平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

成田線パンタグラフ破損事故 E233系なら予備パンタ使用で早く復旧できたか?

事故車はE231系ですが、もしもE233系だったら復旧は早かったかを考えます

5月6日(土)7時45分頃、JR成田線我孫子支線)の新木-布佐間で、強風による倒木の影響により電車のパンタグラフ(以下、「パンタ」)が変形、破損し、一部区間では7時間以上運転を見合わせたとの報道がありました。

倒木により架線かパンタに接触したのではないかとみられます。

事故に遭った電車はE231系10両編成で、2基のパンタ両方とも破損しました。

救援に同形式の5両編成が向かい、15両編成を組成して車両基地まで回送されました。

成田線我孫子-成田は常磐快速E231系で運用しています。

 

事故の話題の中、いささか不謹慎かもしれませんがパンタ破損で一つ、気になったことがあります。

事故車がもしもE231系でなくE233系だったとしたら、事故後の復旧は早くなっていたのだろうかということです。

E233系は常用のパンタがすべて使用不能の場合にも1ユニットが使用できるように、未使用状態の予備パンタを備える電車です。

今回のようなパンタ事故の際に予備パンタを上げる(使う)ことにより、救援車両の到着を待たずに車両基地へ自力回送できたとすれば、予備パンタの意義はあります。

 

しかしながら通常は、パンタ全部の破損ならば、架線自体に異常が発生している可能性が高く、予備パンタがあってもそれを使用して自力回送したかどうかは別の話です。

架線に異常がないか、事故現場付近からパンタ破損地点までの目視点検が伴います。

架線には異常がなかったことを確認したら、または事故後に架線修繕を完了したら、E233系なら予備パンタで救援は不要、復旧はもっと早くなったのかどうか。

牽引用に別の編成を充てる方が無難かという選択になるようにも思われます。

 

一方、横須賀・総武快速線E235系1000番台や東海道・山陽新幹線N700系S編成には蓄電池、バッテリー自走システムにより、架線停電時でも最寄り駅まで走行できる性能を持ちます。

今回の事故に当てはめると、あくまで最寄り駅までの自走機能であって、車両基地の自走までは想定していないと思われますが、少なくとも途中区間で長時間立ち往生よりも最寄り駅へ自走機能がある方が望ましいことは確かです。

 

以上のことは2022年10月14日付け、拙「JR東日本予備パンタグラフは不要」でも触れましたが、今回の成田線事故が予備パンタ車なら自力回送できたとするならば、E231系にも予備パンタの追加設置を検討してはどうかとは思います。

しかしながら常磐快速線全体で見れば、中距離用E531系や特急E657系は交直流電車のため、予備パンタ設置は困難と考えられます。

E231系の車齢も関連します。

結局、E531系との関連もあって、成田線も受け持つ常磐快速E231系に予備パンタを追加しても仕方ないということに帰結するでしょうか。

ちなみに常磐緩行線は、乗り入れてくる東京メトロ千代田線と小田急線電車がいずれも予備パンタを備えない中、JR東日本E233系は備えているこだわりを持ちます。

 

ともあれ、予備パンタの出番がないよう、事故現場付近を中心とする沿線の強風、倒木対策を願いたいと思います。