平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

東海道・山陽新幹線 計画運休後のダイヤ大幅乱れなら「こだま」で運転を

「のぞみ」退避皆無なら東京-新大阪「こだま」3時間、博多-新大阪3時間30分の効果

台風7号の接近、大雨に伴う東海道・山陽新幹線の計画運休についてテレビ、ラジオ等の放送で著名な弁護士、キャスター、社会学者のほか、テレビ誌ライターの方々からのコメントがありました。

今回は、種々の発言を振り返りながら意見、感想を書きたいと思います。

以下、「」は引用させていただいた部分です。

 

◆ 「もし責任を取りたくないという思考が働いてしまうと、とにかく早め早めの運休、そうではないと思うんですが、確率ですよね、こういうリスクがあるから運休しますとか。もしかすると、それくらいのリスクだったら、もうちょっと動かしてもらった方が社会の利便性のためにいいんじゃないのっていう議論を、やっぱり国民的な議論を巻き起こすためにも、なにかブラックボックス的にもう運休ではなくて、リスク評価をしっかりした上で確率論で説明してもらいたいなという気がします」(以上、スポニチアネックスより引用)

→ 「責任を取りたくない」「それくらいのリスク」だったかどうかは別として、大混乱は避けたいということが優先すると考えます。

1時間で60ミリ以上の雨が降った場合などの基準があり、一定の基準数値で列車運転可否を判断することは順当と思います。

基準数値と、その基準を超えた現在の数値を出してから、運転見合わせに理解を得るのも一つの情報公開です。

ただし数値を出すことによってそもそも、その基準数値は順当なのかという次の議論が起きてきます。

数値は独り歩きしやすい点があり、「確率論」でも、どの数値で一定線を引くかの見解が分かれます。

 

◆ 「JRは止まっていても私鉄はほぼ全部動いているんですよ現状。地下鉄もほぼほぼ全部動いていますし、私鉄も一部運休のところもありますけど基本動いています」

→ 私鉄、地下鉄は路線規模、総距離数がJRと比べて少なく、長距離列車、貨物列車がない、駅間距離が短い、駅の数が多い、編成が短いなどの特徴があります。

近鉄は、路線網は長いですが、エリアは広くとも近畿圏内の範囲であり、最寄り駅が沢山設定されており、新幹線と同じ尺度では比べられない面があると考えます。

 

◆ 「本当に止める必要があるようなお天気の状態ならみんな止めることには同意なんですけど、ちょっと…簡単に止めすぎなんじゃないの?」

「そりゃあ安全確保は最優先ですけど、同時に国民の移動の重要な手段であるということの責務を自覚して最小限止めるという方向でいかないと。ネットの世論なんかは計画運休はみんな大賛成だったりするんですが、声を上げられなくて本当に移動手段に困っている人たちのことも(考えるべき)」(以上、スポニチアネックスより引用)

→ 計画運休しすぎ、簡単に列車を止めすぎ、行けるところまで行くべきという考え方ですが、結果論です。

新幹線は駅間距離が長いので、途中の駅間で止まらざるを得ない確率は高く、長時間停止になるほど列車を出すべきではなかったと、鉄道側の判断の誤りに苦情、非難が集まります。

「最小限止めるという方向」とは、止める時間の長さや、本数を減らして徐行運転すればという意味もあるかと思われますが、最小限の範囲を終えて列車を動かした後の利用者の殺到、運転確保の確実性の見通しは、長距離の新幹線では時間を要することに一定の理解は必要と考えます。

 

◆ 「久しぶりに里帰りとか、レジャーに出かける人も多いんで、そこであらかじめ計画運休を発表して、当日にいざとなったら雨があまり降らないということもあり得るわけじゃないですか」

→ これも結果論です。「当日にいざとなったら雨があまり降らないということも」の「あまり」は、どこまでなのか、その後の台風の動きに変化はないのか、台風の余波での大雨はないのか、最終的にすべて鉄道側に責任がかかります。

