平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

静岡県内の東海道本線に快速がないのは並行私鉄がないから?(その2)

JR東海普通列車に対する考え方と利用者側の受け止め方の差異

昨日(2023年7月23日)の拙「静岡県内の東海道本線に快速がないのは並行私鉄がないから?」の続編です。

今回は、東海道線の数値を中心に見てみます。

 

東海道線の主な区間別の総キロ数、途中駅、平均駅間距離数、平均所要時分

JR東海の所管する熱海-米原を主要駅で区切ってキロ数、駅数、駅間平均距離、平均所要時間を見てみました。

各駅停車列車が基本ですが、一部区間は特別快速または特急の平均的な停車距離と時間も併記しました。

〇 熱海-沼津:21.6km、3駅、平均駅間7.2km、18分

〇 沼津-富士:20.0km、5駅、平均4.0km、18分

〇 富士-静岡:34.0km、9駅、平均3.8km、34分

 ※ 特急は2駅、平均17.0km、25分

〇 静岡-浜松:76.9km、17駅、平均4.5km、1時間11分

〇 浜松-豊橋:36.5km、8駅、平均4.6km、33分

〇 豊橋-名古屋:72.4km、26駅、平均2.8km、1時間23分

 ※ 特別快速6駅、平均12.1km、53分

〇 名古屋-岐阜:30.3km、6駅、平均5.1m、30分

 ※ 特別快速2駅、平均駅間15.1km、19分

〇 岐阜-米原:49.6km、9駅、平均5.5km、50分

 ※特急は2駅、平均24.8Km、36分

 

沼津-豊橋の平均駅間距離4.3kmをどう見るか?

沼津-豊橋に絞ってみると合計の距離167.4kmを、(同)駅数39駅で除算すると平均駅間距離は4.3kmとなります。

静岡-安倍川は4.3km、浜松-天竜川は4.4kmで、沼津-豊橋全体の平均駅間距離と一致するので、一つの目安の距離となります。

この4.3kmの距離を長いと見るか、短いと見るかによって快速の必要是非の見解が分かれます。

4.3kmが一般的な快速停車駅の駅間距離と受け止めれば、普通列車といっても快速のようなものと受け止めることもできます。

 

東海道線豊橋-岐阜の状況

豊橋-岡崎は、快速(新快速、特別快速を含む)の本数は多いですが、日中の各駅停車列車自体は毎時2往復にとどまります。

豊橋-名古屋の26駅、駅間平均2.8km、1時間23分と、特別快速の6駅、駅間平均12.1km、53分の違いは明らかですが、利用の多い駅の連続性と、通過駅の乗車機会の減少との兼ね合いという鉄道側の話とは整合するでしょうか。

 

豊橋-岐阜の一部の乗車人員数値を見てみます。

収集データ年度が駅により異なりますので(2019・2020・2021年度の3種)予めご承知ください。

【快速停車駅(一部のみ)の乗車人員】

豊橋28,783人、三河三谷1,607人、蒲郡6,309人、幸田3,445人、岡崎18,555人、安城9,336人、刈谷36,528人、大府12,004人、金山52,408人、尾張一宮27,069人

【快速通過駅(一部のみ)の乗車人員】

西小坂井811人、愛知御津1,063人、三河大塚985人、三河塩津1,291人、三ケ根821人、相見1,313人、西岡崎1,898人、三河安城5,612人、東刈谷5,487人、野田新町2,652人、逢妻2,480人、大高4,268人、笠寺6,277人、熱田3,046人、尾頭橋3,745人、枇杷島4,274人、清州4,138人、稲沢9,023人、木曽川4,299人

 

こうして見てみると、豊橋-岐阜の快速停車駅は乗車実績人数もありますが、沿線各市の代表駅を中心とした停車です。

乗車人員が多い駅であっても、名鉄との競合上、快速は通過で割り切った駅も多く見られます。

昨日の記事の、鉄道側の話で、利用の多い駅と少ない駅との境い目は、はたして何人の乗車人員で線を引いているのかは不明ですが、豊橋-岐阜を除いた話と理解します。

豊橋-岐阜は、名鉄との競合を表面に出さず、名古屋を基点に一定距離までは快速による速達設定がサービスというのがJR東海の対外的理由と考えられます。

名古屋-豊橋で速達を求める人が、東海道線に快速を設定しなかった場合、東海道新幹線に足が向くかといえば特急料金の関係上、名鉄を選択するためです。

 

快速未設定の背景に、並行私鉄がないことのほかにもまだ理由はある

静岡-浜松と、浜松-豊橋の直通列車本数を見ると、いずれも日中は毎時3往復です。

静岡-島田、浜松-掛川の本数は多くとも、島田-掛川が毎時3往復にとどまっているためです。

毎時3往復、平均駅間距離4.3km、並行私鉄なし、速達は新幹線ということを総合的に考慮すれば快速は不要というのがJR東海の考え方と思われます。

仮に快速を設定したとしても通過駅が少なくなります。

かつてのJR東日本東海道線快速「アクティー」のように、東京-熱海20駅のうち、通過駅は辻堂、大磯、二宮、鴨宮の4駅のみで、残16駅は停車ということでは快速の意義がほとんどありませんでした。

熱海-豊橋、岐阜-米原の快速設定は「アクティー」と同じ結果を招くと考えられます。

その前に、上記2区間に快速を設定すると新幹線から快速への転移、青春18きっぷ利用が集中し、JR東海の収入増に貢献しないどころか、新幹線の利用減、減収になる懸念があるとみられます。

 

静岡-豊橋では、毎時3往復程度の需要と駅間距離4.3kmを考え合わせれば、快速設定により先行列車を途中で追い抜くダイヤを組んでも結局、先行列車に乗る人が減るだけの現象を生むこと、それなら各駅停車4往復の方がよいが4往復にするだけの需要もないという、各種様々な理由が重ね合わさっての判断結果と考えられます。

青春18きっぷ利用者にとっては、JR東海普通列車に対する姿勢、JR東海という会社が好きか嫌いかによっても静岡県内の快速未設定の評価、受け止め方が主観的に変わってくると思われます。

 

※写真は本文と無関係です。