平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

近鉄の全線フリーきっぷに見る利用者への配慮

近鉄全線2日間フリーきっぷ」「近鉄週末フリーパス」を見る

近鉄は全線フリー切符として週末、金曜~日曜または土曜~月曜の3日間有効の「近鉄週末フリーパス」を4,400円で通年発売していますが、それに加えて4月27日付けニュースリリースで、6月中の毎日を対象に「近鉄全線2日間フリーきっぷ」3,000円の発売を公表しました。

昨年までの「近鉄全線3日間フリーきっぷ」も同価格だったので、1日当たり1,000円から1,500円へと実質的には値上げされています。

この値上げについては受け止め方次第ですが、通常の片道運賃を見ると近鉄名古屋大阪難波で2,860円、京都-賢島3,060円であり、これまでに1日1,000円は相当安価だったとみることもできます。

1,500円でもまだ安いと受け止めて良いのではないかと思います。

安さの背景には、近鉄の特急はすべて有料であり、特急本数が多いため、特急に乗ることが多い(乗らざるを得ない)ことがあります。

これはJR北陸線など各地の幹線でも見られる現象です。

京都、大阪難波から近鉄奈良まで30分程度でも特急を多く設定するダイヤには抵抗感もありますが、不満なら競合するJR西日本奈良線、関西線(大和路線)、おおさか東線の快速を選択することになります。

 

近鉄全線2日間フリーきっぷ、近鉄週末フリーパスには、購入のしやすさと、列車の乗りやすさの点で誰にも購入しやすくする近鉄の配慮が感じられます。

近年のJR各社のフリー切符はネット予約、クレジット払いがほとんどになり、窓口や自動券売機での購入は不可の傾向にあります。

近鉄のフリー切符は主要駅の窓口、定期券・特急券自動発売機でも扱っているので、クレジットカードのない人、持っていてもほとんど使わない人にも気軽に購入できます。

特急券は別途購入ですが、好意的に見れば特急券を購入すれば特急にも乗れると受け止めることもできます。

JRの青春18きっぷにはない近鉄のフリー切符の特性です。

 

前日までに購入する条件のため、遠隔地から利用する場合は前日の現地泊となります。東海道・山陽新幹線で前日に名古屋、京都、大阪等で宿泊して近鉄フリー切符を購入しておき、翌日から多く乗車する方法となります。

 

鉄道ファンが近鉄の路線や列車を多く制覇する場合、料金不要列車(快速急行、急行、準急、区間準急)に乗れば日常的雰囲気が味わえて経済的でもありますが、所要時間がかかるので近鉄全路線乗車は困難になります。

特急料金別払いで乗車可能を利点として、発想を変えて豊富な特急列車の全形式乗車するのもよいのではないかと考えます。

近鉄特急には汎用型一色でない、各特急編成の個性、持ち味があります。

単なる移動でなく、列車の雰囲気が異なります。

全車指定席で、満席では乗れないため、6月の閑散期、平日2日間は指定券確保がしやすく、まさに理にかなった近鉄の計算術です。

 

特急の着目順では近鉄ホームページの特急車両ラインナップの順番どおりで、「しまかぜ」「ひのとり」「あをによし」「青の交響曲」「アーバンライナー」「伊勢志摩ライナー」「さくらライナー」「ビスタカー」、そしてスタンダードタイプ(汎用型)となります。

休日ダイヤで運転本数が少ない順に見ると「青の交響曲」(大阪阿部野橋-吉野2往復)、「しまかぜ」(京都・大阪難波近鉄名古屋-賢島へ各1往復)、「あをによし」(京都-近鉄奈良大阪難波へ計4往復)、「さくらライナー」(大阪阿部野橋橿原神宮前・吉野へ計7往復)の状況です。

 

筆者のこだわりは一つ、近鉄名古屋大阪難波の特急は、近鉄名古屋側から乗ることです。

伊勢中川の短絡線に乗ることと、反対方向の線路に一旦合流し、逆方向を走る乗車体験がポイントです。

関東の例で言えば、八高線高崎側に乗る時、北藤岡→倉賀野の方向ではあっさり高崎線の下り線に合流して終わりますが、倉賀野→北藤岡の場合は高崎線上り線から分岐後、単独の待避線をしばらく走り、北藤岡へ入る時の待避線の体験をしたいのと同じです。

 

汎用型を含めて全9種類の特急と本数の限られる枝線に、いかに効率よく全部乗るか、2日間で達成できるか、3日間ならできるか、時刻表との戦いも近鉄の楽しみの一つです。