平行普通列車

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岡山県側から見る四国新幹線と並行在来線影響の認識を整理する

岡山県側から見る四国新幹線の位置づけ、考え方とは?

Merkmal(メルクマール)2023年7月15日の「四国新幹線の推進『ハードル高い』 岡山県知事のバッサリ発言にみる、埋めようのない四国・岡山の温度差」を見ました。

四国新幹線ルートを岡山県瀬戸大橋線側に絞って建設促進に向けて進もうとする四国4県にとっては、梯子を外されたかのような刺激的な内容です。

今回は、記事の一部を引用されていただきながら、岡山県から見る四国新幹線への位置づけや想いを考えてみました。

太字は引用部分、→は筆者の感想・意見です。

数値データについては順不同です。

 

(以下引用)

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2045年の四国の人口は2015年より100万人以上少ない約282万人

(以上引用)

→ 2045年の四国人口は別として、2022年1月1日現在の四国の住民基本台帳人口で見てみます。

愛媛県1,341,539人、香川県964,885人、徳島県726,729人、高知県693,369人、4県合計3,726,522人です。

なお、岡山県は1,879,280人です。

また、九州の一部の県の人口状況では、福岡県5,108,517人、熊本県1,747,513人、長崎県1,320,055人、大分県1,131,140人、佐賀県812,193人です。

 

(以下引用)

四国には「政令指定都市」がひとつもない

(以上引用)

→ 政令指定都市は全国に20市ありますが、その中に四国がないことは事実です。

しかしながら、政令指定都市が一つもないということでは、北陸新幹線長野・富山・金沢、西九州新幹線関連の佐賀・長崎、東九州新幹線関連の大分の各市も同様です。

参考までに、政令指定都市の一部の市の人口を見てみます。

岡山市719,437人、広島市1,191,445人、北九州市924,143人、福岡市1,631,409人、熊本市737,850人、最少は静岡市683,358人です。

上位5市は、神奈川県横浜市3,771,961人、大阪府大阪市2,756,803人、愛知県名古屋市2,325,778人、北海道札幌市1,973,000人、福岡県福岡市1,631,409人です。

 

中核市の人口状況

続いて、参考として、中核市を見てみます。

中核市は全国に62市あり、松山市高松市高知市中核市です。

2022年10月1日現在の、一部の中核市の人口を見てみます。

最大は千葉県船橋市645,757人、次いで埼玉県川口市591,738人、鹿児島県鹿児島市589,676人、東京都八王子市580,088人、兵庫県姫路市525,044人、栃木県宇都宮市514,966人に次いで、7位が松山市505,948人です。

高松市は414,105人(17位)、高知市321,247人(41位)です。

最少は鳥取県鳥取市186,045人です。

中核市ではありませんが、徳島市は247,741人です。

なお、長崎市は398,836人(21位)、大分市474,314人(10位)です。

 

(以下引用)

四国から岡山駅に乗り入れる特急列車には2、3両編成で運行しているものがあるのに、本当に採算が取れるのか、検討準備会の試算を「楽観的すぎる」と批判する声は四国内にもある。

(以上引用)

→ 岡山発着の四国特急で予讃線「しおかぜ」は5両編成、土讃線「南風」は3両編成で、その程度の輸送需要かと言われれば認めざるを得ません。

ただし、四国島内では高松発着列車「いしづち」「しまんと」との併結により、多度津-松山では8両編成、多度津-高知では5両編成になります。

快速「マリンライナー」は5両編成、早朝と最終列車近くになると3両または2両編成もあります。

岡山県から見れば、5両編成が8両編成になろうと、3両編成が5両編成になろうと、しょせんはその程度が上限ということで終わりそうです。

しかしながら同じ岡山に発着する特急を見ると、伯備線「やくも」は基本4両、山陽・智頭急行スーパーいなば」は2両編成です。

伯備線は2024年春から新型373系「やくも」が登場の予定ですが、4両編成で11組、計44両です。

現在の381系66両に比べ3分の1が減ります。

岡山発着の在来線は四国行き列車を含め、いずれも4両前後の状況です。

列車や時期によって増結はありますが、短編成という点では四国特急と大差なく、短編成の輸送需要と新幹線整備の意義との両立が論点です。

 

(以下引用)

四国4県の経済界には「維持費節減のため、線路を単線で建設し、利用客が少なければ2、3両編成で運行すればいい」との声が出ているが、駅で対向列車待ちする2、3両編成の新幹線に国のゴーサインが出るのだろうか。

(以上引用)

