平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

JR貨物の見学会企画に見る参加者への配慮

参加費が無料または有料でも最大千円のJR貨物の貨物駅見学会

鉄道各社による車両基地の見学会は以前から行なわれていますが、近年は車両基地内での列車操縦(運転)まで行なう体験企画も増えてきました。

体験内容や規模によっては10万円を超えるものもあります。

それでも定員を超える申し込みがあることは、高価であっても内容に見合ったものと受け止められている結果と理解できます。

 

そんな中で、JR貨物から6月20日付けで「夏休み親子で自由研究企画! 貨物だよ 全員集合!JR貨物見学会」のニュースリリースがありました。

7月27日(木)に、JR東海の関西線四日市前に集合後、ビデオ上映、JR貨物四日市駅構内を見学。

四日市港から出荷されるセメント貨車を追って、国内では現役唯一の跳開式可動鉄道橋梁で可動橋初の重要文化財に指定された末広橋梁、セメント出荷センター構内をバス車内から見学する内容です。

参加対象は四日市市内在住の4年生以上の小学生と保護者限定、10組20名の定員ですが、10時集合から15時15分頃の解散まで、途中50分間の昼食休憩をはさんで約4時間30分の見学時間です。

参加費は1,000円ですが、一瞬1桁少ないのではと錯覚する人もいるかもしれません。

 

ここで、最近2023年の、JR貨物の貨物駅見学企画状況をみてみます。

以下、開催日時、会場、募集人数、参加費、見学内容の順に概略で記します。

 

東京貨物ターミナル駅・大井機関区 50周年ふれあいフェスタ

5月5日(金・祝)10:00~16:00、東京貨物ターミナル駅

EF210形機関車、M250形式スーパーレールカーゴ、コキ106形、12ftコンテナ、私有コンテナの展示。

ヨ8000形式車掌車乗車体験、ミニ鉄道乗車体験、荷役作業実演、鉄道模型展示、子供用制服記念撮影、構内作業風景の上映、グッズ販売等。

 

◆吹田操車場開業100周年・吹田貨物ターミナル駅企業10周年記念イベント

5月6日(土)13:00~16:00、吹田貨物ターミナル駅、300名(吹田及び摂津市在住者のみ参加可能)、無料。

車掌車乗車体験、子供用制服撮影会、ゆるキャラ撮影会、JR貨物音楽部演奏、コンテナ・パネル展示、物品販売。

 

◆貨物鉄道輸送150年記念 JR貨物フェスティバルin下関

5月14日(日)10:00~15:00、JR貨物下関駅、人数制限なし、無料

オープニングイベント、EF210形直流電気機関車EH500形交直流電気機関車、DB500形ディーゼル機関車、コンテナ貨車、コンテナ積載トラック、フォークリフト、各種コンテナの展示。

一部車両運転席公開、貨車入れ替え作業、コンテナ荷役作業実演、ミニ列車乗車体験会、子供制服撮影会、ゆるキャラ撮影会、会場内クイズラリー、ブース出展、パネル展示、物品販売、JR貨物音楽部等による演奏、キッチンカー等による飲食物販売。

 

◆参加費は無料または千円

以上、4つの見学会を紹介しましたが、JR貨物は全国網の路線規模を活かして5月だけで3回もの見学会を開催しています。

いずれも無料または千円で参加できるのが特徴で、多くの係員の動員や諸経費等を換算すれば参加費が5桁になっても不思議ではありませんが、最大千円にとどめているのは貨物鉄道という特殊要素もあるでしょうが、JR貨物の配慮と考えられます。

とくに下関の企画は事前申し込み不要、当日の入場人数制限もなく、こちらが逆に諸経費の負担等の余計な心配をしてしまいます。

 

JR旅客会社や私鉄の中には、JR貨物と類似した内容企画もあるでしょうが、鉄道会社それぞれの考え方があり、内容や参加費について他会社と安易に比較する性格のものでもありません。

その中でも今年のJR貨物の見学内容と、参加者に対する費用負担を抑えた配慮には感謝をしたい気持ちがあります。

 

余談ですが、JR貨物では機関車の車体側面にロゴマークを表示しています。

EF210形電機に「ECO‐POWER 桃太郎」、EH500形電機に「ECO‐POWER 金太郎」、EH200形電機に「ECO‐POWER ブルーサンダー」、DF200形DL機に「ECO‐POWER RED BEAR」の愛称を付けています。

いずれも「ECO‐POWER」が共通で、省エネルギー、経済的の反面、出力や牽引力は十分ということの、機関車への親しみを込めたPRと思われます。

貨物駅見学会企画は、鉄道貨物輸送の意義と重要性、全国各地の貨物ターミナル、機関車、貨車、貨物列車走行区間、コンテナ配送による市場等から店舗、家庭までの物流の流れなど、貨物への関心を深める好機です。

 

JR貨物の見学会参加費の配慮には、一般の人が貨物列車に乗車してもらえるわけではないゆえに、旅客列車だけでなく貨物列車への関心度を高め、身近な存在として応援してほしいとの思いが込められていると受け止めました。