山形新幹線と秋田新幹線の将来について考えます
山形新幹線と秋田新幹線の将来計画がいくつか公表されています。
その内容を見ていきたいと思います。
まず2024年春に新型E8系投入があります。
E8系は東北新幹線内では時速300km/hまで出すことができます。
秋田新幹線E6系ほどの高速は出さない分、先頭部の流線形は緩やかになり、先頭車の座席定員がE6系よりも増加します。
次に、2026年末の、東北新幹線との立体交差により福島駅上り新幹線ホームに入線するアプローチ線建設です。
現在、上り「やまびこ」が「つばさ」を併結する際は、福島駅手前で下り線を渡って福島駅下りホーム側に入ります。
後ろに「つばさ」を併結後、下り線を再びまたいで上り線に戻ります。
本線の「はやぶさ」が時速320km/hで福島駅通過の中、2回もの下り線平面交差は怖い感じもします。
今後、ALFAーXによる360km/h通過ならなおさらです。
まだ先の話ですが、立体交差で上り線に直接入ることができれば「やまびこ」「つばさ」とも安心度が高まります。
三つ目が板谷峠の新線トンネル建設です。
時速200km/h運転により10分以上所要時間を短縮し、降雪期の列車ダイヤの乱れや運休も減る期待があります。
長大トンネルのため完成は2040年代になる見通しですが、山形への時間短縮は歓迎されます。
気になるのは福島-米沢間の普通電車です。
福島-庭坂は新線トンネルにかからないため、列車の存続が考えられます。
この区間のために標準軌の普通電車を米沢側から持ってくるのも非効率と思います。
そこで考えられるのは「つばさ」の一部を庭坂停車とした上で、庭坂-米沢間の区間乗車に限り乗車券のみ、又は特急料金を割り引いて「つばさ」に乗車可能とする措置です。
ただし福島-米沢間にまで適用拡大するのは無理だと思います。
石勝線の特急特例乗車の山形新幹線版といえますが、どうなるでしょうか。
もう一つ気になるのが庭坂-米沢間の現在線の措置です。
この区間の利用状況と降雪状況から見れば新トンネル完成後、現在線での運行継続は厳しいものがあります。
しかし車窓は胸が高鳴るものがあります。
庭坂を出た下り列車からは、右側車窓にこれから山越えに立ち向かう架線柱が連立して見えます。
(旧)赤岩からの上り列車では左側車窓に、急勾配を下りながら広大な福島盆地が展開します。
この絶景が見られなくなるのは惜しまれます。
せめて庭坂-(旧)赤岩の区間だけでも、冬期は別として、夏と秋を中心に観光列車区間で残せないものでしょうか。
(旧)赤岩ではスイッチバックの行き止まり型トンネルの遺構を見ながら一定時間停車後、同列車で庭坂へ戻ります。
赤渕-田沢湖間に新たな長大トンネルにより5分前後の時間短縮を図り、東京-秋田を3時間30分前後で結ぶ構想です。
時速360km/h運転のALFA-Xに新型「こまち」を塀鉄する前提の話かと思われます。
秋田新幹線で希望したいことは、大曲駅の秋田側への移転によるスイッチバック構造の解消です。
これにより所要時間はさらに縮小できますが、理由はもう一つあります。
大曲-秋田間の所要約30分の間、後ろ向きに座り続けるのは快適とはいえません。
不快感を抱いたり乗り物酔いを起こす人もいるのではないでしょうか。
やはり新幹線は前向きに着席したい欲求があります。
座席を回転すればよいとは言っても前後の人への気遣いもあります。
また、上り列車では秋田発車時点で既に後ろ向きの座席を前向きに変え、大曲で再び戻すのも精神的負担があります。
特急「ひだ」の名古屋-岐阜間の約20分間も逆向き座席ですが、秋田新幹線には「新幹線」と名乗る路線としての風格があります。
スイッチバックを無くしていく方向で検討願いたいものです。