平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

武蔵野線にはなぜ新車が投入されないかを考える

山手線、中央快速線等に新車投入したい時の既存車転属先の位置づけ

武蔵野線の電車は他の路線から転属してきた車両ばかりです。

新車投入が全くなかったわけではありませんが、大部分は山手線、総武緩行線から回ってきた電車です。

以前、新車が入らない武蔵野線を話題にしたテレビ番組もありました。

今回は、武蔵野線に新車が投入されない背景を探ってみました。

毎回のことですが、内容は勝手な想像ですので予めご了承ください。

 

国鉄時代の新車投入路線の優先順序

かなり前の話ですが、ある鉄道月刊誌の編集部の方々と座談の機会がありました。

101系、103系を置き換える201系が開発され、中央快速線に配置した1981年頃の話です。

なぜ、201系の投入先が中央快速線になったかをその編集部の方に聞いてみました。

国鉄の新車投入は中央快速線、次に山手線が優先、101系も同じと教えてくれました。

また、その後の同鉄道月刊誌で、山手線になぜ205系を投入するのかとの編集部の問いに対し、国鉄側から「山手線の投資効果が高いからです」との文言もありました。

東京、新宿を経由する首都圏の代表路線もある中央快速線、中央総武緩行線への201系投入、山手線への205系投入優先はうなずけるところです。

201系は新製価格が高価なことから各路線に広くは普及しませんでしたが、205系により京浜東北線埼京線横浜線南武線、相模線など幅広く投入していきました。

 

山手線で205系E231系500番台E235系への目まぐるしい置き換え

山手線は205系化後、保安装置の老朽化によりデジタルATCを導入するため、205系を置き換えることとなり、2002年からE231系500番台に置き換えました。

E231系500番台も一定期間の話で、2017年からは列車情報管理システムをはじめとする数多くの新機軸を導入したE235系に置き換わりました。

いずれも、まだ十分使用できる山手線の205系E231系500番台はどこに行くのかが鉄道ファンの話題になり、武蔵野線に視線が向きました。

 

武蔵野線は新車投入よりも他線区からの転属が多い数多くの理由

山手線等に最新車両を投入する方針から、既存車両がまだ使える状況であっても、最新車投入を決めると、その転属先として武蔵野線が最適であったということはできます。

房総地区(外房、内房、総武、成田、東金、鹿島線)がそれに続きますが、8両編成では輸送力過剰のため、武蔵野線ほど転属に適した路線はないと言えます。

 

以下、武蔵野線が通勤電車転属に最良の理由を順不同で列記してみます。

〇 首都圏での新車投入後、まだ使える車両の転属先路線が必要なこと。

〇 転属先の列車編成両数は長い路線が良く、その方が廃車が少なくて済むこと。

〇 東京都23区内を走行していないこと。

〇 横浜、川崎、大宮などの利用者の多い駅を通過していないこと。

〇 競合する私鉄路線がないこと。

〇 貨物列車が主役の路線であること。

〇 船橋-松戸-越谷-浦和-所沢-国分寺を結ぶ路線ではなく、西船橋-新松戸-南越谷-南浦和-新秋津-西国分寺を結ぶ路線であること。

〇 車体色が武蔵野線独自の色でなく、中央快速線と同じもので、車両的には中央快速線との親子的な位置関係(中央線に新車を入れ、中央線の旧車両を武蔵野線に充てる)を感じさせること。

〇 駅の乗車人員が、2022年度JR東日本管内で第15位の西船橋以外は第50位以下であること。

★ 武蔵野線の2022年度乗車数(単位:人)の上位は、西船橋119,941(第15位)、南越谷67,815(54位)、北朝霞63,526(59位)、南浦和51,308(79位)、武蔵浦和46,593(88位)、新秋津34,954(110位)、新松戸33,675(113位)、南流山33,562(114位。以下は順位省略)、越谷レイクタウン26,175、東浦和25,887、西国分寺25,420、新八柱22,185、東松戸19,217、船橋法典16,244、東所沢14,281、府中本町14,054。

★ 主な上位駅の乗車人員は、新宿602,558、池袋458,791、東京346,658、横浜340,536、渋谷292,631、品川248,650、大宮226,249、新橋193,244、秋葉原190,506、北千住183,824、川崎175,876と続きます。

ちなみに、新宿は「乗降客数」では1,520,086人(乗車人員の2.5倍)です。

 

以上を総合して武蔵野線が転属先路線として最適ということではないかと考えます。

 

山手線E231系500番台の転属の考え方が武蔵野線の位置づけを象徴

山手線のE235系投入に伴って、15年程度しか走らなかったE231系500番台が山手線を去るにあたっては、直ちに武蔵野線には移りませんでした。

E231系500番台は中央総武緩行線に転属させ、中央総武緩行線の編成を武蔵野線へ移動させました。

山手線の11両編成から3両を抜いた8両編成で武蔵野線に投入した方が容易ですが、中央総武緩行線武蔵野線という手間をかけて実施しました。

E231系500番台には車内案内表示器の車内情報システム搭載や、車内扉上部に2基の液晶ディスプレイ (LCD) が設置され、車内情報サービスを提供する装備があります。

また、右側画面には次駅・所要時間・ドア開閉方向・列車遅延情報を、左側画面にはお知らせやCM、各種情報(ニュース、天気予報等)を表示します。

これらの設備のより高い効果を発揮させるには、新宿、秋葉原経由の中央総武緩行線の方が、武蔵野線よりも適当との判断によるものです。

裏返せば、いささか失礼な表現になりますが武蔵野線には過剰、贅沢な装備ということなのでしょうか。

 

武蔵野線209系を新車で置き換えるか?

現在の武蔵野線の電車は209系11編成、E231系34編成で、いずれも8両編成です。

今後、209系11編成の置き換えが考えられます。

その際、E235系武蔵野線に投入するかと言えば、これまでの経過から可能性はほとんどないと思われます。

 

JR東日本のこれまでの新車優先路線経過から、中央総武緩行線E235系11編成を投入し、E231系の編成を常磐快速線に転属させると思われます。

そして常磐快速線11編成が武蔵野線に転属すると予測します。

つまり武蔵野線の209系は、常磐快速線E231系で置き換える形と考えます。

また、常磐快速線E235系を配置する前に、中央総武緩行線を優先すると思います。

 

武蔵野線以外の首都圏通勤電車の話題

川越線八高線の209系も、中央総武緩行線E235系によりE231系を転属させると思われますが、E131系の新製置き換えも考えられます。

これにより首都圏の209系置き換えは完了します。

そのあとは房総地区の209系を首都圏E231系E233系で置き換えるか、E131系の新車にするかの選択になります。

このほか、仙石線205系はE131系による新製置き換えと思われます。

 

首都圏近郊の209系置き換えが終わると、E231系通勤電車の残る中央総武緩行線E235系化が考えられます。

その次が常磐快速線ですが、E235系が入るか、埼京線京浜東北線E235系を入れて、そこから常磐快速線E233系を転属させるかも注目されます。

 

首都圏ではワンマン運転、自動運転、無人運転等、様々な方向で乗務員削減の検討が進んでおり、山手線、常磐緩行線では準備が整いつつあります。

京浜東北線ではE235系投入でE233系を置き換える話もあったようですが、E233系のまま自動運転化の方向としたようです。

首都圏通勤電車では、路線ごとの自動運転の進展により、車両形式にどのような変化があるか、武蔵野線にはどのような間接的影響が波及するかが注目されるところです。