「のぞみ」に何度も追い抜かれることを逆に楽しむのが秘訣です
東京-新大阪を「のぞみ」で最短2時間21分の時代に、「こだま」の3時間54分、約4時間はいかにも遅い所要時間です。
「のぞみ」は運賃8,910円と指定席特急料金5,810円、合計14,720円が通常です。
安く行こうとすれば、自由席乗車で特急料金は4,960円、運賃との合計で13,870円です。
もう一声、安くならないかといえば、「ぷらっとこだま」が思い浮かびます。
「ぷらっとこだま」で新大阪まで11,210円です。
「のぞみ」自由席との差は2,660円ですが、所要時間は一般的な2時間30分と3時間54分とで、1時間24分の差があります。
1時間24分の差、所要3時間54分、駅に停車の都度「のぞみ」に何度も追い抜かれて2,660円差では「こだま」の意義は見いだせないのも無理はありません。
そこで「こだま」に楽しみをいかに見つけるかがポイントになります。
東京-新大阪「こだま」4時間をいかに楽しむか
筆者の「こだま」4時間の自己満足的楽しみ方は以下のとおりです。
〇 駅を発車→一定速度まで加速→一定速度で進行→減速→次駅に停車の繰り返しを楽しむ
いちいち停車を繰り返して何が楽しいのかといえば発車後、一定速度までぐんぐんと上がっていく加速感です。
高速道路の最高速度に至るまでのアクセルの過程と似たものがあります。
「のぞみ」の毎時最大12往復列車が後ろから追いかけてくるため、それを次の駅まで頑張ってやり過ごすべく、「こだま」でも高速運転をします。
「こだま」よりも京成「スカイライナー」の方が速く感じることがありますが、「スカイライナー」は先行列車の追い抜きがあり、後続列車の通過待避がないためです。
〇 「のぞみ」の通過光景を見る
「のぞみ」に乗っていると、やがて高速運転に慣れてしまい、高速であることを忘れてしまいますが、地上で「のぞみ」を見ればなんと速い列車かと再認識させられます。
その際、「こだま」では遅くて話にならないと思わず、お先にどうぞという余裕感、発想転換です。
〇 東海道新幹線のパターンダイヤの基本を知る
一例として、東京6時57分発「こだま703号」を見てみます。
新大阪到着は10時51分です。
東京7時00分発の「のぞみ203号」から、同8時21分発「のぞみ209号」の新大阪10時48分着列車までの間、「のぞみ」の臨時列車もすべて運転されていた日と仮定して、17本、「ひかり」は2本、計19本に追い抜かれます。
構造上、追い抜きができないのは熱海だけで、他の駅は全て構造上は追い抜きが可能な設備を持ちます。
品川と新横浜は「こだま」と「のぞみ」での並行ダイヤなので、所要時間は同じです。
それでも東京-新横浜で「のぞみ」の方が「こだま」より速く感じるのは、列車名称のイメージと、「のぞみ」は速いが「こだま」は遅いという先入観によるものです。
東海道新幹線ダイヤは「のぞみ」と「ひかり」を合わせて、東京発00分発と03分発は3分間の開きで続行運転の設定です。
東京発09分発と12分発、18分発・21分発・24分発、30分発と33分発、39分発と42分発、48分発・51分発・54分発も、東京を3分後の連続発車です。
東京12分発と18分発、24分発と30分発、33分発と39分発、42分発と48分発、54分発と00分発が、それぞれ6分、発車時間に差があるのがポイントです。
つまり、3分差で東京を続行運転する列車に対し、「こだま」は「のぞみ」2本、または「のぞみ」と「ひかり」各1本、計2本の追い抜きを同じ駅で受けるのが基本ということです。
静岡、名古屋では、追い抜き列車は1本が基本です。
〇 「こだま」の到着時刻、停車時間、発車時刻を知る
時刻表では、発車時間は分かっても到着時間は分からないことが多いものです。
パソコン情報から瞬時にわかることではありますが、一例として、東京6時57分発「こだま703号」の停車時間は下記のとおりです。
☆ 三河安城:4分停車
☆ 静岡:3分停車
☆ 掛川・京都:2分停車
☆ 品川・新横浜・熱海:1分停車
東京発毎時27分発の名古屋「こだま」の停車時分は上記と異なります。
「のぞみ」の通過列車が、東京駅何分発かを想定する
2分停車の掛川・京都、3分停車の静岡から6分停車の豊橋・名古屋・米原まで、「こだま」を追い越していったのは、東京何分発の「のぞみ」何号だろうかと、駅に停車の都度考えてみるのも興味深いと思います。
すれ違う上り列車を想定する
「こだま」の満席光景は少ないですが、筆者が「ぷらっとこだま」を利用する際の条件は一つ、下り列車ではE席指定ということです。
すれ違う列車が見られ、列車ダイヤの面白さを体感したいからです。
反対側のA席では、すれ違い列車は雰囲気でしか伝わらず、関心が薄れます。
下りでの沢山の追い抜き列車を想定するだけでも疲れるかもしれませんが、すれ違う上り列車を想定するのも面白いものです。
新大阪10時51分着まで間、上り「のぞみ」「ひかり」「こだま」は乗車当日、臨時列車を含めて何本あるのか、どの辺ですれ違うかを予想します。
すれ違い列車の多さを体感するには、東京発9時以降の方が面白みがあります。
ただし新大阪到着が午後になり、現地活動時間が短くなるリスクが伴います。
第2希望としては15号車です。
「のぞみ」通過待ちの際、追い抜いていく「のぞみ」が最後部位置からよく見えるからです。
最後部16号車の方がホームでの通過見学は楽ですが、座席間隔がやや狭いため、隣の15号車を選びます。
ただし15号車E席であっても前提条件があります。
隣のD席が空席ということです。
D席に利用者がいた場合、駅到着の都度、毎回ホームに出ると迷惑をかけます。
かといって最初からD席を予約しては車窓が得られません。
その意味では6月は閑散月で列車利用が少なく、空席が比較的多い水曜日を選びます。
それでもD席に利用者が来た場合は、ホーム上の見学を5分停車の小田原、6分停車の豊橋の2駅に絞ります。
小田原-豊橋は所要約1時間30分で、「たびたび前の方を通って失礼します」の許容範囲の限度と勝手に思っていますが、仮眠中やパソコン入力に励まれている場合は座席上の観察にとどめ、ホーム観察を諦めます。
また、名古屋までに隣席の人が入れ替わった場合には、6分停車の米原を追加します。
ホーム上の観察興味から、上りの「ぷらっとこだま」ではB・C席の2人分の気遣いに増えるため、「ぷらっとこだま」の利用はほとんどありません。
利用するならグリーン車ですが、駅到着の都度の出入りはグリーン車の静粛性や落ち着いた車内空気を乱すほか、上級座席ゆえに停車駅でのホーム観察自体がどうでもよくなり、睡魔に負ける傾向があります。
並行在来線の列車を見る
東海道線普通電車だけでなく、貨物列車の多さには改めて驚きます。
下り貨物列車を一瞬のうちに追い抜きますが、東海道新幹線の長さに負けない、東海道線の長い貨物列車編成には頼もしさを感じます。
東京-武蔵小杉の東海道・横須賀線並行区間、米原-五箇荘20.9キロの近江鉄道の線路並行も見どころです。
往路に「こだま」に乗ると、帰路の「のぞみ」のありがたさを再認識します。
それは「のぞみ」「こだま」の両列車乗り分けをしてこそ体感できると感じました。