平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

流鉄流山線がTX全盛の中、運賃改定後の方向性を考える

流山から新松戸経由常磐線、千代田線、武蔵野線の連絡に徹する

常磐線馬橋と流山を結ぶ流鉄流山線(以下、「流山線」)が、2024年4月1日から運賃変更の認可申請をした旨のニュースリリースがありました。

現行運賃は1989年10月改定以来、消費増税分を除き34年間改定せず現在に至ります。

初乗り運賃130円が140円に10円上がり、170円以上の運賃は20円に改定されます。

首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス(以下、「TX」)への転移による利用者減と収入減、TX開業に伴う流山線並行他社路線バスの開業、鉄道施設の老朽化、車両等の維持費用において現行運賃では困難と判断し、今回の運賃変更申請に至ったとの内容です。

流山線の駅別乗降客数は2018年度で幸谷4,565人、馬橋3,009人、流山2,712人、平和台2,591人、小金城趾1,654人、鰭ヶ崎1,155人です。(統計情報リサーチより)

 

流山線は全6駅、5.7kmの単線電化路線で、2011年からは3両編成を2両編成に変更、馬橋駅では常磐快速15両編成の高速運転い並行して2両電車がマイペースで行く対象光景が印象的です。

 

2005年8月24日、秋葉原-つくば58.3kmを最速45分で結ぶTXが開業し、流山市流山線の運命が大きく変わりました。

TXの開業、南流山駅の存在は、流山市にとっては大きな飛躍、発展に寄与しました。

南流山秋葉原直通、快速21分で速達します。

TX開業前、同区間武蔵野線常磐線で乗り継いで行くと新松戸、松戸、上野の3回乗り換えとなり、約50分を要します。

首都圏から遠いイメージの流山が一挙に至近距離になりました。

流山市の面積は35.32㎢、4月1日現在の住民基本台帳人口比較で、TX開業前の2002年は150,414人、2023年は209,237人となっています。

南流山駅の1日平均乗車人員は2022年度で34,909人、JR武蔵野線は2021年度で30,259人です。

 

八潮、三郷、柏、守谷、つくばみらい、つくばの各市においてもTXの利便性効果の大きい反面、守谷接続の関東鉄道常総線などは流山線と同じく、逆の影響を受けています。

TXは2030年代前半を目途に6両編成を8両編成化するため各駅ホームの延伸工事を行なっています。

東京駅と土浦駅への延伸、有明東京ビッグサイトへの臨海地域地下鉄直通構想も聞こえてきます。

 

流山市の喜びとは正反対の運命に変わったのが流山線でした。

流山線沿線から首都圏への通勤ルートは、TX開通前までは流山線で幸谷または馬橋まで乗車後、常磐線東京メトロ千代田線で東京へ向かっていました。

それがTX開業とともに、流山線沿線各駅から流山線に乗らず、TXの南流山を志向するように変わりました。

 

南流山駅から流山線の各駅までの、おおよその距離と徒歩時間は、鰭ヶ崎駅まで900m、12分。小金城趾駅平和台駅までは1.6km、20分。流山駅まで2.2km、25分です。

 

南流山-平和台・流山はバスも多くあり、平和台へは7分、流山は9分程度の所要時間です。

鰭ヶ崎駅から南流山は徒歩圏内です。

小金城趾駅から南流山はやや距離があり、自転車向きですが歩けない距離ではありません。

流山線馬橋経由または幸谷から常磐線新松戸経由は、いずれも常磐線快速は通過します。

常磐緩行線(各駅停車)は、全列車が東京メトロ千代田線直通運転となり、上野へ行くには松戸乗り換えが生じます。

地域では新松戸の常磐快速線停車を目指していますが、まだ具体化していません。

 

流山線の利用者確保策は

TX攻勢の中、流山線にはできるがTXにはできない独自性は何でしょうか。

馬橋-流山の自社区間相互利用だけで伸ばすには限度があり、幸谷、新松戸で接続する常磐線常磐線直通の直通の千代田線、武蔵野線ルートでの利用を期待することになります。

すなわち常磐線松戸、綾瀬、千代田線沿線の大手町、霞ヶ関、国会議事堂前、赤坂、表参道、明治神宮前(原宿)方向ならば、新松戸から直通するため流山線乗車の道は残っています。

TXの場合、北千住接続の東京メトロ日比谷線東武線経由半蔵門線、また秋葉原でのJR山手、京浜東北総武線日比谷線との接続利便との比較になります。

秋葉原は千代田線とは接続しないので、千代田線接続利便のある丸ノ内線東西線三田線都電荒川線ならば新松戸からの千代田線直通は生きてきます。

常磐線柏側へは流山線幸谷、新松戸経由がTXに勝ります。

武蔵野線西船橋側への指向も同様です。

武蔵野線でも南越谷、南浦和方面はTXとは無関係ですが、南流山までバスまたは徒歩で向かい、流山線を見送る傾向があります。

 

◆幸谷駅は「幸谷(新松戸)」としてJR接続の案内を

馬橋-新松戸は常磐線146円、流山線は馬橋-幸谷130円、運賃改定後も140円で、運賃的には常磐線より有利です。

このことはもっと宣伝してよいと思います。

 

幸谷駅でのJR新松戸接続は流山線にとって重要です。

幸谷の駅名のまま、表面上はJR新松戸駅との接続が分からない名称のままにするのは流山線にとって得策でないと考えます。

幸谷駅は1961年開業後、1973年のJR常磐線武蔵野線新松戸駅の開業により、1982年に300mほど流山側の現在地に移転しました。

移転により幸谷-新松戸の乗り換え便宜が図られました。

 

一方、駅名は幸谷のままで、JR新松戸駅への道路上の乗り換え案内標識は積極的には行なわれていません。

JR新松戸駅から幸谷駅へ向かう場合は、規模の大きい新松戸駅からの幸谷駅乗り換えの場合は見つけにくい印象があります。

幸谷で降りて新松戸から東京を目指すと幸谷-馬橋の収入が減ることを懸念しているとも感じられますが、新松戸から幸谷への道路上の駅方向標識の整備が望まれます。

常磐線乗り換えは馬橋の方が便利ですが、新松戸の方が店舗が多く賑わいがあるほか、武蔵野線と柏側に向かう場合は幸谷-新松戸になるので、東京志向でも幸谷乗り換えは仕方ないと思います。

東京志向なら馬橋まで乗ってもらってJRに乗り換えた方が流山線の収入にはなりますが柏、西船橋方面の指向を軽んじてはいけないと思います。

 

駅名変更は容易にはできないでしょうが、幸谷駅に補足で「幸谷(新松戸)駅」とする駅名併記の表示や案内は行なった方が効果的ではないでしょうか。