平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

京急2100形 人気の高さを再認識する存在感

他の路線では得られないクロスシート席の優越感、高速運転等の総合要素

東洋経済ONLINE、2023年10月6日付け、「京急のフラッグシップ車両『2100形』が放つ異彩日中は特別料金不要の2ドア・クロスシート車」を拝見しました。

京急2100形の様々な魅力に踏み込んだ内容です。

京急2100形は首都圏のJR東日本、関東の大手私鉄の中にあって、最も気軽に乗れる優越感が快感にもなり、満足感を満たしてくれる存在です。

特別料金不要、運転席背後の前面展望用の特等席、前面展望を配慮した大きな窓、高速運転、主要駅のみの停車、前向き固定クロスシート、本数の多さ、泉岳寺三崎口(平日は久里浜)の長距離運用、運転士のきびきびとした運転姿、これらの要素を持ち合わせた総合的な魅力があります。

 

冒頭の記事で具体的に指摘されていますが、その中で印象に残った箇所を中心に以下、引用させていただきます。

なお、太字が本文からの引用、→が自分の感想、意見です。

感想・意見と言っても、これまでに多くの人が語ってきたことと同じ類ですが、改めて2100形の存在感を再認識しました。

 

有料特急のような片側2ドア車で座席が進行方向を向いたクロスシート

→ 有料特急であっても何ら不思議でないのに、特急料金が不要なのが2100形です。

料金不要列車の場合、4人掛けボックスシートにとどまるのが関東で、2100形の前身2000形はそれを打ち破って俗称、集団見合い型配置としました。

2000形全盛当時、集団見合い型座席であっても、4人ボックスよりは上のクラスであり、京急の評価は高まりました。

後継の2100形は思い切って全席を前向き固定にした意欲は、高速運転も相まって京急の評価を一層高めました。

品川、横浜ではJR東日本の特急も発着しますが、愛称の「快特」「特急」からJR東日本と混同し、特急料金が必要と思われるのも無理はありません。

同じ特急でも京急側の料金不要のありがたさに加え、列車の品格に遜色はありません。

 

日常の移動の中でちょっとリッチな旅行気分が味わえる2ドア・クロスシート車両は、わざわざ選んで乗りたくなる特別感がある。

→ 京急は品川-横浜で東海道線、品川-逗子・横須賀・久里浜横須賀線と競合します。

JR東日本は京浜間以外にも首都圏に広大な路線網を持つのに対し、京急は京浜地域だけです。

さらには東海道線複々線でしかも直線状であり、横須賀線を含めれば3複線で、最大15両編成の輸送力です。

京急としては横須賀線東海道線を横目にマイペースなだけでは危機感がありました。

それを車両の面から最大限に積極性を表現したのが2100形と感じます。

 

通常の営業列車では相互直通運転をする都営浅草線に乗り入れることはない。そのため2100形京急線の北端の泉岳寺を発着駅とする列車に使用されることが多い。

→ 本来ならば2100形を「エアポート快特」に充当して、羽田空港-成田空港を走るのに適任ですが、自社路線優先なのはやむを得ません。

仮に2100形保有編成数に余裕があったとしても、2扉車での都営地下鉄浅草線直通は混雑、混乱が懸念されます。

今後進んで行くホームドア設置の点でも難しい面があります。

エアポート快特」の夢は3扉クロスシートの1000形1890番台で果たしてほしいと思います。

 

上り列車には「品川方面泉岳寺」と行き先が表示される。

→ 細かなことですが、行き先表示器に「方面」と表記することがポイントです。

「品川・泉岳寺」の表記では、一部の車両が品川止まりかと誤解するためです。

話は逸れますが、誤解の実例としてJR東日本山形新幹線の新庄行きがあります。

単に「新庄行き」ならよいのですが、山形を強調したかったことと、利用者にわかりやすいだろうということで、行き先表示器は「山形・新庄」としています。

山形新幹線列車の半分近くは山形行きです。

列車編成の一部を山形で切り離すのかと誤解する人はいないでしょうか。

 

ドア間の座席は常に進行方向を向いた転換クロスシート。乗客が自分で回転させることはできない仕様で、終着駅の京急久里浜三崎口では座席が一斉に方向を変える様子を車外から眺めることができる。

→ 自分で回転できない仕様の方が、全席前向きにできます。

飛行機やバスで座席を向かい合わせにもできる思想はありません。

4人グループなら、中央通路を挟んで横一列に並べばよいことですが、列車の場合は4人掛けボックスシートもあるため、列車で向かい合わせにしたくなるのも理解はできます。

しかしながら座席を回転させて向かい合わせで座る場合、3人グループでは別の人が座る際、半強制的に後ろ向きとなって、グループの仲間に入れられ多様な空気になり、気まずくなる体験をした人もいると思います。

他の人が来たら座席を前向きに戻すのがルールですが、既に3人が盛り上がっていて、それを行なわないケースが見られるためです。

前向き固定席はその点でもよいことと受け止めます。

ただし最新の1000形1890番台は、利用者が任意に回転できる方式になりました。

 

