平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

短編成特急列車の半室グリーン車設置の意義とは?

3両~4両編成の特急に半室グリーン車がある背景を探ります

全国の新幹線と特急のグリーン車に乗り放題だったフルムーン夫婦グリーンパス(以下、「フルムーンパス」)の発売が2021年度を以って終了しました。

これまで、フルムーンパスの利用者に対応して普通車のみの特急列車に1両の半室分、グリーン車を設ける列車も見られました。

1両全室をグリーン車とはせず、半室分だけグリーン室で改造したところにフルムーンパス利用者への気遣いが感じられます。

今回は、短編成の半室グリーン車付き特急の状況を見てみます。

 

最短は3両編成の特急です。

以前、1997年から2010年まで、奥羽線秋田-青森に設定されていた特急「かもしか」は485系3両編成で、当初は普通車のみでした。

その後、秋田側の普通車先頭車の乗務員室側に2&2席で3列、計12席のグリーン車を設けた時は同様の配慮を感じました。

 

現在、3両編成の定期特急としてはJR四国の「いしづち」「南風」「モーニングEXP松山」があります。

4両編成では、JR北海道「宗谷」「サロベツ」、JR東日本「つがる」、JR西日本「きのさき」「こうのとり」、JR九州「きらめき」「ハウステンボス「みどり」「にちりん」「ひゅうが」「きりしま」があります。

なお、いずれも全列車でなく一部列車のみに該当するケースもあります。

 

同じ4両編成でも「ひだ」「やくも」のように、1両全室がグリーン車ならばそれなりの需要があると見られますが、半室となるとグリーン車需要がやや厳しいかと感じさせます。

ただし同じ半室グリーン車でも、列車により定員は異なります。

JR北海道261系は「宗谷」「サロベツ」が9席ですが、「とかち」は24席です。

以下、座席数は下記の状況です。

〇 JR九州787系「にちりん」「ひゅうが」「きりしま」、JR四国8600系「いしづち」、2700系「南風」「しまんと」「あしずり」は12席

〇 JR九州ソニック」は885系が12席、883系が15席

〇 JR西日本287系「きのさき」「こうのとり」15席

〇 JR東日本「つがる」16席

〇 JR四国8000系「いしづち」18席

なお、車椅子対応や荷物室設置等で座席減の場合もあります。

長編成列車では、9両編成で残る中央線臨時特急用E257系9両編成の半室グリーン車は28席、山陽・九州新幹線N700系は24席です。

特急グリーン車座席の配列は2&1席が多いですが、JR東日本JR東海は当初2&1席だったものの、現在は2&2席で割り切っています。

 

短編成特急の半室グリーン車の意義は、フルムーンパスへの対応はあったにせよ、一例としてJR四国を見れば、以下のように考えられます。

〇 独自のグリーン車フリー切符(四国グリーン紀行、四国バースデーきっぷ)に対応した、グリーン車でじっくり四国を見る、四国の列車に乗ることの意義と価値

〇 指定席満席時に別料金を払ってでも着席したい人への対応

〇 普通車に空席があっても、もともとグリーン車に乗る人への対応

〇 岡山-松山・高知の所要2時間30分以上の乗車時間

〇 グリーン車が連結されているという特急のステータス

以上の総合判断と考えられます。

他のJR5社でも個々に考え方は異なるにしても類似した点はあるかと思います。

 

JR四国に話を戻すと、岡山-徳島の直通「うずしお」は約2時間を要し、グリーン車があれば岡山から四国の4つの県庁所在地へグリーン車有りとアピールもできますが、全16.5往復の中の2往復で、他の14.5往復が高松-徳島約1時間という点を考慮した結果と思われます。

185系から2700系に変わったことでの時間短縮も一つの要因に数えられます。

余談ですが国鉄時代、急行「阿波」の一部列車は半室グリーン車付きだったこともありました。

 

コロナ禍が終了して列車利用が戻った後、半室グリーン車では足りないから1両全室にしようかという需要回復を待ち望みます。

 

※写真は本文と無関係です。