札幌発と新千歳空港発時刻との運転間隔差による列車選択心理の違い
JR北海道の2024年春のダイヤ改正関係のニュースリリースで、新千歳空港発着の快速「エアポート」を現在の毎時5往復から6往復へと1往復増発を公表しました。
新千歳空港駅側から見ると毎時6往復の発着本数は便利です。
今回は、快速「エアポート」のダイヤについて考えてみたいと思います。
新ダイヤで札幌発の区間快速に乗るかどうかがポイント
改正後、新たな毎時6往復ダイヤにおいて、現在5往復の快速は3往復に減ります。
1往復は停車駅の少ない特別快速で速達化の一方、増発を含めた残2往復は北広島-新千歳空港が各駅停車の区間快速となることが特徴です。
快速は3種類にはなるものの「先発・先着」で、後続の快速追い抜きはないダイヤとしています。
JR北海道のニュースリリースの中では12時台を例に、具体的な発着時刻、停車駅を図示しています。
まず、現在のダイヤと改正後のダイヤを見てみます。
【現ダイヤの札幌発→新千歳空港着時刻】
12:00→12:38
12:12→12:50
12:24→13:02
12:36→13:15
12:47→13:26
【改正後ダイヤの札幌発→新千歳空港着時刻】
12:00→12:37
12:04→12:47(区間快速)
12:19→12:57
12:30→13:06(特別快速)
12:34→13:17(区間快速)
12:49→13:28
札幌から快速、特別快速と区間快速の列車ダイヤ配列を見る
毎時6往復ならば、札幌発00・10・20・30・40・50分発の10分間隔ダイヤをイメージし、期待もしてしまいますが、実際には00・04・19・30・34・49分発となって、まばらになりました。
04分発の次が19分発、34分発の次が49分発なので、せっかくの毎時6往復でも15分待ちが毎時2回あるのでは、以前の12分等間隔ダイヤの方が良かった、わかりやすかったという印象さえ与えてしまいそうです。
現ダイヤの00・12・24・36・47分発の方が覚えやすく、使いやすい便利なダイヤの印象でした。
また、新ダイヤでは札幌から新千歳空港に向かう際、札幌00発と04発、30分発と34分発とは、わずか4分の発車時間差です。
00分と04分、30分と34分とが札幌で並ぶ時刻設定で、しかも04・34分発が停車駅が多い区間快速ならば、よほど00分・30分発が混雑していて04分・34分発が空いていない限りは00・30分発に乗り、04分・34分発には乗らないのではないかと想定します。
「区間」快速と分かってはいても、北広島から新千歳空港まで各駅停車では新千歳空港までの移動を長く感じさせます。
札幌30分発と34分発の場合は、もっと利用差が顕著になりそうです。
30分発の特別快速は新千歳空港までの途中停車駅は2駅、34分発の区間快速は9駅です。
7駅の停車駅数の差、所要36分と43分との7分の所要時間差は大きな開きがあります。
以上のことから、札幌発→新千歳空港着の移動列車は、00・19・30・49分発の快速(30分発は特別快速)が主体になってしまうのではないかと懸念します。
04・34分発の区間快速は、札幌からの空港アクセスとしてはあまり当てにされないのではないかということです。
さらに、00・19・30・49分発の時間帯から、00分と19分発、30分と49分発でそれぞれ20分も待つのかという印象も与えそうです。
実際には区間快速を含めて00・04・19・30・34・49分発ですが、このダイヤでさえ、毎時6往復なのに15分間も開く時間帯(04分と19分発、34分と49分発)があるのかと印象は抱きます。
札幌発車時刻の方を等時間間隔ダイヤにする効果の違い
理想ダイヤは札幌発列車、新千歳空港発列車とも、毎時00・10・20・30・40・50分発のような10分間隔のきれいなダイヤが理想であることはJR北海道も周知済みと思います。
それができないのは南千歳-新千歳空港間2.6キロ、所要3分の単線区間があるためです。
札幌00・04・19・30・34・49分発「エアポート」は、新千歳空港に37・47・57・06・17・28の順に到着します。
すなわち新千歳空港駅ではほぼ10分間隔の到着時間となります。
単線ゆえに、南千歳-新千歳空港のダイヤを先に決めてから、札幌発時刻を逆算して決定したともいえるダイヤです。
そこに毎時2往復の区間快速を加えた結果が、札幌00・04発と30・34分発で時間が接近したと見ることができます。
列車選択の心理
利用者の心理として、到着時間よりも出発時間の等時間間隔の方がどの列車でも利用しやすい印象を与えるということがあります。
具体的には、新千歳空港→札幌の、新千歳空港発時刻を見れば理解しやすいと思います。
具体的には以下のとおりです。
【改正後ダイヤの新千歳空港発→札幌着時刻】
12:09→12:53(区間快速)
12:20→12:57
12:29→13:06
12:39→13:22(区間快速)
12:50→13:26(特別快速)
12:59→13:36
着目点として、新千歳空港発の毎時発車時刻は09・20・29・39・50・59分発で、この時間だけを見ればほぼ10分間隔の便利な印象を持つと思われます。
実際には、札幌着時刻において区間快速は後続の快速(特別快速含む)に4分後の到着まで詰め寄られますが、新千歳空港発時点でほぼ10分間隔のイメージを持つため、札幌発時刻のような00・04・19・30・34・49分発よりは乗りやすい印象を与えることができると考えます。
論点は、新千歳空港発09・39分発の区間快速が北広島まで各駅停車であることと、札幌で後続列車に4分後に追いつかれる点について、それなら後続の20分発快速、50分勝特別快速に乗ろう、09・39分発は避けようということになるかどうかです。
少なくとも心理的には、00・04・19・30・34・49分発に比べれば、09・20・29・39・50・59分発の方が乗車率は平均化すると考えます。
札幌発も等間隔化する具体的ダイヤ
「エアポート」の区間快速導入により、等間隔ダイヤにできないから今回の公表ダイヤの結果があることは承知の上で、なおかつ南千歳-新千歳空港の単線、また車両増備を行なわない中で、筆者は全くの素人ながら、札幌発→新千歳空港着ダイヤを以下のとおり提案します。
【次回以降の札幌発→新千歳空港着の勝手作成時刻】
12:00→12:37
12:10→12:53(区間快速)
12:19→12:57
12:30→13:06(特別快速)
12:40→13:23(区間快速)
12:49→13:28
繰り返しで恐縮ではありますが、札幌00・10・19・30・40・49分発の方が、00・04・19・30・34・49分発よりも札幌から各列車に分散して乗ってくれるだろうと考えますが、いかがでしょうか。
※写真は本文と無関係です。