高崎から勝田なら両毛・水戸線経由が自然な経路
JR東日本が2023年12月から2024年2月末までに運転する「冬の臨時列車のお知らせ」の中に、12月23日(土)と24日(日)の2日間に、E653系による高崎-勝田で臨時特急「冬を満喫!海浜公園号」が運転されます。
そのお知らせ記事の部分を一部引用させていただきます。
(以下引用)
「国営ひたち海浜公園」のアイスチューリップの見ごろに合わせて『冬を満喫!海浜公園号』を運転します。
~中略~
高崎から便利な直通臨時列車で、冬のひたちなかへぜひお越しください。
(以上引用)
臨時特急とはいえ、高崎-勝田の通常経路、直通列車設定といえば両毛線・水戸線経由を想定するのが自然と思います。
単線とはいえ電化されている両毛線・水戸線の自然な短絡コースがあるのに、大宮方面に大きく迂回していくのは、地図的、距離的には妙な印象を持ちます。
今回の「冬を満喫!海浜公園号」(以下、「海浜公園号」)が高崎だけでなく熊谷、大宮周辺駅の需要も集めるためと考えられますが、大宮、武蔵野線で勝田へ向かうルートは、両毛・水戸線経由に比べてあまりにも大きな迂回の印象を受けます。
高崎から勝田まで、実際に「海浜公園号」に乗って向かっていくとしたら、どのような印象を持つでしょうか。
高崎からの勝田は、高崎の東側の位置にあり、両毛・水戸線のルートとほぼ一致します。
「海浜公園号」では高崎から南下して大宮を経由し、そのあと武蔵野貨物線で武蔵浦和から東の方向へと変わり南浦和、南越谷で京浜東北線、東武線からの需要も集めつつ、やがて南流山-北小金で武蔵野線から常磐線へ合流後は北の方向に向かいます。
図形でいえば、両毛・水戸線は台形の底辺、1辺に相当しますが、「海浜公園号」は台形の形を逆さにした3辺(高崎・武蔵野・常磐線)に相当します。
距離的には両毛・水戸線経由は164.2キロですが、高崎・武蔵野・常磐線経由では208.7キロで、44.5キロ差です。
列車移動時間を比較する
次に、列車ダイヤ、移動時間を見てみます。
◆「海浜公園号」のダイヤ
高 崎7:22→勝 田10:16(所要2:54)
勝 田16:24→高 崎19:22(同2:58)
【高崎→勝田】
高崎6:53発→小山8:50着、9:08発→勝田10:31着(所要3:38)
高崎7:51発→小山9:52着、10:10発→友部11:11着、11:16発→水戸11:33着、11:38発→勝田11;43(同3:52。小山、友部、水戸の3回乗り換え)
【勝田→高崎】
勝田15:02発→小山17:00着、17:26発→高崎19:17着(同4:15)
勝田16:42発→小山18:23着、18:30発→高崎20:19着(同3:37)
◆上野経由、上越新幹線と常磐線特急乗り継ぎの場合(参考事例)
高崎7:13発「とき300号」→上野8:06着、8:30発「ときわ53号」→勝田9:55着(同2:42)
勝田16:21発「ひたち20号」→上野17:37着、17:58発「たにがわ407号」→高崎18:49着(同2:28)
両毛・水戸線の高崎-勝田は3時間37分ほどですが、小山での乗り継ぎ時間や、途中駅での単線による列車交換もあるので、この程度の所要時間はやむを得ません。
大宮経由は特急、両毛・水戸線は普通列車という列車種別も考慮すれば、約40分の差は受け止められると考えます。
上越新幹線と常磐特急の上の乗り継ぎは、上野駅新幹線の地下ホーム配置もあって、時間短縮効果はさほど発揮できません。
仮に両毛・水戸線経由で「海浜公園号」を設定した時の所要時間は
もしも両毛・水戸線経由で「海浜公園号」を設定していたら、どの程度の所要時間になるでしょうか。
停車駅は新前橋、前橋、伊勢崎、桐生、足利、あしかがフラワーパーク、佐野、栃木駅、小山、結城、下館、岩瀬、 笠間、 友部、 水戸が適当と考えます。
両毛線と水戸線の単線と、小山での東北線平面交差はありますが、小山でスイッチバックせず直進できる配線は、線路配置的には強みです。
また、複線区間の高崎-駒形、佐野-岩舟、友部-勝田で、どこまで高速運転で時間短縮できるか、単線区間での列車交換待ち時間は効率的に組めるかにもよります。
先行列車に追いつかないかどうかについては、高崎・武蔵野・常磐線経由でも同じ状況下です。
小山での接続が7分と、比較的良好な勝田16:42発→高崎20:19着の、所要3時間37分の実情を見れば、最低限3時間は要すると思われます。
つまり時間的には大宮経由と同じ程度です。
同じ所要時間なら両毛・水戸線沿線の需要よりも高崎線、大宮、南越谷経由から海浜公園への直通需要を拾った方が有利という考え方に帰結していくのでしょうか。
「高崎から便利な直通臨時列車で」と力を入れるなら両毛・水戸線経由は
話は戻りますが、JR東日本は「冬を満喫!海浜公園号」の謳い文句で「高崎から便利な直通臨時列車で、冬のひたちなかへぜひお越しください」と、意外に力を込めているようにも思います。
そこでは熊谷、大宮方面からの直通のことには触れていません。
大宮-勝田の直通設定が必要ならば、高崎発着列車とは分けた方が望ましいと考えます。
JR東日本が真に高崎から勝田への直通利便を考えて、高崎から新たな需要開拓を期待しての趣旨ならば、次回は列車愛称を「両毛つくばね・海浜公園号」として、両毛・水戸線経由による設定を期待したいと思います。