→ 新幹線の意義は大量高速輸送です。

2~3両編成の新幹線は、そもそも新幹線が必要かという議論になってきます。

新幹線は4両編成の組成が下限と思われます。 

単線の新幹線実例もないので、高速運転での安全確認には、京成成田スカイアクセス線や、かつての北越急行での単線区間での時速160km/h運転以上の慎重さ、安全配慮が求められます。

 

四国新幹線に対する岡山県の考え方を整理する

他にも引用したい箇所がありますが長文になるため、以下で要約整理したいと思います。

〇 四国新幹線岡山ルートが整備されて恩恵を受けるのは四国であって、岡山県ではないこと。

〇 岡山県は岡山-瀬戸大橋約30kmに対し、約300億円の実質負担が伴うこと。

〇 300億円負担に対する岡山県での恩恵が見出せないこと。

〇 四国新幹線整備の場合、並行在来線がJRから経営分離される結果、岡山県では宇野線岡山-児島の運営を担う課題が新たに生じること。

〇 他県の並行在来線状況を見ると、利用が予測を下回り、多額の持ち出しに苦しむ自治体が少なくないこと。

〇 現在の瀬戸大橋線は非常に便利であり、運賃も適当であること。

〇 四国新幹線によって並行在来線問題が新たに波及すること。

〇 四国には政令指定都市がないこと。

〇 四国から岡山への特急が2~3両編成程度の需要で、四国新幹線の採算性に疑問があること。

〇 四国新幹線整備が決定しても完成まで20年から30年かかるかもしれず、反面、四国の人口は今後、大幅な減少が想定されること。

 

岡山駅での路線の多さの事情

岡山駅は全国有数の多路線発着駅です。

状況は以下のとおりです。

〇 山陽新幹線山陽線伯備線吉備線津山線赤穂線宇野線瀬戸大橋線まで計8路線も乗り入れていること。

〇 岡山県内で完結する路線、または岡山県内で一定の路線規模の距離があることに対し、四国新幹線並行在来線は岡山-瀬戸大橋約30kmであること。

 

四国新幹線に求められるもう一つの要件

四国新幹線が四国に来る場合、どのような線路配置になるのか、四国は一体となって決める必要があります。

瀬戸大橋を渡って四国に入ってから、高松と徳島、松山、高知の3方向に全部整備するのでしょうか。

現在の瀬戸大橋線予讃線の接続配線と同様、宇多津側と坂出側とに分けて松山行きと高松行きに分けた線路配置をするのでしょうか。

1路線なら高松または松山のどちらでしょうか。

四国新幹線が決まってから考えればいいということでしょうか。

 

難しいのは、高松と松山との両方の速達が同時にできない位置にあることです。

岡山-高松の整備の場合、坂出または高松での特急乗り継ぎのため、松山側への速達メリットは薄れます。

それとも岡山-宇多津-松山側への整備でしょうか。

この場合は、高松方面は宇多津で乗り換えになります。

 

東九州新幹線の動きに留意を

最近になって、東九州新幹線が現在の久大線に沿った新たなルートの話題で盛り上がりを見せています。

また、西九州新幹線は、武雄温泉-長崎が開通しており、新鳥栖-武雄温泉の建設を目指している最中です。

九州で新たな新幹線の2路線に話題がさらわれていくと、四国新幹線は置いてきぼりになり、先を越されて日の目を見なくなる、あるいはさらに遅くなる可能性が高くなります。

仮に、博多から九州新幹線熊本・鹿児島県、西九州新幹線佐賀・長崎県東九州新幹線大分県の3つの新幹線網地図を見たら、いささか失礼な言い方ですが四国の萎縮が心配になってきます。

 

本州から見ると九州の方が目立ちやすく、四国は地味に映ってしまい、何かと損をしている印象を受けます。

四国新幹線にもその影を感じてしまいます。

一先ず四国は、島内の新幹線のルートを高松、松山、高知、徳島のどれにするのか、複数路線なのか、単一路線なのか、方向性を決めていくことが求められます。

四国だけ新幹線がないからということで、国を動かせるでしょうか。

 

国の前に岡山県との調整

国の前に、岡山県側の四国への認識を踏まえた上で、四国側の考えに理解を得ることが先決です。

四国新幹線に対する四国と岡山県との見解相違や費用負担は、西九州新幹線に対する長崎県佐賀県を思い起こさせます。

岡山県の四国に対する認識や将来展望、負担費用の有効性、並行在来線経営の安定化等への進展を見守りたいと思います。

 

(※記載にあたり、Merkmal 2023年7月15日「四国新幹線の推進『ハードル高い』 岡山県知事のバッサリ発言にみる、埋めようのない四国・岡山の温度差」を参考にさせていただきました。)