本来の趣旨と異なる裏ワザ・逆手乗継方法で分かれる鉄道ファン行動も過去の話へ
JR4社(東海・西日本・東日本・北海道)から、2023年9月22日付けで、連名でなく各社から、新幹線と在来線特急列車の乗継割引を終了する旨のニュースリリースがありました。
JR東海とJR西日本は廃止時期を2024 年3月 16 日(土)乗車分よりと表記、JR東日本とJR北海道は詳細な時期(日程)は決まり次第としています。
JR九州の九州新幹線、西九州新幹線は当初から乗継割引の対象外でした。
JR4社リリースに見る乗継割引廃止理由の微妙な差異
乗継割引廃止の理由について、JR4社にそれぞれの考え方が感じられます。
関係部分について一部分を引用させていただきます。
(以下引用)
◆JR東海
「東海道新幹線のご乗車に際しては、約半数のお客さまに、新幹線の会員制ネット予約&チケットレス乗車サービス「EXサービス」をご利用いただくなど、ネット予約へのニーズが高まってきています。
こうしたお客さまのご利用状況の変化を踏まえ、東海道新幹線と在来線特急列車とを乗り継ぐケースにおいて、新幹線は「EXサービス」、そして在来線特急列車もネット予約してご乗車いただけるよう、来春、EX会員が新幹線以外の旅先でのコンテンツ等を予約いただける「EX旅先予約」にて、在来線特急列車のおトクな商品をご用意する予定です。
これに伴いまして、新幹線と在来線特急列車とを乗り継いだ場合に適用される「乗継割引」を来春、廃止します。」
「コロナ禍後のお客さまのご利用状況の変化やデジタル化の進展等の社会変容を踏まえ、乗継割引を終了いたします。」
「新幹線ネットワークの拡大や、インターネット販売等の拡充による販売環境の変化により、お客さまのご利用方法が変化しています。新幹線と在来線特急列車を乗り継いだ場合に在来線特急料金等が半額となる「乗継割引」についても、ご利用するお客さまが減少していることを踏まえ、このたび取扱いを終了します。」
「お客様のご利用状況や、弊社を取り巻く経営環境の変化を踏まえ、北海道新幹線と在来線特急列車との乗り継ぎ割引を廃止いたします。」
(以上引用)
こうして見ると、JR東海所有の東海道新幹線の乗継割引のケースが多いことが感じとれます。
乗継割引の本来の趣旨
乗継割引は本来の趣旨でいえば、新幹線開通前までは直通列車で設定していたところが、新幹線開通によって乗り継ぎが必要になったことに対するフォローの意味合いがありました。
東海道・山陽新幹線でいえば、京都では高槻・園部方面へ、新大阪では神戸方面へ、岡山では広島・米子方面への乗り継ぎを主とするものです。
ただ、当時の国鉄としては乗り継ぎ路線を特定するとことは、現場が混乱する懸念があったと思われます。
一例として、東海道新幹線の名古屋での中央線乗り継ぎでいえば、大阪方面から中央線直通列車は新幹線開通前、開通後とも設定があったので、乗継割引は理解できます。
反面、静岡方面から名古屋経由中央線への直通列車はありません。
これを厳粛に、名古屋での乗継割引は岐阜、大阪方面からの乗り継ぎに限るというのは混乱をきたすので行ないませんでした。
本来の趣旨と異なる乗継割引
世の中いろいろな人がいるもので、乗継割引制度の裏技、逆手の方法として乗継割引を使う方法がありました。
〇 京都発九州行き寝台特急に乗る際、京都-新大阪を新幹線特定特急券で購入し、新大阪から特急料金を半額にした寝台列車に乗り継ぐケース
〇 東京-熱海の往路を新幹線、帰路の同じコースを在来線特急にしてそれを乗継割引にするケース
〇 新幹線からその日のうちの在来線特急乗り継ぎの際、在来線特急を自由席特急券にして有効期間2日間を拡大解釈し、翌日に乗り継ぐケース
〇 新幹線特急券だけ払い戻すケース
これらは不正や不正でなくとも本来の趣旨と異なり、望ましくないケースが見受けられました。
乗継割引の拡大解釈が人との分かれ道になったことも
制度の拡大解釈であっても合法と割り切る人もいますし、実際にはそこまで出来ないとして、頭の中では浮かんでも実践まではしない人もいます。
同じ鉄道ファンでも価値観の違いにより、そこで付き合い方の分かれ道になることもありました。
乗継割引は残念ではあり、移動経費が増える要因になることも事実ですが、廃止は時代の流れと受け止めたいと思います。