平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

2024年3月以降の「やくも」と伯備線の楽しみ方

2024年3月ダイヤ改正後、「やくも」下り381系と上り273系の乗り心地比較

2024年3月16日のJRダイヤ改正の最大の見どころは北陸新幹線敦賀開業ですが、同じJR西日本伯備線「やくも」の273系投入、381系置き換えも話題になっています。

273系は4両編成11本、計44両新製投入の計画ですが、2024年3月に一挙44両投入、381系置き換えとはならないようで、381系は2024年から2025年の2年間は残存しそうな状況です。

今回は、381系「やくも」と伯備線の楽しみ方の話です。

 

「やくも」に273系投入の話がなかった頃、381系は乗り心地の悪さ、乗り物酔いが表面化してイメージが悪くなっていました。

今でも酔うこと自体は変わらないとして、273系投入が決まると、273系への関心度もさることながら、381系の先行きが案じられる状況となったため、381系自体の貴重さ、自然振り子式の揺れ方体感、4種類の車体色編成など注目を誘いました。

4種の車体色とは、白と赤の車体の「ゆったりやくも」、紫色の「スーパーやくも」、緑色の「やくも」、国鉄色復活の「やくも」です。

 

381系は4種類の車体色のどれを選ぶか、移動計画時の中で悩みどころです。

先頭車がパノラマ型グリーン車の「やくも3・17号」は、前面展望ができる貴重な2列車です。

他の「やくも」や上りのパノラマ型グリーン車、新型273系では前面展望は得られません。

その意味では、グリーン車ではありますが定期列車で午前中に移動できる「やくも3号」がもっとも乗車価値はありそうです。

 

「やくも」381系乗車を楽しむ

どの「やくも」が273系に置き換わるかはまだ分かりませんが、2024年3月改正以降、岡山-出雲市の往路を381系、帰路を273系で乗車比較、揺れ方の体感比較をしながら往復するのも興味深いものです。

帰路の273系では、車上型制御付き自然振り子式が、381系の自然振り子式と比べてどの程度揺れが少なくなったかを体感します。

曲線区間に入ってから急に車体が傾く381系と、その前に少しずつ車体を傾けることで傾きを感じさせなくする273系との揺れ方の比較です。

揺れを楽しむ前に、乗る前から「揺れそう」「酔いそう」と思って乗ると酔いを誘発しそうですが、自己暗示のしすぎは禁物です。

揺れの程度の問題ではありますが、最初から揺れるもの、揺れるのは当たり前と思って割り切る方がよいと思います。

 

伯備線は総社-豪渓、備中川面-方谷-井倉、新見-布原-備中神代が車窓の見どころで、同時に曲線区間もあります。

高梁川の渓谷、日野川と並行する線路。

井原鉄道吉備線姫新線芸備線・山陰線・木次線との合流・分岐。

単線区間での列車行き違い、運転停車

井倉-石蟹の旧線分岐跡。

岡山―倉敷と米子-出雲市でのではない振り子装置通常の高速運転。

線路を刻む台車の音、モーター・抵抗器・コンプレッサーの音。

車内放送、乗客変化の観察、沿線車窓の観察など、いずれも楽しみに変えられれば列車の旅は魅力に変わります。

 

なお、筆者は381系の揺れを、高速道路での高速通過時の、カーブ進入時の外側から内側への車体の傾きと同じような列車版かと勝手に受け止めています。

 

伯備線に乗るなら下り線

パノラマ型グリーン車にのる前面展望は下り線だけのものですが、そのほかでも上り線より下り線の方が見どころがあります。

倉敷駅に入る前、山陽線を高架でまたぎ、高い位置から倉敷の街が見られるの伯備線下り列車の魅力の一つです。

倉敷-備中高梁の複線区間で、上り線ではトンネルに入ってしまう箇所があります。

下り線はトンネルでなく山の裾を迂回し、車窓が得られます。

伯備線のかなり上を超える山陽新幹線との立体交差も下り線で見られです。

 

パノラマ型「やくも3号」→木次線芸備線→新見から273系で岡山日帰り

「やくも3号」を宍道で降りて11時11分発の木次線備後落合行きで木次線全線に乗り、備後落合から芸備線新見行きで新見に出れば16時02分着です。

新見16時38分発岡山行き「やくも22号」から20時31分発の「やくも30号」まで5本の「やくも」のうち、273系編成があれば、それに乗って岡山まで日帰りも可能です。

ただし、あくまで「やくも22号」以降の上り列車で273系運用が充てられた前提の話です。

また、車窓が得られるのは「やくも26号」までです。

 

山陰宿泊での鉄道乗車

381系・273系揺れ体感比較だけで岡山に日帰りするのは、せっかく山陰に入ったのにもったいない気もします。

1泊できれば境線、一畑電鉄、山陰線非電化区間にも乗りたくなります。

また、伯備線の井倉または石蟹で下車して、かつての伯備線単線時代の廃線跡、蛇行する高梁川に沿う旧線跡巡りも一興です。

115系普通列車で岡山へ戻る時の揺れと381系とを比べるのも、運転速度は違えど273系比較とはまた異なる比較体験になります。

抵抗器の音自体は115系と381系で同じ、勇ましい唸りが聞こえます。

近年の大都市電車の静かなモーター音とは別世界です。

 

去っていくものは苦手なものであっても逆に良さを感じられるように変わるのはどの世界にもあることで、381系にもそれを感じるときがありますが、ともあれ他の地区には走っていない381系の貴重な揺れを思い出の一つに残しておきたいと思います。

 

※写真は本文と無関係です。