京阪、阪急にはないJR西日本Aシートの特性と新快速列車の優位性を探ります
阪急が2024年夏から京都線に導入する有料座席指定車両「プライベース」が話題を集めています。
また、京阪ではすでに有料座席指定車両「プレミアムカー」を投入していますが、好評のため2025年秋から1編成1両のプレミアムカーを2両に増結します。
いずれも2&1席の3列で、ゆとりのある座席配置です。
阪急はまだ現車が登場していませんが、京阪プレミアムカーは上品なイメージが漂います。
京阪の出町柳-淀屋橋は49.3キロ、特急で54分で、JR西日本の新快速京都-大阪29分と比べると長い移動時間ですが、プレミアムカーの存在によって、その乗車時間が逆にデラックス車両に長く乗っていられると、プラスに作用した面もあると感じられます。
プレミアムカー連結列車本数も充実しています。
阪急でも多くの本数が計画されています。
今回は京阪・阪急の有料座席指定車の活況と話題の中で、JR西日本のAシートと新快速という列車の設定が両私鉄を上回る強みはどこかを見てみました。
京阪・阪急に対し、JR西日本は東海道・山陽線(JR神戸線・JR京都線・琵琶湖線)網干-野洲間の新快速の一部に「Aシート」車を設定しています。
座席は2&2配置で、京阪の2&1席に慣れた後で2&2席に乗ると、座席の横幅が狭く感じられるのはやむを得ません。
連結列車が少ないのが難点ですが、運用区間が長いので京阪・阪急の同等の本数は難しい面もあります。
また、Aシート車内の雰囲気も京阪に一歩譲る個所があります。
それを踏まえた中でのAシートと新快速の長所を確認してみます。
新快速Aシートの、京阪・阪急にない特性
◆ Aシートの優位性
〇 列車トイレがあること。
京阪・阪急にはない最大の優位点です。
京阪特急でも最大54分乗車だから必要ないと言えばそれまでですが、トイレがあることは精神的な安心につながります。
さらに車椅子椅子対応の点も価値があります。
〇 野洲-網干間、170.7キロ、所要2時間27分の長距離乗車が可能なこと。
京阪の座席指定料金は400円から500円、阪急も500円前後と予想される中、新快速Aシートはワンコインでは乗れませんが、長い距離を乗れば妥当と思われます。
京都-大阪、大阪-神戸の相互間で固有の料金設定があれば一層望ましいですが、そこまで望むのは無理かと思います。
◆ 新快速列車としての特性
前記2点が私鉄に対するAシートの優位性と思われます。
以下は、新快速列車に併結されたAシートとして見た場合の優位性です。
〇 京都-大阪29分、大阪-神戸23分の速達性
〇 時速130km/hの高速性
〇 12両編成の輸送力
〇 草津-西明石120,9キロの複々線の線路による、快速、普通列車(各駅停車)を含めた運転本数と、新快速との列車接続ダイヤ
〇 途中でAシート車から普通車に移動とはなるものの、米原、敦賀、播州赤穂までの遠距離乗車
〇 新快速が快速や普通列車、貨物列車と並走し、追い抜いていく痛快さ
新快速の運転本数増を行なうか
新快速Aシートの弱点として本数の少なさがあります。
6往復では事前の計画が必要で、たまたま来た列車にAシート車があるという状況にはなりません。
そのためAシートの普及、利用促進にはおのずと限度があります。
一つの要因として、12両固定編成での運用という点があります。
草津、野洲で折り返す列車には連結できますが、米原経由の近江塩津行き、湖西線経由の敦賀行きは、米原または近江今津で4両だけが近江塩津または敦賀へ向かうため、付属4両編成の9号車にあるAシート編成は運用できなくなっています。
列車トイレが基本編成1号車と付属編成9号車のため、Aシートは9号車しか選択の余地はありませんでした。
Aシートを基本編成8号車にすれば理想でしたが、新たにトイレ増設が伴うため、付属の9号車側にしています。
今後、Aシートの普及、利用促進にあたっては、現状の6往復だけでは限度のため、9号車を順次Aシート車で置き換えていくことになります。
その際、Aシート付き付属4両編成であっても近江塩津、敦賀まで延長運転する割り切りが鍵となります。
大阪、米原からの北陸新幹線敦賀接続は「サンダーバード」と「しらさぎ」の方であり、新快速ではないとしても、青春18きっぷ等によるAシートでの敦賀乗車が新たな列車利用パターンに加わる期待、可能性はあると思われます。
ひとまずは順序として、草津止まり、野洲止まりの新快速列車について、Aシート連結にしていくことが求められます。
その次の手順として米原、近江今津方面の新快速にも拡大していくことが順当かと考えます。
JR西日本のAシート増備対応を見守りたいと思います。
※写真は本文と無関係です。