千葉県松戸市の八柱というと、第一に東京都立八柱霊園、第二にJR武蔵野線の新八柱駅と新京成の八柱駅が思い浮かびます。
新京成八柱駅は1955年4月21日、武蔵野線新八柱駅は1978年10月2日の開業でした。
当時の武蔵野線の駅名は、東西南北と新を付けた駅名が多くありました。
新秋津、新小平、新松戸とともに、八柱も新京成と区分して新八柱になりました。
その後にできた新三郷も「新」が付けられました。
ちなみに武蔵野線で京葉線直通の東京行きに乗ると新浦安、新木場もあります。
今回は「八柱」と「矢切」(北総線)の読み方の話です。
なお、内容は筆者の勝手な想像のものですので予めご了承ください。
八柱の読み方2種
新京成は「や『ば』しら」、武蔵野線は「しんや『は』しら」、八柱霊園は「や『は』しられいえん」です。
八柱霊園は、1935年7月、東京市営の霊園として当時の千葉県東葛飾郡八柱村に設立され、1943年7月に、 都制施行により東京都に引き継がれました。
八柱村は、明治時代中期から昭和時代前期まで存在していた千葉県東葛飾郡の村で、読み方は「や『は』しらむら」です。
松戸市の地名上では、八柱はなく、八柱霊園は松戸市田中新田の字(あざ)名、また八柱・新八柱駅は松戸市日暮の字(あざ)名に属します。
八柱の原点は八柱村ということができます。
その意味では「や『は』しら」が正しく、新京成「や『ば』しら」でなく、武蔵野線の新「や『は』しら」が正しいと言えそうです。
東京都立八柱霊園の関連で、東京都八柱霊園管理事務所の、一部の電話帳でのよみがなは、「とうきようとや『ば』しられいえんかんりじむしよ」となっています。
周辺状況を見てみると、銀行の支店は「や『は』しら」、病院、診療所は「や『ば』しら」が見受けられました。
話は戻りますが、新京成の「や『ば』しら」の明確な根拠は分かりませんでした。
想像ではありますが、新京成が「や『ば』しら」とした背景を考えると、一部の人のブログでも指摘されていますが、八柱に限らず、濁った方が語呂が良い、分かりやすいという点があるという考えに賛同します。
「や『は』しら」より「や『ば』しら」の方が分かりやすい、伝わりやすいということです。
駅名は「や『ぎ』り」、松戸市の地名は「や『き』り」
八柱と同じ同じ松戸市内で、もう一つ別の駅の話で、北総線に矢切駅があります。
正しくは「や『き』り」ですが、駅名は「や『ぎ』り」になっています。
上矢切(かみやきり)、中矢切(なかやきり)、下矢切(しもやきり)の各地名はいずれも「や『き』り」で、この3つの字(あざ)名を総称して矢切「や『き』り」と言っています。
ただし、矢切「や『き』り」という字(あざ)名はありません。
1976年に発表された演歌「矢切の渡し」(石本美由起作詞、船村徹作曲)は、「や『ぎ』りのわたし」です。
作詞者が「や『ぎ』り」に確信を持っていたのかはわかりませんが、「や『き』りのわたし」と歌うよりも「や『ぎ』りのわたし」のほうが歌いやすい、歌詞が伝わりやすいということはあるように感じます。
一般的な会話で、知らない人に地名を伝える時、「や『き』り」より「や『ぎ』り」の方が伝わりやすいのは、「や『は』しら」「や『ば』しら」と同じようです。
しかしながら、新八柱駅について「しんや『ば』しら」という人の声が聞こえたことはありません。
「しんや『は』しら」の語呂、語感が良いのかもしれません。
また、日常会話で「や『ば』しら」じゃないよ、「や『は』しら」が正しいんだよ、「や『ぎ』り」じゃないよ、「や『き』り」だよと説明する、訂正するような会話は耳にしたことがありません。
「なぜ、読みが違うんだろうね?」という会話はあります。
駅名以外でも表記がまちまちの事例
駅名とは異なりますが、松戸市内の字(あざ)名に「牧の原」がありますが、学校名は「牧野原」です。
松戸市の隣、鎌ケ谷市役所の建物では、「鎌『ケ』谷市役所」と「鎌『ヶ』谷市役所」で、大小の「ケ」と「ヶ」が混在しています。
全国各地、他の地区にも同じような事例があるかもしれません。
まして字(あざ)名、固有名詞になると尚更です。
大きい「ケ」よりも、小さい「ヶ」の方が、字(じ)を書く時に楽だから?などと勝手に思いました。
※ 記載にあたり、Wikipediaその他の資料を参考にさせていただきました。