平行普通列車

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武蔵野線大宮発着「むさしの・しもうさ号」増発の可能性を考える

武蔵野線「むさしの号」「しもうさ号」の臨時列車の増発は困難か?

東洋経済オンライン、2023年8月23日の「10両化は?武蔵野線『ちょっと気になる』疑問点」を見ました。

武蔵野線との接続駅が抱える中央、常磐総武線の特別快速・快速通過の事情、武蔵野線が10両編成化しない状況、京葉線内列車の運転間隔(5分待ちもあれば15分待ちもあるダイヤ)の絡み、大宮発着「むさしの号」「しもうさ号」の増発の可能性等について探求しており、とくにJR東日本の回答を各所に入れている点は貴重です。

今回は、この記事の中の後段、大宮発着「むさしの号」「しもうさ号」の増発の可能性について考えたいと思います。

 

「むさしの号」「しもうさ号」の増発に対するJR東日本の考え方は

当記事における、「他線への直通列車は拡大するか 『むさしの号』『しもうさ号』増発はありうる?」の中から一部を引用させていただきます。

(以下引用)

今後、新幹線の札幌延伸などで大宮折り返しの新幹線が増えることが想定されるが、それに伴いさらなる増発や、運転を日中にも拡大することはあるだろうか。また「むさしの・しもうさ」号以外に、臨時特急などで行っているような新たな直通ラインを走らせる可能性はないのだろうか。

JR東日本に聞いてみると、「むさしの号・しもうさ号を増発するためには、武蔵野線の府中本町-西船橋(東京・海浜幕張)間を運転している列車をむさしの号・しもうさ号に変更する必要がございます。このため、武蔵野線の一部区間では列車本数が減少してしまうことや北朝霞方面と南越谷方面を直通でご利用になるお客さまの利便性が低下してしまいます。以上のことから現時点でのお客さまのご利用状況などを踏まえ、むさしの号・しもうさ号の増発や運転時間帯の拡大は検討しておりません。また、新たな直通ラインについても現段階では検討しておりません」とのことであった。

むさしの号増発が既存列車の置き換えでないとできないのは、貨物列車と線路を共用しているためであろう。

(以上引用)

 

貨物列車の運転区間

日中の武蔵野線旅客列車は10分間隔が基本です。

この10分間隔の中で貨物列車が走っています。

貨物列車の走行区間は、府中本町-西船橋武蔵野線区間を走る列車よりも、西浦和武蔵浦和から大宮への列車(大宮支線、西浦和支線)、南流山から馬橋、北小金側への列車(馬橋支線、北小金支線)、新小平から国立への列車(国立支線)など、支線へ分岐していく列車が多くあります。

さらに越谷貨物ターミナル、新座貨物ターミナルに発着する列車もあります。

貨物列車も10分間隔で走っているとすると、旅客列車と併せれば5分間隔で列車が走っていることになります。

武蔵野線貨物列車については「鉄道ダイヤ情報」誌にも随時掲載されており、本数が多いことは確かです。

ただし、必ずしも旅客列車同様に毎時6往復の貨物列車が走っているわけではありません。

 

「むさしの号」「しもうさ号」のダイヤはどうか?

「むさしの号」は府中本町または八王子と大宮を結ぶ定期列車です。

府中本町発大宮行きは平日2本、土曜・休日(以下、「休日」)2本ですが、大宮発府中本町行きは平日・休日ともにありません。

八王子発大宮行きは平日2本、土曜・休日(以下、「休日」)4本ですが、大宮発八王子行きは平日・休日とも各3本です。

 

「しもうさ号」は海浜幕張新習志野西船橋と大宮を結ぶ列車です。

海浜幕張発大宮行きはなく、大宮発海浜幕張行きは平日・休日とも1本です。

新習志野発大宮行きは平日・休日とも2本、大宮発新習志野行きは平日・休日とも1本です。

西船橋発大宮行き、大宮発西船橋行きは平日・休日とも1本です。

「むさしの号」「しもうさ号」は定期列車の平均10分間隔の中で、貨物列車のない時間帯に割り込んで設定されています。

 

武蔵野線の臨時特急列車のダイヤはどうか?

