山、直江津での413系・455系と同じ成果を期待するものです。
必ずしも敦賀-十日町の5社全区間でなく、敦賀-金沢、富山-直江津、市振-十日町など2社での設定も考えられます。
北陸新幹線と在来線との相乗効果として、5社間で検討されてはいかがでしょうか。
683系がどのような動きをしていくか、「サンダーバード」「しらさぎ」は683系のままか、289系化されるか、他の路線にどのように転配、改造されるか、今後の状況を注視していきたいと思います。
※写真は本文と無関係です。