銚子電鉄社長の印象的な言葉を振り返りながら、同電鉄発展に向けての拙提案をします
2023年7月5日、千葉県の銚子電鉄が会社設立百周年を迎えました。
鉄道路線としてもさることながらぬれ煎餅、たい焼き、まずい棒などの副業成果も広く知られているところです。
銚子電鉄は7月9日(日)に開業100周年を記念して鉄道関係や飲食のブース等をそろえて、犬吠駅で「銚電まつり」を開催し、電車運賃を無料にするサービスを行なっています。
7月8日に銚子電鉄社長、広島電鉄社長、スプリング・ジャパン社長とともに100周年記念イベントが銚子駅で行なわれました。
通行手形「タブレット」をバトンに見立て昨年、宮島線開業100周年の広島電鉄から銚子電鉄に引き継がれました。
鉄道経営悪化の中で、副業として始めたぬれ煎餅や鉄道グッズなど副業の売上高で過去最高を記録し、鉄道事業の大幅赤字などのマイナス要因を補っい、2期連続黒字で百周年の偉業を達成しました。
NHK解説委員室「竹本勝紀『ローカル鉄道の生き残る道』」から
印象に残った言葉が数多くありました。
ごく一部を要約してみます。
〇 どうすれば集客に成功し、地域経済に貢献できるのかの問いに対する一つの答えが「乗って楽しい日本一のエンタメ鉄道」を目指そうという方向性。
〇 エンタメ鉄道化に向けての取り組みは、ここ数年、積極的に行ってきたところで、例えば車内に色とりどりの装飾を施したイルミネーション電車やバルーン電車、8年前に始めたお化け屋敷電車。
〇 線路や車両など鉄道資産の維持には多額の費用が掛かり、(保守、維持管理の)費用を捻出するには運賃収入やイベントの売り上げだけでは賄うことはできないこと。
〇 たい焼きの販売、次いでぬれ煎餅の製造販売、5年前には「経営状況がまずい」を逆手に取ったスナック菓子の販売。
〇 今では総売り上げの8割近くがお菓子という「おかしな鉄道会社」と言われている。
〇 「ぬれ煎餅買ってください。電車修理代を稼がなくちゃいけないんです」というネット上での呼び掛けがメディアで取り上げられ、これをきっかけにぬれ煎餅の売り上げは倍増、銚子電鉄の名は全国に知られることとなり、間一髪で倒産を免れることができたこと。
〇 ローカル鉄道が多くのお客様をその地域にお呼びして、地域経済におけるハブの役割を果たすこと。
〇 様々なイベントの共催や共同商品の開発も重要な使命。
〇 ロマンティシズムで乗り越えられるほど現実は甘くない。
〇 鉄道を残すために鉄道以外の事業で収益を上げることにも積極的に取り組み、副業において一定収益を上げる。
2年連続黒字の偉業達成の実績があるだけに説得力、含蓄のある言葉が連続します。
経営状況は異なっても他の鉄道会社にも参考になる内容と感じました。
「鳥塚亮の地域を元気にするブログ」によりますと、えちごトキめき鉄道鳥塚社長と銚子電鉄竹本社長が7月29日に新潟県上越市でトークショーを開催します。
さらに2次会では納涼列車に乗車し、一緒にビールを飲む「ぶらり途中下車の旅」を企画する内容です。
両社長からの直接経営秘話を聞くには好機です。
◆銚子電鉄の一層の発展に向けての拙提言
銚子電鉄社長の手腕の前では筆者の鉄道誘発策など釈迦に説法であり、同電鉄について書くことなどはばかってしまいますが、以下に順不同で書きます。
〇 銚子電鉄全10駅に下車し、全駅周辺を周遊した達成者への記念品
全10駅に下車し、次の電車まで駅周辺を散策、買い物等をして過ごします。
弧廻手形(1日乗車券)でサービス券が付いていますが、ここに別の記念品(銚子電鉄のクリアファイル進呈等)を追加するものです。
待ち時間の効率上、途中での逆戻りも有効とします。
〇 小湊鉄道、いすみ鉄道から銚子電鉄への乗り継ぎ共同企画切符
千葉→内房線→五井→小湊鉄道→上総中野→いすみ鉄道→大原→外房線→大網→東金線→成東→総武線→銚子→銚子電鉄→外川→銚子→千葉の経路で、小湊鉄道、いすみ鉄道、JR東日本とも併せて銚子電鉄への乗り継ぎ共同切符を企画するものです。
逆コースも可とし、乗り換え接続時間を考慮して有効期間は2日とします。
この経路は途中で東金線に乗車します。
JR東日本の千葉県内路線として、東金線は目立たない位置にあるため、東金線経由を目立たせ、東金にも下車する気持ちを起こさせることも同線及び東金市に有益と思います。
〇 駅名愛称のネーミングライツについて
2015年12月1日からネーミングライツによる新駅名愛称の運用を行ない、成果を上げています。
ただし、新駅名愛称を前面に出すあまり、駅名標や駅舎で、本来の駅名を分かりにくくしているのは実用性、公共交通機関の駅名として疑問が残ります。
新駅名愛称の下に実際の駅名がある表記方法ですが、実際の駅名について、文字の色を変えるとか、黒文字を別の色で囲うなど、明確にした方がよいと考えます。
また、新駅名愛称だけの表記として、実際の駅名をまったく出さないのは実用的な配慮に不足があります。
収入確保の取り組みは理解できますが、あまりの遊園地化は一考の余地があると思います。
〇銚子電鉄ホームページの「アクセス」ページについて
「千葉駅で総武本線に乗り換えていただきますが、運行は1時間に1本程度です。」
「千葉駅や成田駅から成田線でも銚子まで運行しておりますが、運行本数が少ないことと、総武本線よりも銚子駅まで時間がかかりますのでご注意下さい。」と表記されています。
しかし、いささか消極的な表現が気になります。
「千葉駅で総武本線にお乗り換えです。約60分間隔で運転しています。」
「総武線のほか、成田線成田、佐原経由でも銚子に向かうことができます。運転時間と、総武本線よりも若干時間がかかることにご留意ください。」としてはいかがでしょうか。
〇 言葉遊び
・「銚子いいぞぅ、銚子電鉄いいぞぅ」のスローガン
・銚子市長、市長銚子
・音楽はCD、銚子電鉄の各駅もCD
・仲ノ町の中
・寿司にシャコあり、仲ノ町に車庫あり
・鉄観音茶の観音、観音様の観音
・観音の音感
・笠上黒生、アルコールは黒生(くろなま)、地区は黒生(くろはい)
・鹿島の海から、海鹿島へ
・海鹿島(あしかじま)、難読駅名でも駅は優しい
・君(きみ)が君ヶ浜へ
・外川か?と(とかわかと)
・犬吠で犬吠える?
・和歌と川(※和歌外川(わかとかわ)の回文)
・飯山線の列車はTOKYOを逆にしたOYKOTで「おいこっと」、外川はTOKAWAを逆にそてAWAKOT、「あわこっと」
(※NHK解説委員室「竹本勝紀『ローカル鉄道の生き残る道』2023年01月09日 (月)」、えちごトキめき鉄道社長(いすみ鉄道前社長)鳥塚亮の地域を元気にするブログ 2023年07月05日『祝!百周年 銚子電鉄』」を参考にさせていただきました。)