今回、もしも郡山駅構内ポイントの福島側が本線側に向けてあったらどうなっていたか
JR東日本から、2024年3月19日付で「東北新幹線 郡山駅構内 つばさ121号が停止位置を大幅に行き過ぎて停車した事象について」、これまでに判明した状況、緊急対策、今後の対応についての報告がありました。
報告内容の一部を「」表記で以下、引用させていただきます。
(以下引用)
「3月6日(水)7時27頃、東北新幹線つばさ121号(東京発・新庄行 E3系7両単独編成)は郡山駅12番線に停車の際、車輪とレールの間に滑り(滑走)が生じ速度が低下せず、所定停止位置を約520m行き過ぎて停車しました。」
「乗務員及び駅社員は、駅進入時の速度が通常より速いことを認め、非常停止手配の措置をとっています。」
「今回の条件において脱線及び他の列車との衝突の可能性について検証した結果、脱線及び他の列車との衝突の恐れはありませんでした。」
「駅進入時、ポイントを最高約145km/h(52号ポイント)で通過しました。 」
「本事象を受けての緊急対策について
E3系単独編成は、宇都宮~福島間において十分な制動距離を保てるように早めブレーキを実施しています。なお、下り列車のつばさ121号と159号及び上り列車のつばさ148号と160号は、E2系またはE5系を併結して運転しています。」
(以上引用)
この件についてはすでに鉄道関係の専門家、評論家、ジャーナリスト等の方々から様々な見解が出されています。
今回は筆者が感じたことを書きたいと思います。
福島側の本線合流位置のポイントは本線向きか、「つばさ」停車確認までは駅ホーム側向きか?
郡山駅で所定停止位置を約520m行き過ぎて停車した位置は、本線合流後の場所です。
520mはかなり長い距離です。
「つばさ121号」は郡山で後続の「はやぶさ」の通過待ちをするダイヤではなく、福島まで通過待ちのないダイヤです。
今回の停車位置は、福島側の本線合流後の場所でした。
この場合、後続列車の通過待ちがない駅では、本線合流後のポイントの向きは、今回の事象も想定して停車駅ホーム側になっていることは分かります。
もしも郡山で後続「はやぶさ」通過待ちのダイヤであっても、今回のような事象も想定して、発車後の本線合流ポイントの向きは、駅での完全な停車、乗降を確認するまでは駅構内側に向いているのでしょうか。
それとも駅構内停車を前提に、本線側、郡山通過線側に向いているのでしょうか。
これが仮に、本線側、郡山通過線側に向いていたとすれば脱線事故につながってしまいます。
公表文面を読ませていただくと、危機意識よりもやや楽観的にも感じましたが、本線合流ポイントが駅構内側に向けてあった条件の良さにも救われた部分があります。
後続列車の通過待ちがなかったのも不幸中の幸いともいえるものです。
JR東日本には危機管理意識を願いたく思います。
もしも運転資格のない前方監視員配置による自動運転列車だったら
鉄道各社では今後の乗務員確保の困難さ等に備え、列車の自動運転に取り組んでおり、JR九州の香椎線や鹿児島線の一部では、実証実験も含めてその取り組みが実施されます。
JR東日本でも山手線、常磐緩行線、京浜東北線等で準備が進められているほか、新幹線でも同様です。
自動運転において、今回の事象が発生した場合、運転資格のある人の配置であれば緊急ブレーキ措置の対応はできるとしても、その資格のない前方監視員の場合はどうなるでしょうか。
ちなみに、今回のJR九州の香椎線の自動運転は後者、鹿児島線は実証実験の位置づけで前者と受けとめていますが、前者と後者の違い、運転資格の有無による緊急時の対応差はどうでしょうか。
駅進入時、ポイントを最高約145km/hで通過したことについて
停車駅進入時の145km/hはかなり高速です。
脱線に足らなかったのは幸運とも思えます。
公表文からは145km/hで大丈夫という楽観的な印象も受けましたが、145km/hでは脱線の恐れもないわけではなかったという面はないのでしょうか。
他列車の併結運転対応について
「つばさ」単独運転よりも安心できる点は、緊急措置としてはよい対応と思います。
ただしあくまで緊急、暫定措置です。
今後とも全列車E5系併結というわけではないと思われます。
「つばさ」単独運転に戻す際に、安心して乗れるだけの対応、非常時の追加措置説明が望まれます。
その際、今回の件はE3系固有の現象か、他の東北・秋田・上越・北陸新幹線では起こらないE3系固有の特性があったのか、それはどのように対処して再発防止するのか、
後継の山形新幹線用E8系はE3系と異なる課題解決機能があるのか、安心してE3系単独「つばさ」に乗れるための今後の対応と情報開示が望まれます。