平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

小湊鉄道運転士が呼気検査で替え玉 市原市の財政支援に影響はないか?

市原市に財政支援を要請中だった小湊鉄道が、今回の騒動で影響を受けないか?

小湊鐵道から、2024年3月8日付けで「保安監査結果に対する改善措置の途中経過について(仕業前アルコール検査を行わず、列車を操縦させていた事象)」のプレスリリースがありました。
内容の一部を引用させていただきます。

(以下引用)
弊社運転士兼助役(以下、当該運転士)が始業時のアルコール検査を受けず、他の
職員へ身替り依頼を行っていたことが判明いたしました。

~中略~
令和5年12月25日、別運転士及び車掌と勤務体制について話をしていたところ、当該運転士がアルコール検出される可能性がある時に身替りを複数回依頼しているとの報告を受け、調査をおこないました。
当該運転士は令和5年10月19日、アルコール検知器を用いた検査を行った際、アルコールが検知される可能性があるため検知器の電源を切り結果が出ないようにしていました。この行為を確認した点呼執行者から、再検査を指示されたにもかかわらずこれを拒否しました。点呼執行者は運行に支障をきたすと判断し、自らアルコール検知器を用いて身替りを行っていました。
また、10月19日以前にも点呼執行者が駅ホームで出発指示合図等のため駅務室を離れている間に、車掌にアルコール検知器を用いた検査を身替りさせ、これを長期間繰り返していました。
~中略~
3.原 因
・点呼執行者がアルコール検知器を対面で行うよう徹底していなかったため。
・人物の特定ができないアルコール検知器の使用を続けていたため。
・当該運転士は助役という立場で、身替りアルコール検査依頼を繰り返し、同乗す
る車掌が拒否しづらい環境であったため。

4.緊急対策
・アルコール検査時に動画撮影を行い、人物を特定できるように強化しました。
 その後、検査時に人物を撮影する新型アルコール検知器を設置済です。

(以上引用)

 

新聞各紙でも報道されましたが、小湊鉄道では勤務歴約30年の当該ベテラン運転士を懲戒解雇、加担した車掌等も処分しました。

この件について気になることとして、上記「原因」の項の引用部分で「当該運転士は助役という立場で、身替りアルコール検査依頼を繰り返し、同乗する車掌が拒否しづらい環境であったため」という部分があります。

一般論ですが、鉄道に限らず他の企業や事業所等においても、対象者が上司の場合、「拒否しづらい環境」になることは起こり得ます。

また、告発者個人に対する見返りが跳ね返ってくる恐れも考えられます。

 

今回の件は、鉄道利用の促進や台風災害の復旧に尽力する同鉄道に対して水を差す痛恨の出来事です。

信頼をなくすのは一瞬、回復には5年から10年とも言われます。

性善説が招いた面も否定できません。

小湊鉄道には風通しの良い職場づくりを願いたいと思います。

 

2023年4月に市原市に支援要請の経過

小湊鉄道では、台風による被災、コロナ禍による利用減のほか、今後の設備や車両の維持、補修などに今後10年間でおよそ60億円が必要との見通しにより、2023年4月20日付けで市原市に対し、支援要請を行なっています。

その中で、利用の少ない上総牛久-上総中野の22.7キロについて、安全投資を考えると廃線も含めた検討が必要ということにも触れています。

小湊鉄道五井-上総中野の全線39.1キロの58%にあたります。

五井発の列車25往復に対し、上総中野発着列車は7往復の状況です。

2023年9月25日付けNHK千葉放送局ちばWEB特集「小湊鐵道 大雨で一部路線が不通 全線復旧は 赤字で市原市に支援要請も 千葉」の中から、小湊鉄道社長の談話の一部を引用させていただきます。

(以下引用)

会社ではタクシー・バス事業も行っていますが、道路や信号機は被害を受けたら行政で直してくれて、安全の下支えも行政でやってもらえます。しかし鉄道では、民間事業者の役割がより大きくなります。

災害があると、いろんな対策が必要になります。鉄道事業者として非常に重要な安全投資の確保ですが、民間事業者としてできる範囲というのは、資金的でもマンパワー的にも、当然限られてきます。

そこで、市に相談させていただいたというのが現状です。今回の災害の被害についても、(市原)市に相談しています。

(以上引用)

 

市原市からの支援に影響はないか?

前記しましたが、今回の騒動が小湊鉄道の補助等を検討している市原市の議論に影響を与えないでしょうか。

読売新聞オンライン、2023年5月3日付け「利用低迷の小湊鉄道市原市に財政支援要請…一部区間廃線含め検討必要』」の記事から一部を引用させていただきます。

 

(以下引用)

(市原)市地方創生部の担当者は「支援ありきではない。大切な観光資源だが、全ての企業が支援をもらっているわけではない。ゼロベースで考えていく」としている。

(以上引用)

 

市原市小湊鉄道の要請に対し「支援ありきではない」「ゼロベースで考えていく」という姿勢の中で今後、どのような判断をするかが注目されますが、今回の替え玉騒動とは切り離して考えてもらえるだろうかと、気にかかるところです。

小湊鉄道に対する市原市の対応を注視していきたいと思います。

 

(※ 記載にあたり、以下の情報を参考にさせていただきました。

NHK首都圏NEWS WEB2023年4月25日付け「千葉 小湊鐵道 経営状況厳しく地元自治体に財政支援を要請」

NHK千葉放送局ちばWEB特集、2023年9月25日付け「小湊鐵道 大雨で一部路線が不通 全線復旧は 赤字で市原市に支援要請も 千葉」

・読売新聞オンライン2023年5月3日付け「利用低迷の小湊鉄道市原市に財政支援要請…一部区間廃線含め検討必要』)