さわやかウォーキングに力を込めるJR東海の在来線積極誘導
JR東海が2023年8月21日付けで「『さわやかウォーキング』(9月~12月)の開催について」をニュースリリースしました。
JR東海は以前から「さわやかウォーキング」に力を入れており、今回も全体で83コースという驚異的な設定数です。
大きく分けて、① どこ行く家康コース、② 食「祭」ウォーキングコース、③ ブルーリボン賞受賞記念コース、 ④ゼロカーボンコース、 ⑤中山道ぎふ17宿コース、⑥曽路エリア観光PRイベント、⑦「そうだ 京都、行こう。」ウォーキング、以上の7コースがあり、それぞれに細分化された合計が83コースとなります。
具体的なコースマップは、各コース開催日の約1週間前からの公開となっていて、実施は9月のため現在はコースの詳細情報は不明です。
今回は、JR東海の「さわやかウォーキング」の意見、感想等を書きたいと思います。
「さわやかウォーキング」のPDFパンフレットを見る
各コースのスタート駅、スタート受付時間、ゴール駅、コース距離、経路が想定しやすい各コース名称、豊富なカラー色の使い分け、マークの区分け、写真。イラスト等、秀逸な内容です。
行きたくなる気分にさせる効果が十分あります。
「さわやかウォーキング」のコース設定数のこれまでの経過を見る
JR東海は「さわやかウォーキング」に以前から力を入れています。
東海道線を中心とする在来線利用の促進意欲が感じられます。
他のJRを圧倒するコースの数、対象駅数、内容が盛り込まれています。
ここで、これまでの「さわやかウォーキング」のコース設定数を見てみます。
JR東海が当初に公表したネット情報からの数値ですが、実際に行なわれたコースの数や内容は確認できなかったことを予めご了承ください。
2021年春は38コース、2022年春は66コース、同年秋は89コース、2023年春は70コースでした。
また、「さわやかウォーキング」とは別に、「TOICA de ウォーキング」として2021年春に12コース、秋に13コースがありました。
コロナ禍の時期は数を減らしていましたが、2022年秋の89をピークに、今回も83のコースの数には圧倒されます。
乗降駅はどの程度あるか?
83コースゆえにスタート、ゴール駅も多彩です。
スタートとゴールが同じ駅と異なる駅とがあります。
ここでは路線別の駅数を見てみます。
〇 東海道新幹線単独駅:2駅(品川、京都)
〇 東海道線:33駅
〇 御殿場線:3駅
〇 身延線:4駅
〇 飯田線:5駅
〇 中央線:9駅
〇 関西線:3駅
〇 参宮線:1駅
〇 紀勢線:4駅
〇 高山線:6駅
〇 太多線:1駅
〇 伊豆急行:1駅
〇 伊豆箱根鉄道:1駅
〇 遠州鉄道:2駅
〇 豊橋鉄道:1駅
〇 長良川鉄道:1駅
〇 京都市営地下鉄烏丸線:1駅
〇 篠ノ井線:1駅
※ 近鉄京都線:1駅
※ 奈良線:1駅
※の近鉄京都線、奈良線の駅は、パンフレット上では京都駅に包含されます。
「一度は歩きたいまち伏見~名水と銘酒に出会い歴史をたどる~」
12月9日に京都駅スタートの表記コースがあります。
この案内の中で、
※交通費【近鉄京都線(京都駅~伏見駅間)片道】おとな240円、こども120円
※コースマップは伏見駅でも配布します。
との説明が小さな文字で併記されています。
近鉄京都線と奈良線については、パンフレットの地図上では京都駅で表記していますが、京都駅の下側に近鉄京都線伏見駅と、JR奈良線桃山駅が表記されています。
コース内容を見ると、京都駅ですぐにウォーキングに入るわけではなく、近鉄で伏見駅まで移動してからのスタートであり、ゴールは奈良線桃山駅となっています。
京都でスタートして、近鉄で伏見駅に移動しての実質的なスタートとなる形で、スタートは伏見駅でなく京都駅です。
