伊勢堂岱遺跡見学、ANA客室乗務員の列車内案内、阿仁合解散がどう受け止められたか?
すでに終わった話ですが、秋田内陸縦貫鉄道(以下、「秋田内陸線」)でANA秋田支店とのコラボにより、2023年9月30日に「縄文スイーツトレイン」の企画がありました。
伊勢堂岱遺跡を見学後、秋田内陸線「秋田縄文号」に乗車し、列車内ではANA客室乗務員が沿線を機内風に案内して、縄文をモチーフにした菓子の提供を受けながら阿仁合駅で解散する内容で、参加費は大人1名7,500円、2名1組13,000円でした。
受付は先着20組、列車運行目安は10組、申込締切は設定日の15日前までとされていました。
定員に達し次第、予告なく受付終了もあるとのことでしたが、秋田内陸地域公共交通連携協議会が締切日2日前になっても参加者のない状況から、公式X(Twitter)で「オラに力を分けてくれ」と懸命に参加を呼び掛けたことが話題になりました。
そのような経過から、列車運行の目安定員に達するのは難しかったと察します。
ツアーの内容での話題よりも、必死の集客の方が印象に残りました。
集客できなかった3要因と次回改善策
この「縄文スイーツトレイン」は大館能代空港の羽田3便化応援企画として、ANA秋田支店と協力して5月から企画されてきたようです。
今回は、集客できなかった要因と今後の改善策を考えてみたいと思います。
① 伊勢堂岱遺跡のほかにもう1か所の観光地見学を
伊勢堂岱遺跡、縄文館の見学がツアーのポイントですが、この1か所だけで人を呼ぶのは難しかったと感じます。
少なくとも、もう1か所の観光地見学がほしかったところです。
秋田内陸線沿線で、阿仁合の阿仁伝承館・異人館、東北の駅百選に選ばれた阿仁マタギ駅とマタギ資料館、笑内と萱草の間にある大又川橋梁、阿仁前田駅の温泉付き駅舎クウィンス森吉など沿線各駅の温泉地、角館武家屋敷通りなどです。
なお、秋田内陸線沿線は目立った観光地は少なく、同鉄道のサイトを見ても駅からの観光地案内は見当たりませんでした。
少なくとも秋田内陸線観光ガイドマップへのアクセスサイト連携が望まれます。
通常は駅集合がほとんどの中、最寄駅から徒歩10分とはいえ、見学会場集合では食指が動きにくいと思われます。
今回、10時30分までに伊勢堂岱縄文館に集合となっていますが、秋田内陸線経由または大館能代空港経由を想定して集合場所の配慮がほしかったところです。
同空港の飛行機着陸時間に合わせて指定場所に集合の上、秋田内陸線経由縄文小ヶ田駅での参集者とバスで同乗の上、伊勢堂岱縄文館に向かうのが自然ではないかと考えます。
ANAの飛行機で現地を訪れ、ANA客室乗務員による列車内の案内によって、飛行機と列車それぞれの客室乗務員の案内を比べるのも一興かと思います。
航空側の客室乗務員による列車案内の興味深さを思うと残念です。
この企画が羽田からの飛行機客を期待したものであるならば、羽田-大館能代空港-伊勢堂岱縄文館-縄文スイーツトレイン-阿仁合のあと、秋田内陸線沿線を自由に見学して、翌日に秋田空港または大館能代空港による往復ANA経由のツアーで組んでいたらとも感じます。
③ 阿仁合解散でなく、角館までのツアーを
阿仁合でツアーが終了し、阿仁合で他の参加者と別れる内容ですが、そのあとの行動が難しくなります。
秋田内陸線沿線の観光地が浮かびにくいからです。
同沿線にどのような観光地があるのか、沿線車窓や列車自体を味わう観光要素はあるかなどです。
秋田内陸線のサイトでは、四季それぞれの列車風景など秀逸な写真が掲示されていますが、沿線観光地情報にはまだ不足を感じます。
列車による観光地訪問を前面に出してほしいところです。
阿仁合まで来たならば、せっかくだから秋田内陸線沿線を見ていこうかという気にさせる内容がほしかったと感じました。