平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

「サンライズ出雲・瀬戸」の今後を予測する

285系廃止後のJR他社乗り入れ継続、余剰683系による後継があるか

Merkmal(メルクマール)、2023年10月10日付けの「サンライズの奮闘は『反転攻勢の兆し』なのか? 今後にあまり期待しない“控えめ夜行列車論”を語ろう」を拝見しました。

冒頭で「夜行列車の存在意義を、これまでの議論をおさらいしつつ、今回はより冷静に、控えめに、あまり期待せずに見つめて」「実用的な夜行列車の存在意義は、『現代においてはほぼなくなった』」とあり、「サンライズ」だけでなく夜行列車全体の衰退について、主情を交えない視点での展開が特徴です。

 

最後の部分で「せっかく好評を博しているサンライズが末永く走ることを考えたい」と、今後長く列車が走るための提案がなされます。

その記事の最終部分から一部を引用させていただきます。

(以下引用)

サンライズを他路線にも」という議論が現実的とは思われないのか。それは、国レベルの政策が伴わないからだ。

 欧州では近年、夜行列車が復権しつつある。日本同様、鉄道の高速化や航空機の普及で一時は衰退したが、温室効果ガスの排出削減効果が評価され、航空機や自家用車などに変わる存在として見直されたのだ。2023年もオーストリア鉄道の夜行列車ブランド「ナイトジェット」が新路線を開設した。

 一方、日本では東京~関西や東京~東北などに毎晩、複数の夜行バスが運行されているが、それらを環境問題の観点から鉄道に転換しようという動きは見られない。

 幸い近年のサンライズは好調のようだが、そろそろ列車単体の営業成績で改廃を決めるのとは別の評価基準を、見いだす必要があるのかもしれない。それは夜行列車にとどまらず、「鉄道の価値」そのものを見直す視点ともいえるだろう。

(以上引用)

 

国レベルの政策が伴えば夜行列車は残ったか

サンライズを他路線にも」という議論が現実的とは思われないのは、国レベルの政策が伴わないから、として、国の政策、欧州やオーストラリアでの夜行列車の復権を例として、日本でも「列車単体の営業成績で改廃を決めるのとは別の評価基準を、見いだす必要」や、鉄道の価値そのものを見直す提言をされています。

最後の段で国の政策を展開されましたが、国の政策が伴えば夜行列車は残っていたかどうかはまた別の議論と思われます。

そのことは「夜行列車の優位性だったはずの有効時間帯も、列車の運行を続ける理由にはならなくなった。何しろ、その“優等生”だったはずの銀河さえ、廃止(2008年)されてしまった。夜行列車の存在は、徐々に現代人の生活習慣から遠ざかり、 「旅行の選択肢にさえ上がらない輸送機関」 となってしまった」と本文で書かれているとおりです。

寝台車両設備の陳腐化や寝台料金関係も夜行列車離れの要因でしたが、最大の理由は新幹線や飛行機の定着、時間の効率性等により、利用者側が夜行列車を選択しなくなったことによります。

JR側で夜行列車より新幹線に力を入れたこともそれに加わります。

また旅客運営が東海道線において、JR東日本JR東海JR西日本の3社に分かれ、東京-九州の寝台特急ではさらにJR九州も加わるため、4社の思惑が異なり、利害が一致しなかったことも背景にあると考えます。

「あけぼの」のようにJR東日本だけを走行する列車もありますが、上野-秋田・青森では途中で1回の乗り継ぎを含めてでも、大部分の人は新幹線を選択する方に流れていった、または飛行機や夜行バスを選択し、いずれにしても「あけぼの」は選択されなかったと思われます。

 

国の政策、バックアップがあれば「サンライズ」は残り、東京-山陰・四国移動時は「サンライズ」に乗ろうということになるか、山陰・四国以外の区間でも同様のことが言えるかどうかは、実用性の視点からは困難と思います。

実用性とは離れた別の行楽主体の夜行列車として、JR東日本が「四季」、JR西日本が「瑞風」、JR九州が「ななつ星in九州」のクルーズトレインの道を選択したと受け止めています。

 

