現在、JR6社で「スーパー」の愛称が付く列車はJR西日本の山陰地区に集中しています。
智頭急行経由の「スーパーはくと」「スーパーいなば」、山陰線米子経由の「スーパーまつかぜ」「スーパーおき」の4特急です。
「スーパーはくと」は第三セクターの智頭急行車両であり、新型車両による高速運転を強調するとともに、大阪-鳥取の所要時間の大幅短縮をアピールしたい智頭急行の思いが感じられます。
「スーパーいなば」「スーパーまつかぜ」「スーパーおき」は、JR西日本のキハ187系による自然振り子式車両による高速性、時間短縮、山陰地方への新型高速列車投入を強調したい思いが伝わってきます。
「スーパー」が付かない、単なる「はくと」「いなば」「まつかぜ」「おき」がある中での、その一部列車に「スーパー」を付けていた1994年から2000年当時とは異なり、現在は4特急すべてに「スーパー」の冠を付けた形であり、HOT7000系、キハ187系車両であることを印象づけています。
しかしながら全列車が「スーパー」付きではいささかしつこく、食傷気味になり、「スーパー」の新鮮味が薄れます。
とくにキハ187系は、外観的にも車内設備的にも特別なものはなく、自然振り子式の高速性の売り物で「スーパー」で残っている印象です。
「スーパー」を外した方が親しみやすく、馴染みやすいと考えます。
ちなみに同じJR西日本の山陰特急でありながら、新型273系に置き換えても愛称は「スーパーやくも」でなく「やくも」のまま継続します。
JR四国でも振り子式特急が主流であっても一切「スーパー」を付けていません。
かつて「スーパー」はJR北海道、JR東日本、JR九州にもありました。
JR東日本で見てみると、常磐線特急「ひたち」において、1989年に651系を投入し、斬新なデザイン、時速130km/hの高速、時間短縮等により「スーパーひたち」の名付けたことが当時、大きなインパクトを与えました。
651系イコール「スーパーひたち」であり、この時期、JR東日本では続けて251系「スーパービュー踊り子」、255系「ビューさざなみ」「ビューわかしお」、E351系「スーパーあずさ」、E653系「フレッシュひたち」など、愛称の冠が波及していきました。
その後、常磐線、中央線、房総では冠を廃止し、「サフィール踊り子」だけが名残をとどめています。
「スーパー」による地域専用車両、速達車両の宣伝や誘発の役目は終わたこと、全列車に「スーパー」を付けることの効果と逆効果、愛称的に長くてしつこい面もあったと考えられます。
そうした中で、登場後20年以上を経過したキハ187系を中心に、2024年3月ダイヤ改正後も山陰4特急だけが「スーパー」を継続しているのは疑問が残ります。
山陰地区が、関西などから距離的には近くても着くまでに時間がかかるイメージを払拭したい思いはわかりますが、「スーパー」で速達を伝えるよりも、例えば「大阪-鳥取は2時20分台の『はくと』」のようなPRに変えていく方向性もあるのではないでしょうか。
※写真は本文と無関係です。