平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

武蔵野線馬橋支線(南流山-馬橋)の貨物線の意義を探る

常磐線馬橋から南流山へと分岐する貨物線の役割を改めて考えてみました

先日、ある知人の方と鉄道の会話をしているうちに、「常磐線の馬橋から南流山の方に分かれていく路線があるが、あれは何だ?」という話になりました。

思いつくままに答えたものの、あまり満足な回答はできませんでした。

今回は、武蔵野線馬橋支線、南流山駅から分岐する3方向の武蔵野線のうちの、南流山-馬橋の貨物線について探ってみました。

なお、便宜上、常磐線馬橋側から南流山への方向を中心とした、順不同の内容であることを予めご了承ください。

 

〇 武蔵野線南流山駅を起点として、新松戸への本線、北小金への武蔵野線北小金支線、馬橋への武蔵野線馬橋支線の3方向があり、馬橋支線はその3路線のうちの1路線であること。

○ 元来、武蔵野線自体は、山手貨物線の代替え路線として、貨物線として建設された経緯があること。

〇 貨物専用線という武蔵野線の当初の趣旨の中で、馬橋支線は東京・上野・田端・隅田川(貨物専用駅)側と中央線・東海道線に接続する役割を担うこと。

また、武蔵野線内の越谷と新座の両貨物ターミナル及び当時、現在の新三郷付近にあった武蔵野操車場(三郷-吉川間)への貨物列車連絡用の役割を担うこと。

〇 馬橋支線の開業は1973年4月1日、馬橋-南流山の距離は3.7キロであること。(北小金南流山は3.7キロ、新松戸-南流山は2.1キロ)

〇 馬橋-新松戸付近は単線であること。

単線の理由は、馬橋駅構内の流山線や、以前の馬橋貨物駅への入線関係、輸送量見込み等との兼ね合いと想定されること。

北小金南流山北小金支線の方が、常磐線水戸方面からの貨物列車の東京外環経路の役割を果たす重要性があること。)

〇 新松戸付近から南流山に向かっては、流鉄流山線を高架で乗り越えた後、新松戸での武蔵野線の本線の下をくぐってから、北小金南流山への路線と合流後、南流山→新松戸の武蔵野線本線の下り線をまたいで南流山駅に到着する配線の結果、新松戸駅付近から北小金支線合流区間にかけては急勾配であること。

〇 東海道線から南千住付近にある隅田川貨物駅とを結ぶには重要であること。

〇 常磐線金町と総武線新小岩を結ぶ、貨物専用の新金線と武蔵野線の接続の役割があること。

〇 武蔵野線から鹿島神宮方面への貨物列車に対しては、南流山→馬橋→金町→新小岩→千葉→佐原→鹿島神宮の経路となり、馬橋支線が重要であること。

〇 旅客列車は、JR東日本や旅行会社が企画する団体臨時列車が時折通過する程度であること。

〇 JR東日本のクルージングトレイン「四季島」が上野から中央線、東海道線に向かう際には一旦、常磐線を経由し、馬橋貨物支線を通過する意義があること。

「四季島」の首都圏発着は、上野駅の地平、13番線と14番線の間で整備したこと(通称、13.5番線)

 

南千住-馬橋の貨物列車の機関車に着目

常磐線南千住-馬橋間でEF65またはEF210形の直流電気機関車牽引の貨物列車が通過したら、馬橋支線を通過する貨物列車と見て間違いありません。

常磐線は取手から先、交流電化区間になるため、直流機関車は馬橋から南流山へ向かうのが通常です。

なお、交直流機関車のEH500形が馬橋支線を行くこともありますが、そのまま武蔵浦和から分岐して東北線に向かうのかは定かではありません。

成田線我孫子-成田で正月の成田山へ団体専用客車列車があった頃は、我孫子経由で成田まで行ったこともあったようですが、今は電車全盛です。

 

高速道路のインターチェンジと馬橋支線との違い

馬橋-南流山の貨物線の意義を改めて考えてみると、首都圏、山手線の貨物列車を武蔵野線に変更する際、上野・田端側から東北線貨物線経由では武蔵野線に直接入ることはできない構造であることから、馬橋-南流山に貨物線を設けたと考えられます。

また、墨田川貨物駅からの武蔵野線東海道方面へも馬橋支線が重要な役割を占めます。

そのため、上野・田端側から武蔵野線に入れるよう、馬橋-南流山に貨物線を設けたと思われます。

ただし、馬橋から南流山に行くことはできますが、馬橋から新八柱側に直接向かうことはできません。

北小金側から新八柱側も同様で、直接向かうことはできません。

新八柱側に向かうなら南流山でのスイッチバックとなります。

それらの意味で、南流山駅の中間に線路(通称、中線)があることは重要な役割があります。

 

高速道路のインターチェンジのように、4方向に自在に行き来する接続・分岐道路は、鉄道の線路では造らないからです。

造らないなら造ればいいじゃないかと言っても、道路のようなわけにはいきません。

道路ではある程度の急勾配でも造れますが、鉄道の線路では急勾配に限度があること、立体交差が道路より複雑で距離も長くなること、そもそもの列車走行の需要、経費、工事規模等の問題があります。

馬橋支線の場合、新八柱側への線路がないのは、線路建設規模が大きすぎること以前に、千葉県内で輸送が完結するだけの、そもそもの需要、必要性がないことにもよります。

 

馬橋支線の意外な役割

最後にもう一つ、馬橋支線の意外な使い道として、上野での列車の向きを変えたい時に上野→馬橋→南流山スイッチバック北小金→北柏・我孫子スイッチバック→上野、という方向転換経路という役割もあります。

馬橋支線がなかったら、列車の方向転換は、上野→大宮→与野→武蔵野線西浦和支線→東所沢→スイッチバック武蔵野線東浦和スイッチバック武蔵浦和→与野→大宮→スイッチバック→上野という経路になります。

与野、大宮の経路と比較すると、馬橋支線経由の南流山我孫子折り返しの方がずっと効率的です。

 

それ以前に、そもそもなぜ列車が方向転換をする必要があるのかについては、また別の機会に。