平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

273系「やくも」投入と「スーパーはくと」智頭急行経由の大阪-出雲移動を考える

381系の揺れ、内装デザイン、座席を改善した273系投入効果はどうか?

2023年10月23日付けの東洋経済オンライン、「JR西の新型特急やくも『乗客を寝かせない』工夫」を拝見しました。

273系投入に際し、車上型の制御付き自然振り子方式、車内を広く見せる色使い、セミコンパートメントの導入等によって、現381系で見られる乗ったとたんに寝てしまう乗客がいなくなり、満足度を高める苦心のエピソードが展開する内容を興味深く読ませていただきました。

 

本文の中で、以下のような記述があります。

以下、引用させていただきます。

(以下引用)

やくもの存在を知らない人が少なくないようだ。「大阪と出雲市を移動する手段として、高速バス、智頭急行の特急スーパーはくと、航空機などを選ぶ人が多い」

~中略~

関西方面から山陰を訪れる観光客に「やくもに乗ってみたい」と思わせるような車両が必要だ。

(以上引用)

 

今回は、関西から山陰へ、新大阪-出雲市への列車選択について考えてみたいと思います。

 

高速バス、飛行機の状況は

新大阪-出雲市の「のぞみ」「やくも」乗り継ぎは定期列車12往復、季節・週末休日運転列車を含めると15往復、所要約4時間10分、12,930円です。

大阪-出雲市の高速バスは10往復、所要約5時間30分、6,500円です。

伊丹-出雲の飛行機は5往復、所要50分です。

速さは飛行機、安さは高速バスで、「やくも」と1時間20分ほどの差に対して列車の半額、乗り換え無しなら食指が動くのも道理です。

岡山で「やくも」と新幹線乗り継ぎが長い時間帯もあり、その場合は高速バスとの所要時間差が縮まり、「やくも」は不利になります。

新大阪側の新幹線だけでなく、広島、博多側の列車接続も考慮する必要があり、現在の岡山発毎時05分発はそれを両立させた接続で、分かりやすいダイヤということはできます。

 

飛行機、高速バスは置くとして、「やくも」に乗らないのは列車自体を知らないからか、知っているが381系列車に魅力がない、酔いやすいから避けられているのか、または両方の要素の重なり合いがあるでしょうか。

後者であれば、列車自体の魅力を高めて酔わないように苦労された273系の乗り心地が期待されます。

 

関西から出雲市へ「スーパーはくと」で行くか?

目下のライバル「スーパーはくと」に触れていますが、同じJR西日本とはいえ智頭急行線経由であり、「やくも」に乗らない悔しさの思いは伝わってきます。

さて、そこで関西から出雲市へ行く際、「スーパーはくと」で行く人が実際にいるのでしょうか。

スーパーはくと」は京都-倉吉で、週末休日運転列車を含めて5.5往復、約4時間です。

京都-鳥取では最大7往復、約3時間30分です。

倉吉または鳥取で「スーパーはくと」から「スーパーまつかぜ」「スーパーおき」への乗り継ぎとなりますが、両者の接続は考慮されておらず、1時間程度は待つのが通常です。

スーパーはくと」で大阪-出雲市へ行くとすれば、鳥取や倉吉で途中下車観光を含めての利用と考えられ、出雲市までの直通速達で「スーパーはくと」を選ぶ人はいないと思われます。

唯一、あるとすれば大阪から直通で山陰方面へ行ける列車という便利さのイメージや意義によるものかと思われますが、いずれにしても同じ山陰とはいえ鳥取、倉吉と出雲市は距離と時間が伴います。

大阪と出雲市を移動する手段として高速バス、航空機などを選ぶ人が多いのは分かるとして、智頭急行の「特急スーパーはくと」も含めるのは鳥取観光下車の前提がなければ、はたしてどれほど利用があるかは疑問が残ります。

大阪から出雲市へ新幹線と伯備線、「のぞみ」と「やくも」の乗り継ぎが知られていないとすればもっとPRが必要になりますし、知ってはいても381系の酔いの問題ならば273系の酔わない、酔いにくい効果を伝えていくことが必要と考えます。

 

セミコンパートメントの座面スライドと乗降ドア位置のわかりにくさが、乗務員や駅員とのコミュニケーションにつながるか?

もう一点、本文において、273系セミコンパートメントの座面スライド作業のわかりづらさや、1号車位置にありながら2号車から乗る方が便利なことにも触れています。

この点を考えたいと思います。

以下、引用させていただきます。

(以下引用)

座面をスライドする作業はややわかりづらく、乗務員の手を借りざるをえないかもしれない。また、セミコンパートメントは1号車ではなく、2号車から乗車するほうが位置的に便利そうである。これもわかりづらいが、むしろ逆手に取って乗務員や駅員が乗客と積極的にコミュニケーションを取れば乗客の満足度向上につながるはずだ。

(以上引用)

 

本文にあるように、この不便さを逆手に取って、乗務員や駅員が乗客と積極的にコミュニケーションを取り、乗客の満足度向上につながっていくでしょうか。

乗客が鉄道に対して、また273系新車に対して好意的な見方をしてくれるならば満足度向上になるかもしれません。

しかしながら、わからないことは何でも気軽に聞ける人もいる一方、人に聞くことを極力避け、それを億劫がり、嫌う人がいることも認識する必要があります。

鉄道側にとっては、同じことを毎回聞かれるとすれば、一般的に分かりにくい構造、構成だったことになります。

そもそも説明を聞かないとわからない構造では仕組み自体に課題が残ります。

説明を求める前に分かりやすい使い方の表記、図解や写真での表示、それでもわからない時点で乗務員から補足説明を聞くのが順序と考えます。

 

273系によって乗り物酔いがなくなり、列車の外観、内装、座席設備等が総合評価され、関西から新幹線岡山経由「やくも」で出雲方面に行くコースが定着、普及、利用促進につながることを期待します。

 

(※ 記載にあたり、東洋経済オンラインの2023年10月23日付け「JR西の新型特急やくも『乗客を寝かせない』工夫」を参考にさせていただきました。)

 

※写真は本文と無関係です。