平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

リニア開業後の静岡駅 1時間5本に増えれば理解が得られるか

これまでの県知事の発言動向経過から、「のぞみ」停車と新幹線静岡空港駅のセットが前提?

朝日新聞、2023年10月21日付け、「県内新幹線駅の停車回数、リニア開業で1.5倍増も可 国交省」の記事を拝見しました。

リニア中央新幹線の大阪全線開業時、静岡県内の新幹線駅停車列車が増加できることを国土交通省が発表したことに触れた内容です。

今回は、当記事の中から一部を引用させていただき、筆者の受け止め方を書きたいと思います。

太字が引用部分、→が筆者の意見・感想です。

 

調査によると、東京―大阪間を直行する利用者がリニアを選ぶようになり、東海道新幹線の輸送量は約3割減ると見込んだ。このためダイヤに余裕が生まれ、県内にある六つの新幹線駅に止まる回数を1・5倍に増やせると予測した。例えば、静岡駅では現在1日53本、1時間あたり3本(ひかり1本、こだま2本)が停車する。リニア開業後は1日80本、1時間あたり5本に増え、12分に1本の頻度で停車できる。

→ 前段では静岡県内の新幹線6駅(熱海、三島、新富士、静岡、掛川、浜松)に停車する新幹線列車が1.5倍に増やせること、一例として静岡駅では1時間あたり3往復から5往復に増やせること、20分に1本が12分に1本の頻度で停車できるとの内容です。

ここまでの記事で終われば静岡県にとって喜ばしいですが、それで終わりではありませんでした。

 

増える列車がのぞみかひかりかといった種別は今回、示されなかった。国交省の担当者は「どの列車をどれだけ止めるかは、JR東海で考えること」と説明。県に構想がある「静岡空港新駅」の可否についても、調査の対象としていない。

→ 「どの列車をどれだけ止めるかは、JR東海で考えること」として、国交省は停車列車の種別には触れず、JR東海に振っています。

列車種別の話を振られたJR東海としては、そのことに言及できる段階ではありません。

「どの列車を」といっても「のぞみ」「ひかり」「こだま」の3種の選択の中で、JR東海がその種別に言及するとそれが独り歩きして、結果的にリニア開業にさらに影響を与えることを踏まえているからと考えられます。

それは「ひかり」増停車だけでは理解されないことを踏まえているためです。

ましてや「こだま」の増停車は論外、蚊帳の外です。

 

静岡空港駅は調査対象としていないことから、国交省は今回は土俵の上に乗せず、保留した形です。

今回、このことに触れると議論が拡大するためと思われます。

 

知事は文書で「停車本数が増加する方向性を示したことを歓迎する。ただし、具体的な本数については示されていない。調査結果の実現可能性などをしっかりお聞きしたい」とした。

→ 知事の納得に必要な要件は「ひかり」の増停車でなく「のぞみ」の停車と考えられます。

「ひかり」の増停車はよいとしても、「のぞみ」は全列車通過継続では納得しないと思われます。

かつて静岡県では「のぞみ」の全列車通過に関連して、新幹線通行税で盛り上がった経過もありました。

「のぞみ」通過にそれほどの不満が根底にありました。

 

また、仮に「のぞみ」の静岡停車が実現したとしても、1日数往復だけでは駄目、毎時1往復だけでも駄目、浜松も停車しなければ駄目と、話は飛躍していくと想定されます。

静岡空港駅についても知事のこだわりがありますが、JR東海では隣接駅との至近距離、地形、列車ダイヤ設定、投資効果、飛行機に塩を送るような結果等の様々な状況が絡み、静岡「のぞみ」停車問題との同時並行議論はひとまず避けたい状況と考えられます。

 

新幹線駅がある自治体は歓迎モードだ。掛川市の久保田崇市長は「掛川駅の増便は大いに歓迎する。こだまだけでなく、ひかりの停車も実現していただきたい」とコメントを出した。

→ 地元市の気持ちは理解できますが、静岡県全体のリニア問題、静岡の増停車列車種別問題が解決がしてからの話と思います。

 

JR東海の担当者は、調査結果を参考にして「便利なダイヤを検討していきたい」と話した。

→ JR東海としては現段階ではこの言葉で結ぶしかないと思います。

「便利なダイヤ」とは静岡の「ひかり」増停車か、「のぞみ」停車か。

「ひかり」の静岡-新大阪の所要時間が「のぞみ」と同じであっても、「のぞみ」停車でないと納得しないのか。

最近、山陽新幹線徳山駅でも、速達「さくら」が停車しても「のぞみ」停車を要望する趣旨の話題もありました。

静岡の速達「ひかり」と「のぞみ」停車も同じ受け止め方と思われます。

 

静岡県は仮に「のぞみ」停車があれば静岡空港駅新設は保留し、今後の課題とするかどうかも注目されます。

今後の推移を注視したいと思います。

 

(※ 記載にあたり、朝日新聞2023年10月21日付け「県内新幹線駅の停車回数、リニア開業で1.5倍増も可 国交省」を参考にさせていただきました。)