383系、HC85系から385系へ、どのように変化するか
JR東海から2023年7月20日付で「新型特急車両『385系』量産先行車の新製について」の発表がありました。
383系「しなの」の今後の取り替えを見据え、量産先行車385系の新製を決定したとのことで、国内最速でカーブを走行可能な383系の速達性を維持しつつ、新たに次世代振子制御技術を導入し、乗り心地と安全性をさらに向上させる計画です。
2026年度に量産先行車で走行試験を約1年間実施し、次世代振子制御技術等の確認を行い、2029年度を目標に量産車投入の方向です。
量産先行車2026年、量産車2029年度まで待つことになりますが、今回は385系登場までの間、関心を抱く部分を整理したいと思います。
内容は順不同なので予めご了承ください。
編成内容について
〇 全編成が8両固定編成で統一か?
→ 383系は6両編成9本、4両編成3本、2両編成5本、計76両の構成です。
両方の先頭車での前面展望が一つのセールスポイントになるので、3種類ある編成を一括して8両固定編成で一本化し、その代わりに6両編成への減車、10両編成への増車はしないと受け止めましたが、どうでしょうか。
〇 何編成新製するか?
383系の76両を踏襲すれば385系は9編成72両か、10編成80両になります。
9編成では運用に余裕がなく、臨時列車を考慮すれば11編成88両ではないかと思います。
すべて8両編成のみか、一部6両編成で組成するかどうかですが管理面、営業面等から8両で統一と考えます。
〇 名古屋側先頭8号車は自由席か?
→ 前面展望が売り物になるので、普通車指定席になると思われます。
〇 8号車も1号車と同じくグリーン車ということはないか?
→ 近鉄「ひのとり」プレミアムシートと同じ考え方で、前面展望ができるようになる名古屋側の先頭車を「ひのとり」同様、グリーン車化することも考えられます。
その場合、JR東海としてはグリーン車が1号車と8号車とに離れていてもいいかどうかです。
また、「しなの」に2両のグリーン車需要があるかどうか、展望車化により新たなグリーン車需要が見込めるかによります。
先頭部はグリーン車、7号車寄りは普通車指定席という、いわゆる半室グリーン車方式は行なわないと思います。
同じ名古屋発着の「ひのとり」の両側先頭車プレミアムシートの状況も参考にしながら、6両から8両への増車を機に8号車もグリーン車化するのではないかと予測します。
グリーン車2両化の場合、定員が現在の44席から2倍の88席になるならば、2&2席配置を2&1席化し、合計定員66席にしてほしいものですが、「ひだ」との兼ね合いもあり、期待はしないほうがよいと考えます。
〇 指定席と自由席の配置構成は?
→ 383系は長野側1号車がグリーン車、2~4号車が普通車指定席、5・6号車が自由席です。
385系の両側展望車化に伴い、1号車がグリーン車、2~4号車、7・8号車が普通車指定席、5・6号車が自由席と想定します。
「ひだ」の自由席割合を見ると、「しなの」は8両化しても自由席の3両化はしないと思われます。
〇 客用扉は片側1か所か、両側2か所か?
→ 383系の客用扉は1か所の車両と2か所の車両とで混在しています。
385系投入を機に、383系よりも幅広の片側1か所に統一と想定します。
〇 電動車と付随車が同数のMT比率1対1の方式か?
→ 383系はMT比率1対1の1M方式でした。
385系は8両固定編成を考慮すると1M方式でなく、315系同様、MM’2両ユニット’方式で、4M4T構成と考えます。
パンタグラフも315系同様、M車に1基、8両で計4基と想定します。
JR東日本のような、パンタグラフを極力減らす考え方とは対照的です。
〇 冷房装置は集中型タイプか?
→ 今回のイメージ図では集中型です。383系、373系、HC85系も集中型でした。
JR東海は315系電車を大量新製中なので、315系と共通の2台分散式にするかとも思いましたが、特急は集中型の考えのようです。
〇 中央線特急はあくまで385系一種類での運行か?
→ 今回の385系新製の公表の後、2029年の運用開始まで6年あります。
2029年の前に373系の後継車を公表し、それが身延線、飯田線特急の後継に就きながらも中央線「しなの」の臨時運用にも就くことは、振子性能がない以上、ありえないでしょうか。
同じ中央線の振り子車両でも、JR東日本ではE353系「あずさ」「かいじ」の臨時列車に振り子式でない汎用型E257系を充てています。
JR東海の場合、中央線に振子式でない特急は臨時であってもあり得ない見識の印象があります。
〇 振り子方式は何か?
→ 383系は制御付き自然振り子式です。
385系では、車上のジャイロセンサーにより車両とカーブの位置関係を常時監視し、カーブ開始位置を正確に検知するとのことですが、制御付き自然振り子式に属するのでしょうか。
床下機器配置や走行音の違いや変化も楽しみの一つです。
JR西日本の伯備線用の新型273系電車は、車上型制御付き自然振り子式と謳われています。
〇 383系よりも時間短縮するか?
→ 383系では名古屋-長野の最短時間は2時間56分です。
385系での時間短縮は、性能の向上によるものか、単線区間での列車交換待ち時間の無駄を見直す結果によるものか、いずれでしょうか。
〇 定期「しなの」を増発するか?
→ ダイヤの理想を言えば、名古屋発、長野発ともに、6時台から20時台までの完全60分間隔化、15往復化です。
6両から8両になる分、輸送力が増えるため残念ながら増発の期待はできないと思います。
〇 臨時特急で大糸線白馬まで設定を継続するか?
→ JR東日本「あずさ」の大糸線直通列車が定期・臨時各1往復の状況では、385系変更を機に大糸線直通は見直し、松本までの設定と思われます。
〇 車内レイアウトはどう変わるか?
→ HC85系の内装と共通性があるか、中央線独自の内装のこだわり、個性を出すか、楽しみなところです。
座席もHC85系からどのように変化しているでしょうか。
今から6年後の、気の早い話ですが鉄道の話とは別に、社会経済が景気回復と併せて明るいご時世であってほしいと願います。
※写真は本文と無関係です。