そこで路線が短く、駅間距離も短い私鉄では列車を動かしていることとは条件が違います。

私鉄では進むところまでは進み、最寄り駅で停車後、大雨が強くなったので運転を見合わせることもできますが、新幹線ではできないことです。

 

◆ 「1月に寒波の影響で、東海道線で列車15本が立ち往生したケースを上げる声も。その際、JR西日本は計画運休を実施せず、約7000人が最長で10時間も車内に閉じ込められる被害も発生しました。鉄道会社としては、こうした事態を2度と起こしたくないとの思いが強いのでは。」(以上、アサジョより引用)

→ 2023年1月の寒波によるJR西日本の在来線電車立ち往生はまだ記憶に新しいところです。

計画運休をしなかったため、長時間列車に閉じ込められた事態を二度と起こしたくないという指摘は的を得ていると思います。

2023年1月の寒波の時は、同じ在来線でありながら、JR西日本側に駅と本部との意思疎通、意思決定に反省点がありました。

ただしその教訓と新幹線とは同列にできない部分があります。

 

◆ 「JR東海は、東海道新幹線沿線などに雨量計を59ヶ所設置ています。運転見合わせとなる雨量は以下の2点です。

① 1時間で60ミリ以上の雨が降った場合。60ミリは土砂降りです。視界もかなり悪くなり、危険ということです。

② 24時間の総雨量が150ミリ以上で、直近の1時間で40ミリ以上の雨が降った場合。

どちらかに該当した場合、運転見合わせになりますが、今回は①と②両方の条件に当てはまっているところが何ヶ所かあったということです。」(CBCテレビより引用)

→ 参考になる数値です。

専門家の意見も聞いたらという趣旨の意見もありましたが、東海道新幹線区間は盛土区間が多くあることも加味する必要があります。

 

ダイヤ乱れが大きく、運転本数が少なければ「のぞみ」を「こだま」にして運転を

全体的な意見・感想として、長時間運休していた東海道・山陽新幹線が、運転本数を削減し、速度を落としながら運転再開するならば、「のぞみ」「ひかり」でなく、各駅停車の「こだま」で運転したらどうかと考えます。

本数大幅減、速度を落としての運転、到着時間の遅れが明らかな状態ならば、JR東海JR西日本とも「のぞみ」の直通を見送ること、「のぞみ」の自社線内折り返し運転を「こだま」に変えて、「こだま」のみでの本数を増やす方がよいと思います。

問題は利用者側が新横浜-名古屋間ノンストップに慣れてしまっているため、小田原-三河安城間の9駅停車がじれったいことです。

 

大手私鉄では列車本数が確保できない時は有料特急列車は運休、料金不要の特急、急行も運休し、各駅停車だけの運転を行なうケースが見られます。

東海道・山陽新幹線大手私鉄と規模は違いますが、大手私鉄の各駅停車思想は参考にする余地があると考えます。

 

「のぞみ」退避皆無なら東京-新大阪「こだま」3時間10分

「のぞみ」「ひかり」退避がまったくない場合の「こだま」の東京-新大阪間は所要3時間10分、東京-名古屋2時間10分です。

「ひかり」と遜色はなく、途中駅の「のぞみ」退避時間がいかに長いかを示した時間です。

同様に、博多-新大阪では「こだま」は3時間30分です。

「のぞみ」の東京-新大阪、新大阪-博多の2時間30分と比べ40分から60分、所要時間が延び、停車駅は多いものの、後続列車の追い抜きがなく、到着後すぐに発車するダイヤならばダイヤ混乱時は「こだま」で理解が得られるのではないでしょうか。

「のぞみ」はダイヤ混乱時であっても速達、時間短縮への期待感がどうしても高くなります。

途中駅は通過しながらも、所要時間が長くなって「こだま」と大差がないから苦情になるとも言えると思います。

計画運休時だけでなく、何らかの事故による大幅な本数減、速度を下げての運転時にも「こだま」なら所要時間がかかっても移動できただけよいかという気持ちになる効果はあると思われます。

 

(※記載にあたり、スポニチアネックス、アサジョ、CBCテレビより一部を引用させていただきました。)