割引切符で主役の「のぞみ」乗車不可のルールに無理がある
「のぞみ」が1992(平成4)年に登場した当時はまだ運転本数の少ない特別な列車で、東海道・山陽新幹線の主役は「ひかり」でした。
しかし東京-新大阪2時間30分のインパクトは大きく、その時間に慣れると2時間50分の「ひかり」には戻れません。
今では東京発着列車が1時間当たり最大16往復あり、内訳は「のぞみ」12往復、「ひかり」「こだま」各2往復です。
平日のビジネス、休日の行楽、いずれも大きな需要があります。
16両編成、定員1,323人、時速285km/hの高速列車が1時間16本の設定はやはり驚異です。
主役は完全に「のぞみ」です。
では、脇役「ひかり」「こだま」の意義は何でしょうか。
「こだま」は「のぞみ」通過駅のための列車ですから理解できます。
「ひかり」は、小田原-豊橋間の主要駅速達と、名古屋止まり「こだま」で本数の減った岐阜羽島、米原の救済です。
ところが「ひかり」にはもう一つの役目がありました。
割引切符では乗れない「のぞみ」のフォロー(補い)役です。
国鉄時代からの割引切符であるフルムーン夫婦グリーンパスをはじめ、ジパング俱楽部、レール&レンタカーきっぷ、ジャパンレールパスなどでは「のぞみ」に乗ってほしくないため、「ひかり」に乗らざるを得ないようにしていると思われます。
「のぞみ」のビジネス客優先、料金上乗せの状況はわかりますが、割引切符で乗るなら所要3時間弱の「ひかり」で充分ということでしょう。
山陽「みずほ」に対する「さくら」も同じです。
しかし割引切符客を毎時12往復の「のぞみ」から排除し、2往復の「ひかり」に押し付けるのは強引すぎます。
割引切符客が「ひかり」に集中するので、「ひかり」の座席確保が困難になっています。
概してJR東海は「のぞみ」のビジネス客最優先の結果、割引切符の行楽客に冷たい印象を与えます。
不満なら乗らなくて結構という空気です。
JR東日本の「はやぶさ」「こまち」「かがやき」を見ると乗車不可措置や、「やまびこ」「はくたか」への強制誘導をしていないのとは対照的です。
休日特定、乗車時間帯特定、新大阪止まり列車限定、ジパング俱楽部での乗車回数制限(6回程度)など、条件付きで「のぞみ」に乗れるように配慮する方法もあるのではないでしょうか。