グリーン車増結を機に、快速は甲府まで運用区間を拡大するかどうかを探ります
あるブログで、中央快速線グリーン車連結と普通車のトイレ設置は、大月から甲府までの快速列車区間の拡大や、211系が大月以西での運行となることを示唆するとの要旨の記事を見ました。
そのとおりに実現すれば東京から大月まではほとんどが快速直通となり、さらに甲府まで延伸となれば中央線の大きな躍進です。
現況から見てその実現性はどうでしょうか。
今回は、JR東日本側の立場を想定して考えてみたいと思います。
グリーン車の新造が世界的な半導体不足の影響により、営業開始が繰り返し延期されていることから、中央快速線の編成数を増やすことは困難と思われます。
しかし現状の編成数のまま快速を甲府に延伸するには編成数が不足します。
実現するには、朝の通勤時専用の編成を活用してその日の運用を終えた後、基地で休まずに甲府快速用に充てることです。
東京-甲府の直通快速設定で、JR東日本には気にかかることが2点あります。
一つは特急「かいじ」「あずさ」との関係です。
東京から甲府へ快速グリーン車が直通すると、新宿始発の「かいじ」「あずさ」に乗り換えて甲府に行く人が減るのではないかという懸念です。
新宿-甲府は、特快の高尾乗り換えでの普通列車乗り継ぎと、特急直通とでは約50分の所要時間差があります。
これが東京-甲府の場合、新宿乗り換えがないことが甲府快速の強みになります。
JR東日本にとっては快速グリーン車需要が増えることは良いが、特急需要の方がより増えてほしいジレンマがあります。
もう一つは、グリーン車付き基本編成が甲府まで行くかどうかです。
大月までは12両編成、付属4両は富士急行で河口湖乗り入れ又は大月で切り離して待避線へ。
基本8両はそのまま甲府へ行くのが理想の編成運用です。
これが逆に基本8両を大月に残し、付属4両の方が甲府に行くケースがないかどうか。
つまり、大月-甲府の普通列車にグリーン車需要がどの程度見込めるかです。
常磐線のケースで見ると、日中の土浦-水戸の普通列車グリーン車需要が見込めなかったため、日中の基本編成は土浦止まりとなっています。
土浦と水戸の普通列車需要関係を、中央線大月と甲府にも当てはめてこないかということです。
うがった見方ではありますが、JR東日本が快速の甲府直通と特急の需要を両立させるには、快速の東京-甲府直通を謳った後で、ただしグリーン車は大月までですよ、甲府まで行くのは付属4両ですよという運用にするのではないかとも思い浮かべます。
それ以前の話として快速を最初から大月止まりのままとし、甲府延長をしなければそもそもこんな議論は生まれないのだ、東京-甲府は特急だという短絡思考だけはJR東日本にはしてほしくないと願います。