なぜ東松戸、千葉ニュータウン中央ではなく新鎌ヶ谷?
2022年11月26日から京成電鉄の座席指定有料特急列車「スカイライナー」の一部が新鎌ヶ谷駅に停車することになりました。
日暮里-空港第2ビル間でスカイライナーが途中駅に停車するのは青砥に次ぐ施策です。
途中停車駅候補としては東松戸、千葉ニュータウン中央もありました。
成田新幹線建設計画当時、途中駅は唯一、千葉ニュータウン中央でした。
駅名どおり千葉ニュータウンの中心駅であり、乗降客数も北総線内では上位ですから停車駅に選択するのも自然です。
難点は日暮里-千葉ニュータウン中央の通勤、行楽利用は見込めても、千葉ニュータウン中央-成田空港は近すぎて利用が見込めないことです。
ホームが1面2線で緩急接続ができない構造も不利です。
東松戸は千葉ニュータウン中央とは逆に、東松戸-成田空港の利用は見込めても、日暮里-東松戸の利用が距離的事情で見込めません。
JR武蔵野線と接続しますが、JR東日本にとってスカイライナーとはライバル関係でもあります。
東松戸-成田空港は船橋、千葉経由で成田エクスプレスや総武線快速を薦める立場です。
このような背景から新鎌ヶ谷が浮上してきました。
日暮里-新鎌ヶ谷、新鎌ヶ谷-成田空港の両方ともスカイライナー利用が見込める距離にあります。
新京成と東武野田線の2線と接続し、新京成は京成グループですから利用誘発ができます。
東武野田線は船橋で総武線とも接続するため北総線、総武線のどちらでもよい立場ですが、営業的には船橋までの乗車の方が収益にはなります。
しかし総武線成田空港快速は毎時1往復しかなく、千葉で再度成田エクスプレスに乗り換えるのも億劫です。
新鎌ヶ谷停車後の北総線は新京成、東武野田線からのスカイライナー利用や、東松戸から新鎌ヶ谷接続での利用促進に動くと思われます。
しかし成田空港アクセスはスカイライナーだけでなく、料金不要の「エアポート快特」もあります。
つまり北総線を乗車選択してもらうことが第一であり、その次にスカイライナーの選択があります。さらにエアポート快特もありますという流れです。
時速160㎞/hの高速運転と列車の風格はスカイライナーの持ち味です。
本来、都内と成田空港間の速達が設定趣旨のスカイライナーでしたが、現実は乗車率の厳しさゆえ、青砥に次ぎ新鎌ヶ谷停車に至ったのではないかと思われます。
今後は、利用の少ない列車での対応として新鎌ヶ谷駅ホーム上への特急券売機設置や、列車出発60分前から定員制も取り扱うなど柔軟な方法により、スカイライナーを乗りやすく身近なイメージにしてもよいのではないでしょうか。
※ 京成高砂-新鎌ヶ谷-成田空港間をここでは便宜上、北総線と表記しました。