万一、新幹線が止まった時には並行在来線での補完輸送を
12月19日の「列車内に長時間閉じ込められたとき」の続編です。
ここでは一例として、東海道・山陽新幹線の東海道区間を取り上げます。
同新幹線が不通になった際、乗車前であれば新幹線から在来線に変更して目的地へ向かう考えが浮かぶのは自然なことです。
今回の豊橋-名古屋間の架線事故のように、復旧まで4時間かかるのであれば、たとえば東京から三島への利用なら、在来線への変更も考えられます。
復旧まで4時間というのは結果であって、事故発生からしばらくは復旧時間がわからないまま経過していくことが多いものです。
そのため移動距離が長い人ほど、新幹線駅で復旧をじっと待つ結果となっています。
しかし新幹線の復旧見込みが立たないときや、開通まであと3時間は待つことが明らかならば、JR東海は短距離利用者(東京から三島くらいまで)を焦点に、在来線への誘導も促すべきと考えます。
その際、東海道・山陽新幹線で気になることが二点あります。
一つは、東京-熱海、米原-新大阪の2区間では新幹線と在来線のJR会社が異なることです。
その結果、上記区間では東海道新幹線を受け持つJR東海と、在来線を受け持つJR東日本・JR西日本とでどこまで連携、補完輸送ができるかにかかります。
静岡、名古屋付近の在来線は新幹線と同じJR東海区間なので、在来線誘導案内もある程度行なわれるかと思いますが、それが東京、大阪の在来線でも同様に行なうかどうかです。
連携・補完とは、在来線での車両増結や臨時列車運転、最終列車の後の列車増発、在来線版の列車ホテルなどです。
在来線への振替輸送版であり、在来線列車の一時的輸送強化対応です。
そこにはまだJR間の垣根を感じてしまいます。
もう一点は在来線の熱海-三島と、大垣-米原の列車本数を意図的に少なくしているのではないかと感じられることです。
利用が少ないからと言えばそれまでですが、熱海-三島の在来線利用が三島以西と比べて本数を削減するほど劣るとも思えません。
うがった見方ですが、ここに東京-熱海と名古屋-新大阪の乗車を新幹線に誘導するJR東海の意図が見え隠れしてきます。
つまり、熱海-三島の本数を減らすことで三島-東京を新幹線に誘導し、熱海-東京の運賃収入を見込む。
同じく大垣-米原を減らして、名古屋-新大阪を新幹線に誘導し、米原-新大阪の運賃収入も見込むための策に感じてしまいます。
事故で新幹線が長時間運休する時には、三島折り返しのJR東海の普通列車を熱海まで臨時に延長運転して、JR東日本の在来線利用者への乗り継ぎ接続の便を図る。
これが乗客への配慮というものではないかと考えます。