ただし地図の表記はスタート駅のみのため、桃山駅は小さめに表記しています。
在来線で京都に向かうと、米原-京都がJR西日本になるため、京都でのスタートにあたり、名古屋から京都へは新幹線で向かってほしいことの暗示が感じられます。
興味深いJR東日本の篠ノ井線明科駅、JR西日本の奈良線桃山駅の乗降
JR東海は東海道新幹線の大きな存在から、JR東日本、JR西日本との非協調を感じることがあり、拙ブログでも何回か触れてきました。
今回の「さわやかウォーキング」で、篠ノ井線明科駅でのスタートとゴール、奈良線桃山駅でのゴール駅設定には驚きがありました。
さすがにJR東日本とJR西日本の会社名までは表記しませんでしたが、JR東海の垣根を超えた乗降駅の設定は注目されます。
ただし、先程の京都伏見コースの案内で、近鉄の京都-伏見の運賃案内はありますが、ゴール駅の奈良線桃山から京都までの運賃は省略されています。
往路運賃を表記して帰路運賃がないのは不自然に感じますが、こうしたところにはJR東海のJR西日本に対する距離を感じさせます。
ゴール駅だから省略ということだけではないと思います。
2023年春まで「鉄道満喫コース」があった
2023年春までは「さわやかウォーキング」の中に「鉄道満喫コース」がありました。
鉄道ファンに喜んでもらいたい配慮のあった企画でした。
これまでの「鉄道満喫コース」を振り返ってみます。
ここではテーマ名のみを表記します。
〇 「市電の日!路面電車沿線ウォーク~豊橋競輪場バンク特別開放~」
〇 「JR貨物静岡貨物駅初公開!! 静岡車両区も巡る鉄道満喫ウォーク」
〇 「四日市けいりんバンク特別開放と四日市の鉄道・バスグッズマルシェ第二弾!!」
〇 「高山の『飛騨の里』で古き良き時代に思いを馳せる」「高山の街並み散策と寺院めぐり」でのHC85系車両を高山駅に展示。
〇 名古屋工場の一部公開やJR貨物、富士駅での機関車やコンテナの見学
〇 「親子で楽しもう!静岡の鉄道満喫ウォーキング」での新幹線柚木保守基地や、在来線静岡車両区、JR 貨物静岡貨物駅、静岡鉄道長沼車庫の見学
2023年秋は実施しない「鉄道満喫コース」
「鉄道満喫コース」はJR東海ならではの企画と思いますが、2023年秋に見当たらなかったのは残念です。
ほかに豊富なコースがあるからとはいえ、「鉄道満喫コース」の実施がないのは鉄道ファンとして惜しまれます。
今回、 「どこ行く家康コース」その他、豊富な内容ではありますが「鉄道満喫コース」を一つでも行なってほしかったところであり、今後の復活を望みたいところです。
そんな中で、明科駅における、旧国鉄篠ノ井線廃線跡ウォークは、鉄道ファンには嬉しい内容であり、「ごてんば線まつりと秋の食探訪」もかつての御殿場線に触れることができます。
間接的な「鉄道満喫コース」としてPRしてもよいように思います。
東海道線垂井駅がコースに含まれていますが、下りの特急と貨物列車が走行する通称新垂井線、旧新垂井駅跡地を巡るコースも加えてほしいところです。
東海道線沿線のローカル鉄道で1駅ずつ「さわやかウォーキング」を設定してはどうか
今回、伊豆急行線、伊豆箱根鉄道、遠州鉄道、豊橋鉄道、長良川鉄道、京都市営地下鉄烏丸線の沿線駅で「さわやかウォーキング」の起点駅が設定されています。
東海道線沿線に「さわやかウォーキング」の起点駅が33駅設定されています。
東海道線の利用実績の余力を活かして岳南鉄道、大井川鉄道、天竜浜名湖鉄道、愛知環状鉄道、城北線、あおなみ線、伊勢鉄道、樽見鉄道、養老鉄道、三岐鉄道北勢線・三岐線、近江鉄道などにも1駅設定してほしかったところです。
それがJR東海とローカル私鉄との相互の鉄道利用促進や発展にもつながっていくのではないでしょうか。
※写真は本文と無関係です。