JR西日本はJR東海315系、JR九州813系と同じく、嵯峨野線は221系のロングシート化を
山陰線京都口(以下、「嵯峨野線」)の列車混雑が話題になっています。
京都府では2023年10月16日に、JR西日本に対しダイヤの見直しや混雑緩和を求める要望書を提出しています。
JR西日本では土曜・休日中心の増発、増結、嵯峨嵐山駅への特急停車等を行なってきましたが、追いつかない状況です。
また、JR西日本は10月25日付けで、これ以上の増発は車両の新造が必要な旨の見解を示しました。
車両の新造が必要でも実施されない嵯峨野線の立ち位置
嵯峨野線の電車は、3扉転換クロスシートで2&2席の221系と、同じく2&1席の223系です。
223系は阪和線の車両を嵯峨野線に充て、座席は減少したものの、立席面積は拡大しましたが、抜本的解決には至っていません。
混雑を緩和するならば増発、増結、4扉ロングシートの通勤型電車投入などの手法が考えられます。
増発が限度であるならば、順序として増結であり、嵯峨野線の編成上限の8両化が望まれます。
4扉車投入の方が混雑緩和に効果的ですが、嵯峨野線はホームドアの兼ね合いから3扉車としたこともあって、4扉車の充当はしないようです。
最新の321系はもとより、207系、205系といった4扉車ではない3扉車投入となると、大阪環状線のようなドア付近の立席面積の広い323系投入が望まれます。
しかしながらJR西日本の姿勢として、東海道・山陽線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)、大阪環状線、阪和線の方に225系、321系、323系などの新車投入路線としての優先度を高い位置に置いている様子がうかがえます。
関西線(大和路線)、奈良線、嵯峨野線は次位に置かれている状況であり、その是非は別として現状、JR西日本の考え方として受け止めるほかありません。
3扉車で323系も困難となると、現状の221系、223系での対応で考えることになります。
複数の混雑要因があるとはいえ、221系の2&2席がその一要因になっていることは明らかです。
223系は2&1席で立席面積も2221系より広いためひとまず現状のままとし、221系の座席変更という対応になってきます。
3扉のまま立席面積を増やす手法として、乗降ドア付近の座席撤去、2&1席化、1&1席化、ロングシート化が考えられます。
1&1席化は座席が少なすぎ、現実的でないと考えられます。
乗降ドア付近の座席撤去はJR九州の813系で実施されましたが、効果が及ばず、座席が少なすぎるとの意見もあり結局、ロングシート化の方向となりました。
2&1席化は、中央通路を挟んだ片側だけ2席を1席にするもので、223系との共通座席化による案内しやすい利点があります。
それで混雑緩和効果が出るかどうかですが、2&1席でもロングシートの通路幅には及びません。
2&1席でも限界があるならば、さらにその次の施策対応になってきます。
通勤時の混雑緩和優先?でロングシート化傾向のJR4社
JR他社の状況を見ると、JR東海の315系、JR東日本の横須賀線・総武快速線E235系、JR北海道の737系、JR九州の813系転換クロスシートの完全なロングシート化など、ロングシート化の傾向が見られます。
混雑緩和が一番の名目ですが、普通列車にはロングシートで十分という考え方も感じられます。
その中でJR西日本だけは広島・岡山地区での227系3扉転換クロスシートを守っています。
京阪神の223系、225系も同様ですが、同じ227系でも紀勢線、和歌山線ではロングシート仕様で充てています。
227系ロングシート車の嵯峨野線投入も選択肢ですが、嵯峨野線への新車投入が土俵に乗らない次元と感じられます。
筆者はここで、思い切って嵯峨野線221系のロングシート化を提案します。
2&2席の転換クロスシートをロングシートにするのは、あまりにも落差が大きいとは感じますが、223系と同じ2&1席では3扉車ゆえの扉相互間の距離の大きさがあります。
また、2&1席の通路幅は2&2席よりは広くなりますが、ロングシートには及びません。
嵯峨野線の混雑に抜本的に応えるには、長期的に見て221系の2&1席化では限界が来てしまうと考えます。
乗降ドア付近の座席撤去もJR九州813系と同じ道を歩むように思われます。
立席面積に優れたロングシート化の方がよいと思います。
車両を4扉にしたくてもできない、したくない?嵯峨野線の車両事情、ホームドア事情ならば、3扉の221系でロングシート化が抜本的な混雑緩和策と考えます。
JR九州における813系転換クロスシートの完全なロングシート化を、JR西日本では嵯峨野線用の221系に特化した上で813系同様、ロングシート化する方が効果的と考えるものです。
JR九州813系とJR西日本の221系で異なるのは、813系では全車両のロングシート化に踏み込みますが、221系ではあくまで嵯峨野線だけの措置ということです。
転換クロスシートのロングシート化は、221系の転換クロス2&2席配置の栄光からすれば落差が大きすぎるとは思いますが、嵯峨野線の混雑に対する車両、ホームドア、線路容量、特急走行、京都駅山陰ホーム容量等を総合すると、221系のロングシートになってくると考えます。
仮にロングシート化の221系でも効果が発揮されないならば、JR西日本は223系のロングシート化、さらには3扉関連のホームドア計画を抜本的に見直し、4扉ロングシート車への変更を考えざるを得ないのではないかと思われます。
※写真は本文と無関係です。