平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

16時間31分喫煙可能な「サンライズ出雲92号」と時代趨勢を考える

東海道・山陽・九州新幹線に続き「サンライズ出雲・瀬戸」の全面禁煙化を

ENCOUNT 、2024年3月16日付け、「新幹線車内『100%禁煙』が実現 消えゆく昭和の記憶、日本で唯一残る❝喫煙OK❞の鉄道路線とは」を拝見しました。

2024年春のダイヤ改正から、JR及び私鉄特急の喫煙ルームを撤去し、全面禁煙化に踏み切った中、寝台特急サンライズ出雲・瀬戸」の6・13号車の1人用B個室、4・11号車のA個室・2人用B個室の半数だけが喫煙可能の現況、また今後、いつまで継続できるか分からないことに触れています。

今回は、「サンライズ出雲・瀬戸」の喫煙について考えてみたいと思います。

 

サンライズ出雲・瀬戸」の乗車時間は?

ここで「サンライズ出雲・瀬戸」の乗車時間を見てみます。

いずれも始発駅から終着駅まで乗車した場合です。

◆「サンライズ瀬戸

東京21:50発→高松7:27着、所要9時間37分

※(琴平へ臨時延長運転時)東京21:50発→琴平8:39着、所要10時間49分

高松21:26発→東京7:08着、所要9時間42分

 

◆「サンライズ出雲

東京21:50発→出雲市10:00着、所要12時間10分

出雲市18:57発→東京7:08着、所要12時間11分

 

◆臨時「サンライズ出雲91・92号」

東京22:21発→出雲市13:39着、所要15時間18分

出雲市13:52発→東京6:23着、所要16時間31分

 

個室ゆえに喫煙問題無し、「サンライズ出雲」12時間乗車への配慮?

愛煙家の人にとっては「サンライズ出雲・瀬戸」の喫煙個室を確保できれば、思う存分にタバコが吸える夢のような列車に映るかとも思われます。

このことが「サンライズ出雲・瀬戸」の、もう一つ別の愛煙家嗜好列車という話を聞いたことがあります。

臨時列車で「サンライズ出雲91・92号」が運転されることがあります。

2024年春は5月1日・5日に出雲市→東京の「サンライズ出雲92号」、5月2日・6日に東京→出雲市に「サンライズ出雲91号」が運転されます。

サンライズ出雲92号」の所要時間は16時間31分です。

この長時間での喫煙自由時間は、愛煙家の人にとっては別世界の次元とも言えそうです。

 

もっとも乗車時間の短い「サンライズ瀬戸」でも所要9時間30分以上です。

長時間喫煙可能な解放感、自由度が「サンライズ出雲・瀬戸」を選ぶ動機にもなって、結果的に東京-出雲市・高松で飛行機に転移せず、鉄道が選択されることにもつながるならばという鉄道側の考えもあるでしょうか。

最少でも9時間30分以上の間、愛煙家の人に禁煙を理解・協力してもらうことは無理があるというJR西日本の判断でしょうか。

 

また、下りは浜松→姫路、上りは大阪→静岡で「サンライズ出雲・瀬戸」に乗車する人もいるそうです。

この場合、愛煙家の人の利用に特定したものではありません。

 

健康増進法との兼ね合い

サンライズ出雲・瀬戸」の一部個室を喫煙可能にしているのは、そもそも寝台列車の個室自体が健康増進法の規制対象ではないという事情が絡むかと思われます。

寝台個室ゆえに、その個室の中でのタバコの煙が他の部屋の個室までは副流煙として流れていかない、煙が他の人の健康を害するまでには至らないという考えかと思います。

タバコの煙が苦手な人にとっては、個室とはいえ、喫煙個室利用者の部屋への出入りや、出入用ドアが閉まっていても壁との微妙な空間などから煙が漏れてくることもあり得ると、気になっているかもしれません。

車内喫煙ルームを設ければよいという考えもありますが、東海道・山陽新幹線と乗車時間が異なるとはいえ、寝台列車は別扱いの方向で今後も進んで行けるでしょうか。

 

万一、夜行個室列車ゆえに、タバコ原因の火災が発生し、発見が遅れた場合

個室とはいえ夜通し走る寝台列車だけに、夜間での個室内の喫煙による吸い殻の後始末状況によっては火災の原因になりかねず、また個室ゆえに火災の発見が遅れることもあり得ます。

健康増進法の前に、ホテルとは違う、寝台列車という列車走行の特性と空間、限られた列車乗務員、万一火災時の発見の遅れ等を総合的を考慮すれば、愛煙家の方には叱られるにせよ、「サンライズ出雲・瀬戸」の全面禁煙化は時代の趨勢からしてやむを得ないと考えますが、いかがでしょうか。