JR各社から見た「サンライズ」の位置づけを想定する

以下は、JR各社から見た現在の「サンライズ」の位置づけを勝手に想定してみたものです。

サンライズ」誕生時の1998年の状況には触れていません。

筆者の想像であり、何の根拠もありませんので予めご了承ください。

 

◆ JR東海の立場から見る

毎時最大12往復の「のぞみ」がある中で、夜行「サンライズ」1往復があっても非効率と思われます。

少なくとも今後、285系の後継車があるとすれば、JR東海が車両を2編成分持つことだけはなくJR西日本に移管すると考えられます。

 

◆ JR東日本の立場から見る

自社区間が東京-熱海に限られ、基地滞留時間、車両整備時間の方が長く、効率がよいとは言えないと考えられます。

国鉄時代からの東京-九州、山陽、山陰夜行の伝統、栄光時代の名残で、一肌脱いでJR西日本と「サンライズ」に協力しているように見受けられます。

JR東日本としては車両基地の有効活用面からは課題があるものの、かつての長距離夜行列車の基地として、JR西日本の夜行設定意向があって、間を挟むJR東海も異議がないならば、東海道夜行列車への協力自体はするかと思われます。

 

◆ JR四国の立場から見る

サンライズ出雲」に併結して岡山-高松の短区間だけを単独で走る「サンライズ瀬戸」は、JR四国にとってありがたい列車と思われます。

JR四国からは285系の後継車両を登場させるのは困難なので、JR西日本に対し、一日も長い285系サンライズ瀬戸」の継続を願うほかはないと思われます。

 

◆ JR西日本の立場から見る

285系サンライズ」の登場は1998年であり、現2023年時点で25年を経過しました。

ひとまず、2028年までの5年間は現在のまま走ると思われます。

新製後30年経過の2028年時点が一つの山場と思われます。

筆者の予測は、「サンライズ285系の直接的な後継車は新製しないこと、「サンライズ285系の間接的な後継車として、既存の683系余剰車を充てること、683系充当時、全車1&1席のグリーン車となることの3点を想定しています。

すなわち東京-山陰・四国は飛行機や新幹線ではできない発着時間により、JR西日本は夜行列車設定自体は継続するとは考えます。

ただしJR東海JR東日本の協調理解が前提です。

万一、JR東海等との意向が一致しない場合は、敦賀米原-大阪-出雲市での設定で東京連絡に思いをつなぐかとも思います。

下りは米原東海道新幹線「ひかり」の乗り継ぎを受け、上りは同様に米原「ひかり」に連絡するものです。

この場合、四国は高松、琴平、松山発着でも困難と考えます。

 

後継683系の座席配置は1&1席による夜行睡眠時の安心感によるもので、簡易的なカーテンの仕切り場面のイメージです。

その中で「WESTEXPRESS銀河」のようなグリーン個室、ファミリーキャビン、クシェット(簡易寝台)、フリーースペースや、来春から伯備線「やくも」投入の273系のようなグループ向け「セミコンパートメント」等を併設するのではないかと思います。

 

他社との意向が整わない場合でも、JR西日本は自社管内で東海道、山陽、山陰夜行は続けるのではないかと考えますが、希望的な観測が混じることは否定できません。

下りは東京20時12分発「ひかり663号」→米原22時33分着→23時00分発683系夜行の出雲市行き、上りは米原6時30分着で「ひかり634号」6時47分発→東京9時09分着で、東京接続に間接的な乗り継ぎを期待する趣旨です。

 

こうして書いて見ると、主情を挟まないことはいかに難しいかと再認識しました。

サンライズ」の後継ができなければ、それを受け止めるほかはありません。

それでも285系が即廃車でなく、JR東日本185系のような臨時列車運用を多少なりとも期待してしまいますが、寝台設備であり座席車でないのが異なります。

最大運用区間米原-下関で成果が見込めるかどうかです。

285系サンライズ」の、JR西日本の動きを見守っていきたいと思います。

 

(※ 記載にあたり、2023年10月10日付け、Merkmal「サンライズの奮闘は『反転攻勢の兆し』なのか? 今後にあまり期待しない“控えめ夜行列車論”を語ろう」を参考にさせていただきました。)