当面は全編成の6両化→8両化、快速の各停化、各停15分間隔化を
Merkmal 2023年7月31日の、「京都市民の怒り爆発寸前? JR嵯峨野線『インバウンド大混雑』、JR西が抜本的対策を採らないワケ」を見ました。
山陰線京都-下関(正確には幡生)のうち、京都-園部間の愛称、嵯峨野線の混雑に触れた興味深い内容です。
日中の本数が毎時快速1往復、普通列車3往復にとどまり、大都市圏としては小規模編成であること、増発や増結は繁忙期中心だが繁忙期以外も混雑していること、ロングシート車を充てれば混雑解決策になるが、JR西日本の中で嵯峨野線の優先順位がそれほど高くなく、1日の駅乗降客数で上位50に入った駅がないことなどを指摘されています。
紀行作家、宮脇俊三氏は「旅の終りは個室寝台車」で、山陰本線を「偉大なるローカル線」とした印象的な表現があります。
当時、京都付近の東海道線の電化、複々線から、山陰線に乗り換えると単線非電化になる落差がありました。
うがった見方ですが、JR西日本は山陰本線に対し、旧国鉄時代からのイメージが頭の片隅に一部、残っていないでしょうか。
ディーゼル機関車と客車列車、気動車のイメージが残り、そこに321系4扉通勤形電車投入など想定外との考え、京都-園部を複線電化したのだから、とりあえずそれで十分という考えはないでしょうか。
JR西日本の臨時列車増発、増結対応状況は
JR西日本は、2023年6月30日付けで「嵯峨野線 夏の臨時列車運転・両数変更のお知らせ」のニュースリリースをしています。
以下、引用と、表の部分を文章化して表記します。
(以下引用)
嵯峨野線では昼間時間帯を中心に多くのお客様にご利用を頂いていることから、現在、両数を増やして運転する列車の本数を拡大しています(1日あたり 平日:26 本、土休日:34 本)
これに加えて、夏の期間中においては、京都~嵯峨嵐山・亀岡間で臨時列車を運転するとともに、7月三連休やお盆期間は、臨時列車および両数を増やして運転する列車の本数をさらに拡大します。
(中略)
現在、車内の混雑緩和およびスムーズな乗降を行っていただくため、以下の対応を実施中です。
〇補助シートをご利用いただける時間帯の縮小
〇座席が3列で通路部分が広い車両を一部列車で運転
(以上引用)
(以下、表の文章化)
【夏の期間】7/21~8/10、17~31
臨時列車を1日6本、車両増結を平日26本、土曜・休日34本に。
【7月三連休、お盆期間】7/15~17,8/11~16
臨時列車を平日8本、土曜・休日10本、増結列車を1日57本に。
(以上、表の文章化)
以上がJR西日本の2023年夏の混雑対応ですが、この時期を終えるとまた元に戻って、連休等を除いては4両、6両編成列車が基本となり、混雑の繰り返しになりそうです。
嵯峨野線の混雑緩和策
JR西日本では嵯峨野線への通勤電車の新製投入は考えていないと思われます。
奈良線の複線化改良が一段落したばかりで、京阪神地区では行なうべき施策が数多くあること、北陸新幹線開業、北陸線特急の転属配置等、緊急の課題が多いためと察します。
その結果、嵯峨野線の混雑緩和については221系、223系の3扉車での増結、すなわち4両編成の6両化、6両編成の8両化、転換クロスシートを4列から3列にした通路部分が広い車両での対応、多客期の増発で対応していると思われます。
しかしこれだけではまだ十分ではないことも確かです。
今後の嵯峨野線の混雑緩和策としては増発が一番ですが、京都駅付近の単線が残るため、限度はあるものの、具体的に次のような施策が望まれます。
① 京都発着の全列車の8両編成化
4両、6両では短く、輸送力不足になりました。
ひとまず4両編成の6両化がまず望まれます。
次に、少しずつでも8両編成化、最終的に全編成の8両化が望まれます。
② 20分間隔の普通列車について、毎時1往復の快速を普通列車化
それにより普通列車の運転間隔を毎時20分から15分に縮め、京都-園部間の通過駅での乗車機会を増やし、快速通過駅では毎時3往復から4往復になって、混雑緩和に寄与すると考えます。
京都-園部の快速の所要時間は20分、普通列車は27分で、7分差です。
快速利用者や、園部以西の利用者にはサービスダウンとも受け取られます。
しかしながら京都駅付近単線のネックと、8両編成以上は組成できないため、京都口の混雑が課題になっているならば、普通列車化による待ち時間の短縮はこの解決に寄与すると考えます。
③ 323系の投入
321系4扉車の投入が効果的ですが、梅小路京都西駅の3扉車タイプのホームドアを見れば4扉車の可能性はなく、3扉車で決定していると考えます。
そうなると3扉ロングシート車での混雑緩和が有効ということになります。
嵯峨野線に、全車両の扉間8人掛けとした323系を配置するのはどうでしょうか。
扉間は10人掛けですが、混雑する8号車に限り8人掛け(クモハ323形)として、乗降扉周辺の広いスペース確保により混雑対策を図っています。
323系投入が望めないならば現在の221系、223系のロングシート化での対応を考えていく方向になると思われます。
(※記載にあたり、Merkmal 2023年7月31日の「京都市民の怒り爆発寸前? JR嵯峨野線『インバウンド大混雑』、JR西が抜本的対策を採らないワケ」を参考にさせていただきました。)
※写真は本文と無関係です。