武蔵野線に定期特急列車はありませんが、臨時特急列車はあります。

吉川美南-鎌倉の「鎌倉」は設定されることが多い臨時列車です。

八王子-鬼怒川温泉東武日光の「スペーシア八王子日光」「(同)きぬ」も時折り設定されます。

2023年秋の臨時列車を見ると、八王子-長野原草津口に「はちおうじ草津・四万」、吉川美南-足利に「きらきら足利イルミ」、海浜幕張-川越に「蔵の街川越号(川越まつり号)」、高尾・平塚・大宮・君津-勝田に「海浜公園コキア」があります。

定期列車の合間に設定している点では「むさしの号」「しもうさ号」と同じです。

定期旅客列車との並行ダイヤのため、武蔵野線内で前を走る列車を追い抜くことはないため、駅を通過する分、速度を落とします。

 

貨物列車のない時間帯なら「むさしの号」「しもうさ号」はできるか?

理論上は設定可能な時間帯はあると考えます。

前段のJR東日本の回答は、「むさしの号」「しもうさ号」をこれ以上増発するためには、毎時6往復の定期列車を大宮側に仕向ける必要があるため、北朝霞方面と南越谷方面を直通利用者の利便性が低下すると理解されます。

しかし、そこまでしなくても、貨物列車本数がいかに多いとはいえ、臨時特急列車を見ても貨物列車の空白時間帯で設定しています。

従って、その空白時間帯であれば増発の余地はあると考えます。

 

むしろ課題点としては、貨物列車の空白時間帯での「むさしの号」「しもうさ号」の大宮連絡の増発設定効果、東北・北海道新幹線北陸新幹線との連絡効果と考えます。

「現時点でのお客さまのご利用状況などを踏まえ」という言葉にその含みが感じられます。

ダイヤ上に余力を持たせておきたい部分もあると思われます。

増発の可能性に触れるとそれが独り歩きしてしまうことも考えられ、設定見通しが不透明の中、慎重に言葉を選んで回答しているところに鉄道側の責任ある立場と列車増発への需要供給バランス考慮が感じ取れます。

 

今後は、北陸新幹線敦賀開業、北海道新幹線札幌開業、大宮利用の新幹線と武蔵野線沿線との利用の関連性等を吟味しながら検討されていくと思われます。

 

武蔵野線高崎線東北線直通臨時列車で「むさしの・しもうさ号」の代替えもできるか?

臨時特急の「スペーシア八王子日光」「(同)きぬ」「はちおうじ草津・四万」「きらきら足利イルミ」「蔵の街川越号(川越まつり号)」はいずれも大宮を経由します。

本来、上記の臨時列車は武蔵野線沿線と大宮を結ぶ設定趣旨ではありませんが、大宮から日光、鬼怒川温泉長野原草津口、足利へ向かう利用者がいれば、八王子や海浜幕張から大宮までの座席は空席となります。

ただし、八王子・海浜幕張から大宮への乗車を前面に出すことは本来の趣旨と異なるため、行なわないと思われます。

あくまで副産物的、余波的な活用法です。

臨時列車のため運転日、時間帯、特急料金、全車指定席等の課題はあるものの、日時・時間帯が合えば「むさしの・しもうさ号」の役割も兼ねられることも今後、検討材料になるのではないかと感じます。

 

以上ですが、武蔵野線接続本線の快速通過、10両編成化、京葉線ダイヤにおける武蔵野線直通に伴う運転間隔の不均等については、また別の機会に触れたいと思います。

 

(※記載にあたり、2023年8月23日の東洋経済オンライン記事「10両化は?武蔵野線『ちょっと気になる』疑問点 2023年で開業50年『謎の構造物』やダイヤの事情」を参考にさせていただきました。)