平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

「スーパーはくと」の大阪-鳥取毎時1往復設定を考える

京都-大阪は新快速、鳥取-倉吉は「スーパーまつかぜ」に委ねて大阪-鳥取毎時設定は可能か

乗りものニュースの2023年10月25日付け「行きづらい『鳥取』最短ルート再起なるか 3セク優等生『智頭急行』赤字脱却プランとは」を拝見しました。

その中で印象に残った箇所として、「スーパーはくと」の輸送力増強に触れた鳥取県知事の言葉がありました。

以下、本文から一部分を引用させていただきます。

(以下引用)

 智頭急行筆頭株主鳥取県平井伸治氏は2023年6月1日の定例記者会見で、智頭急行について言及しています。

「2025年に迫ってきた大阪万博に向けて、鉄道の魅力を高めたい。『スーパーはくと』に『名探偵コナン』のラッピングを施して、コナンの列車で山陰に行ってみようという気持ちになってもらいたい。 輸送力も増強したいけれども、物理的に車両が足りない。 そうなると、全便が京都に行く必要があるか。 大阪で折り返せば増便の可能性があるかもしれない」

(以上引用)

 

大阪-鳥取の輸送力を増強する方法として、現在の京都折り返しを見直して大阪発着にすれば増発できる可能性に触れています。

今回は、大阪-鳥取の「スーパーはくと」の輸送力増強について考えてみたいと思います。

現在の車両数のまま「スーパーはくと」の輸送力増強を図るとすれば増結ということになりますが、それでは話は完結してしまうため、ここでは増発の方法について考えます。

 

スーパーはくと」の大阪-鳥取設定の割り切りができるか?

現在の「スーパーはくと」は7往復、うち1往復は週末、多客期の運転です。

全列車京都発着で、鳥取県側は倉吉発着5.5往復、鳥取止まり1.5往復、概ね2時間間隔運転です。

知事発言の中では、全便が京都に行く必要性について言及されています。

一方、鳥取-倉吉も30分弱を要し、倉吉での折り返し時間は長くなっています。

京都での折り返しの時間の長さも倉吉と同様です。

倉吉、京都とも折り返し時間が長いため、 「スーパーはくと」の増発が困難な一要因となっています。

 「スーパーはくと」を京都発着としているのは、かつての山陰線特急「あさしお」の代替えの経緯が含まれていると考えられます。

 

ここで伯備線「やくも」を見てみると、大阪からの利便性については、新大阪-岡山を山陽新幹線前提としており、全列車岡山止まりです。

仮にこの考えを「スーパーはくと」にも当てはめて姫路止まりとすれば、「スーパーはくと」の増発、毎時1往復化は実現しやすくなります。

ただし新幹線乗り継ぎの場合、新大阪-姫路の時間短縮効果の小ささ、料金負担増、乗り継ぎ時間、乗り継ぎ自体の手間、大阪・神戸・三ノ宮からは新大阪、新神戸経由になることなどリスクが伴い、不利な要素が多くあります。

乗り継ぐならば新快速の方が現実的で、大阪-姫路の所要時間も遜色はありません。

しかし姫路乗り換えと、大阪から鳥取への直通列車の減少または廃止によるイメージ低下が伴います。

 

スーパーはくと」の増発策としては大阪-鳥取に重点を置き、「スーパーはくと」の京都-大阪、鳥取-倉吉の設定を見直し、大阪-鳥取に絞らざるを得ないかと考えます。

 この場合、京都-大阪は新快速に委ね、大阪で乗り換えで割り切るほかはありません。

また、鳥取-倉吉は「スーパーまつかぜ」「スーパーおき」に委ねて鳥取で乗り換えとなります。

大阪-鳥取は所要約2時間30分なので、机上計算では6編成あれば毎時1往復設定が可能になります。

現車両数のまま毎時設定するには5両編成を4両編成に1両減車し、減車車両を集めて1編成を組成することとなります。

 

鳥取での「スーパーはくと」と「スーパーまつかぜ」の接続改善が前提

京都-大阪は新快速の15分間隔で補えますが、鳥取-倉吉は現在のダイヤでは「スーパーはくと」と「スーパーまつかぜ」の接続が悪すぎて利用できません。

例えば、「スーパーはくと3号」は鳥取11時58分着ですが、18分前の11時40分に「スーパーまつかぜ5号」は発車してしまいます。

同じく「スーパーはくと5号」は鳥取13時52分着、その6分前の13時46分に「スーパーおき5号」は去ってしまっています。

上りでも「スーパーまつかぜ6号」鳥取10時58分の前、10時46分に「スーパーはくと6号」は同様の現象です。

スーパーはくと」か、「スーパーまつかぜ・おき」のどちらかの列車設定時間を見直す必要があります。

どちらの時間も変えられないなら、「スーパーはくと」での大阪-倉吉移動は不便になります。

少なくとも鳥取-倉吉で快速列車等の接続により補う必要があります。

倉吉への「スーパーはくと」直通が必要となると、夜の下り、朝の上りならば折り返し運用でない分、設定はできます。

ただし日中は困難です。

 

鳥取県の大阪直通列車増実現への選択肢

鳥取県は大阪直通を具体的にどのように考えるかによって変わってきます。

まず倉吉直通をそのままとするかどうかです。

スーパーはくと」の1~2往復程度の増発を考え、倉吉直通も残すならば京都-大阪をカットすることで実現は可能と考えます。

 

一方、同じ鳥取県内でも米子での伯備線では、一部時間帯を除き毎時1往復化がされているほか、来春から「やくも」の273系新車投入があり、鳥取の「スーパーはくと」と差が開くことになります。

隣の芝生ではありませんが、毎時1往復設定をするかどうかによって方向性は変わります。

 

折衷案としては、「スーパーはくと」の大阪-倉吉設定による1~2往復の増発のほかに、姫路-鳥取区間運転列車設定による智頭急行線内の「スーパーはくと」の毎時1往復化、姫路-大阪は新快速によるAシート連結車による姫路での同一ホーム乗り換えです。

これが功を成すかどうかの見極めになろうかと考えます。

 

もう一つは、JR西日本の187系振り子気動車に協力を求めることです。

187系は基本2両編成、総勢26両です。

スーパーはくと」への充当の余力が残っているかどうかは疑問も残ります。

また、乗降ドア位置が現在のHOT7000系と異なります。

4両編成の際、乗降ドアが2両単位で中央寄りの構造は、関西のホーム上では使いにくい印象を持たれそうです。

 

30年経過した「スーパーはくと」の後継車投入はしばらく保留されるようです。

JR東海HC85系のようなハイブリッド式との比較検討の余地もあります。

今後の動向を注視したいと思います。

 

(※記載にあたり、2023年10月25日付けの乗りものニュース、「行きづらい『鳥取』最短ルート再起なるか 3セク優等生『智頭急行』赤字脱却プランとは」を参考にさえていただきました。 )

 

※写真は本文と無関係です。