先頭車の運転席の後ろは展望座席だ。先頭で前面展望が楽しめる人気の席だが、こちらも固定式のため、最後尾になった場合は車掌と向かい合わせになる。この展望座席以外のドア横の座席は混雑時以外に使用できる補助いすが付いている。

→ 運転席背後の2人掛け席は2100形の人気をさらに高めます。

この座席は600形、1000形1890番台にもあります。

一方、JR東日本を見ると運転席背後は座席がないどころか、壁になっています。

JR東海でも211系の時の大きな窓が、最新の315系では半分を壁にして、客室からの前面展望をしにくくしました。

クラッシャブルゾーン、サバイバルゾーンとも呼ばれる、踏切事故等で運転士を守ることとの関連や、運転士の運転操作上の影響や配慮もあるかと思われま、京急でも1000形で一部、その傾向は見られました。

2100形、600形を初め、最新の1000形1890番台で再び前面展望に配慮押してくれたのはありがたいことです。

 

2100形は8両編成10本が在籍する。そのなかで“異色”なのが、「KEIKYU BLUE SKY TRAIN(ブルースカイトレイン)」。「赤い電車」のイメージが強い京急車両のなかで、青色塗装がひときわ目立っている。

→ ごく一部の編成で、別の車体色を採用するのは、その電車にたまたま乗り合わせた時、鉄道ファンでなくとも「今日は変わった色の電車だった」と意外に話題になります。

その意味で京急の狙いは成功しています。

ラッピングやヘッドマーク付きの編成も話題になりますが、車体色全体を変える方が話題効果は勝ります。

1編成だけにそれを施すのも賢明です。

 

「クセが少ない高加速、高減速で運転する楽しさがあった。展望席にお子さんが乗っていると、『いいところを見せよう』と張り切った」

京急運転士の前向きな、乗客のサービス精神を忘れない、嬉しい言葉です。

その意味では1000形の一部の、前面展望視野を狭めた設計は惜しまれますが、再び大きな窓にした1890番台の増備が期待されます。

仮に今後の1000形増備が1890番台でなく、通常のロングシートとしても、前面展望は配慮してほしいものです。

 

余談ですが、同じ東洋経済ONLINE、2022年4月22日付け「『京急フェイスの原点』600形の攻めすぎた過去登場時の座席が独特、運転士『関西系の車両』」の中で、以下の一部を引用させていただきます。

(以下引用)

また「運転台のガラスが大きく見やすくてよい」と評判がよい一方で「展望席は京急らしさが出ていてよいと思うが、見られる運転士としてはプレッシャーがかかる」という本音も聞かれる。

反対に後方の場合、展望席は車掌と向かい合わせになるため、乗客としても少し気まずくなるときがある。

(以上引用)

→ 「見られる運転士としてはプレッシャーがかかる」という声もあり、運転士全員が必ずしも同じ受け止め方ではないことは受け止める必要があります。

また、「後方の場合、展望席は車掌と向かい合わせになるため、乗客としても少し気まずくなるときがある。」というのは、乗客だけでなく、車掌側にも乗客から常に監視されているようで落ち着かないこともあると思います。

以下は京急の話ではありませんが、乗務員室を熱心に眺めすぎて、遮光幕を下ろされた事例を他の鉄道で何度か見ることがあります。

乗務中に必要なことでも携帯電話使用や水分補給で投稿されることがあり、そのため、乗務員室背後にそのことのお断り文を貼付しているケースも同様です。

後方展望を楽しむ際、車掌と目が合うのは避けられませんが、乗務に影響しないよう、線路方向を見るように心掛けたいと自戒しました。

 

総括

上記、様々な2100形の人気要素に加え、高速運転も重要な要素の一つです。

線形が並行する東海道線より不利な分、高速運転ができる直線区間に入ると一挙にスピードを上げるのが何とも応えられない快感です。

筆者には小さな悩みなど一挙に吹き飛ばしてくれる迫力と力感があります。

京成、成田スカイアクセスの「スカイライナー」時速160km/h運転とはまた違った、京急2100形快特120km/hの持ち味があります。

今後はホームドア整備の関連で、2100形の役目は1000形1890番台に徐々に変わっていくことも想定されます。

その際、2100形は3扉改造するか、ロングシート化するか、2000形の動向を2100形も踏襲するか、状況を見守りたいと思います。

とはいえ、まだしばらくは2100形の活躍が期待されますので、楽しみは続きそうです。

 

(記載にあたり、2023年10月6日付け、東洋経済ONLINEの「京急のフラッグシップ車両『2100形』が放つ異彩日中は特別料金不要の2ドア・クロスシート車」、2022年4月22日付け「『京急フェイスの原点』600形の攻めすぎた過去登場時の座席が独特、運転士『関西系の車両』」を参考にさせていただきました。)

 

※写真は本文と無関係です。