平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

横須賀線東逗子-久里浜のホームドア未設置に隠れた諸事情を探る

E235系基本11両編成の位置のままホームドアを設置すれば済む話ではなかった

昨日の「JR東日本首都圏のホームドア整備対象区間と駅乗降客数の関連を見る」の続編です。

今回は、東京の電車特定区間内にあって、グリーン車付き11両編成も発着しながらホームドア整備対象から除外された横須賀線東逗子-久里浜の状況を考えてみたいと思います。

当内容は2022年10月30日付け、拙「横須賀線付属5両 成田側変更予測」と重複する箇所があります。

また、毎回のことですが、筆者の予測には何の裏付け根拠はありませんので予めご了承ください。

 

昨日の再掲になりますが、同区間内各駅の乗降客数は次のとおりでした。(単位:人)

東逗子8,300、田浦3,876、横須賀8,392、衣笠13,748、久里浜10,470(※逗子44,574、鎌倉64,648、北鎌倉14,276)

この数値から見ると、東京の電車特定区間ではあっても、東逗子-久里浜よりも乗降客数が相当多い東海道線藤沢-平塚に振り替えたと見ることもできそうです。

しかし乗降客数の違いだけでなく、東逗子-久里浜間特有の事情があると思われます。

 

1 田浦駅のドアカット事情

田浦駅ホームの長さの事情によるもので通称、ドアカットと言われています。

田浦駅ホームは前後のトンネルに挟まれた構造で、基本11両編成の停車時は、一番前の車両の全てのドアと前から2両目の一番前、計5枚のドアが上下列車ともに締め切られ、ドアが開かなくなっています。

ここにホームドアを設置する場合、計5枚分がホームドアを置かない構造になります。

10両編成の場合でも、先頭車両の1枚目だけはドアカットという珍しい事態になります。

そのドアカットの特殊性と1日の乗降客数から、同駅でのホームドア設置を見送る、東逗子-久里浜のホームドアを見送る一つの要因と考えられます。

 

2 付属4両編成列車の停車位置の事情

ホームドアのない東逗子-久里浜では、4両編成列車は階段に近い位置に停車すれば話は済みます。

今後、ホームドアを設置する場合、基本編成の11両停車位置に合わせての設置となります。

基本編成は4・5号車がグリーン車2扉のため、4両編成列車がホーム中央付近に停車するとグリーン車の停車位置と重なると考えられ、そこではホームドアの数が2扉配置では不足することになります。

この場合、ホームドアを11両分全部4扉化して設置し、基本編成発着時はグリーン車2両のホームドアだけは中央部2扉を開閉しない方式になります。

経費面や取り扱いの簡便さの視点で見れば、基本編成6~9号車位置に4両編成が停車することがもっとも容易な方法ですが、横須賀駅のような久里浜側に改札口がある駅では遠くなりすぎます。

 

3 通勤形10両編成とグリーン車付き15両・10両編成の同一ホーム事情

横須賀線電車は逗子から湘南新宿ラインの電車と重なり、武蔵小杉からは埼京線、相模線とも重なる線路を走ります。

埼京線と相模線は普通車のみの10両編成、湘南新宿ライングリーン車付き15両または10両編成です。

埼京線と相模線の相互直通列車は、湘南新宿ラインと新宿-大崎-武蔵小杉で重なります。

今後、埼京線横須賀線の池袋・新宿・渋谷・恵比寿・大崎・西大井・武蔵小杉の7駅のホームドア設置にあたっては、ホームドア15両分の全4扉化、グリーン車停車位置だけは中央部2扉を未開閉も可能な方式とすることが必要です。

 

4 横須賀線だけが異なる基本編成と付属編成の連結位置の事情

湘南新宿ライン横須賀線グリーン車位置は、表面上は同じ4・5号車ですが、付属編成の連結位置と車両数が異なります。

付属編成を見てみると、湘南新宿ラインは大宮側に連結、11~15号車の5両編成です。

これは東海道・高崎・東北(宇都宮)・常磐の各路線も同じです。

横須賀線総武快速線の付属編成だけが久里浜側に連結し、増1~増4号車の4両編成です。

ちなみに「増」は「まし」と案内しています。

15両編成でのグリーン車位置は、湘南新宿ライン等は久里浜側に寄った位置ですが、横須賀線は編成の中央になります。

横須賀線グリーン車は、湘南新宿ライン等で言えば8・9号車の位置になり、最大4両分、位置がずれます。

 

今後もずっと湘南新宿ライン横須賀線グリーン車位置が異なることは、ホームドア設置において望ましくないことは明らかです。

ホームドア設置計画の最終、2031年度末までには横須賀線電車が湘南新宿ラインと同編成の構成に合わせると考えるのが自然です。

すなわち横須賀線列車の基本編成を久里浜側、付属編成を成田空港側に入れ替えると想定します。

 

5 横須賀線だけが異なる基本編成と付属編成の両数事情

上記、基本編成と付属編成の位置の入れ替えの際、横須賀線だけ基本11両編成、付属4両編成という構成も課題になります。

背景の一つとして、逗子-久里浜単独折り返し運用は編成が短い方がよいという、113系時代からの考え方の踏襲があると考えます。

113系では、付属は4両編成しか組めず3両、5両編成は想定していませんでした。

国鉄末期の211系以降及びJR東日本E231系以降は、2M3Tの5両化を行ないました。

それにより東海道線等、ほとんどの中距離電車113系115系415系を含みます)の基本11両+付属4両から、10両+5両に変えたものの、横須賀線だけ11両+4両にこだわって踏襲しているのが実態と思われます。

E217系登場時はまだしも、増備新製中のE235系でも11両+4両で踏襲しています。

 

基本編成だけの列車では横須賀線総武快速線では10両でなく11両編成が必要なのか、逗子-久里浜折り返しは5両でなく4両の必然性があるかということになります。

東海道線高崎線等でも基本編成だけの列車運用では10両よりも11両編成の方が混雑緩和には役立つはずです。

しかし編成管理の効率化等から10両+5両にしているとも思われます。

横須賀線総武快速線だけ11両+4両のまま継続することは非効率と思われます。

ホームドア設置を機に、編成順序の入れ替えと併せて、10両+5両の編成両数変更を行なうと想定します。

東逗子-久里浜折り返し運用が5両編成では無駄という議論は常磐線水戸線東北線黒磯-新白河でのE531系にも言えることです。

常磐線15両編成の組成時に10両+5両で判断した結果を受けたものであり、東逗子-久里浜だけ4両にこだわる必然性はないと考えられます。

逆説的に言えば今回のホームドア設置計画は、基本・付属編成の位置と車両数を首都圏ですべての路線と整合できる好機とも言えます。

 

なお、この件についてJR東日本では一切コメントをしていません。

万一、横須賀線の基本編成と付属編成の位置、11両+4両のまま、新宿-大崎-武蔵小杉-逗子ではグリーン車のホームドア位置を10両+5両との2種類の構成で設置するのか断言はできませんので、ご了承ください。