平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

パンタグラフ付き車両でも電動車でない電車の妙味と京急1000形

モーター音を聞こうとパンタグラフ車両に乗ったら付随車だった時の奇妙さ

昨日に続いて京急の話です。

京急でもっとも人気の高い電車と言えば快特2100形です。

高速運転だけでなく全席前向きクロスシートで料金不要の配慮も、京急ファンが増える要素になっています。

高速運転とモーター音を同時に楽しむには、京急では先頭車に乗れば確実ですが、中間車でパンタグラフのある車両ならモーター音を聞けるだろうと楽観するのは禁物です。

2100形8両編成のモーター車は1・4・5・8号車の4両です。

パンタグラフは3・7号車にありますが、これが電動車ではなく付随車でした。

付随車にはモーターがないので、走行音を楽しむことはできません。

一般の人は音のない静かな車両の方を歓迎するでしょうし、JRのグリーン車もその思想で音は静かになっています。

今回は、パンタグラフ付き車両でありながら電動車でない電車の妙味の話です。

 

京急パンタグラフ付き付随車

先入観とは怖いもので、自分の頭の中では、パンタグラフのある車両は電動車というイメージから切り替えることが今でも簡単にはできません。

22次車まである多様な京急1000形でも、2002年の1次車製造以降、2006年の5次車までは、8両編成では1・4・5・8号車が電動車、パンタグラフのある2・7号車は付随車です。

パンタグラフがあるから電動車だろうと思い込んで2・7号車に乗ると付随車なので当てが外れます。

同じ1000形でも2007年製造の6次車以降は1・2・4・5・7・8号車が電動車、パンタグラフは2・4・7号車で電動車と一致し、安心して?乗れます。

ところが、2020年度からの20次車から、また変わりました。

20・21次車は「Le Ciel」の愛称があるクロスシートロングシートとの両方が構成できる車両ですが、地下鉄浅草線乗り入れ時の35トン制限等の事情により、4両編成の先頭車は京急法則どおりの電動車ではあるものの、中間2両は付随車となり、久方ぶりにその3号車がパンタグラフ付きになりました。

最新22次車6両編成も、1・3・4・6号車が電動車の中、パンタグラフは2・5号車の付随車となりました。

 

京急1000形の奥深さ

このほかにも1000形は22次車までの22種類、さらに8・6・4両の3種類の編成によって一筋縄ではいかないバラエティの豊富さがあり、趣味的に研究していくとあまりの深みに1日費やしても整理がつかない細やかさがあります。

それだけ変化が著しい形式で、車両研究趣味には適材です。

京急に詳しい人と1000形のことを話題にすると、些細なことでもこちらの思い違いを指摘されます。

その点では600形、1500形のようなパンタグラフ車は電動車なので指摘はされず、乗り入れ先の都営浅草線、京成車両も同様です。

趣味的には京急1000形の方が楽しめます。

 

国鉄781系登場時の違和感

パンタグラフ車両が電動車でないことの始まりは、国鉄時代の北海道特急781系で、登場時は違和感がありました。

既に走っていた711系3両編成が、中間車が電動車でパンタグラフ付きの通常内容だったからです。

本州で活躍する485系の北海道版を投入したところ、北海道の豪雪は本数の発想車両では対応できなかったため、その対応策として781系が製造されました。

781系では711系にはなかった冷房装置搭載等により、電動車にパンタグラフでは重量バランスが悪くなるため付随車にパンタグラフ装備になりました。

 

JR西日本681系・683系の余談

ここで少し、JR西日本の北陸特急681系・683系に話題を逸らします。

2・5・9号車がパンタグラフ付きですが、電動車は3・6・8号車です。

過去の話ですが、この事情を知らずに北越急行経由「はくたか」が走行していた時のこと、パンタグラフ車両を選んで乗ったため、電動車にしてはずいぶん静かすぎるが技術の進歩かなと勝手に誤解したまま下車していたこともありました。

 

京急の初代1000形も種類豊富

現在の京急1000形は2代目です。

初代の1000形は1959年から1978年まで356両製造され、2両編成もあって、過去の電車ではありますが、車両変化を見ていくと2代目1000形の22種類以上のバラエティの豊富さがります。

先頭車正面の顔、側面の行き先方向幕と列車種別表記器、冷房装置の取り付け、分散式4台方式と集中方式の冷房装置変化、集中式冷房装置搭載時の地下鉄路盤が痛むとの話、京成への乗り入れやリース、高松琴平電鉄での活躍など、現在の2代1000形に勝るとも劣らない変化があります。

元をたどれば線形条件が必ずしも良くない京急が、この条件を克服して並行路線に立ち向かう高速運転姿勢にあると感じます。

初代と2代の1000形の変遷を楽しめれば、京急車両への関心度がやがて鉄道車両全体への関心度に広がり、鉄道全体への関心へと変化していく自分自身にも気づかれると思います。