平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

室蘭線室蘭-苫小牧電化存続と737系電車投入の積極策の背景を考える

全国的に電化設備撤去の雲行きの中、電化活用を選択したJR北海道の経過を想定してみました

JR北海道が4月13日付けでニュースリリース「5月20日(土)新型737系電車を室蘭線に投入します」を公表しました。

以前からの公表を含め、737系2両13編成投入により苫小牧-室蘭の気動車列車66本のうち約8割が電車化され、特急「すずらん」6往復だけの電化設備が再び活かされることになります。

737系は苫小牧-東室蘭直通列車で13往復、東室蘭-室蘭で14往復設定されます。

 

話は逸れますが先般、JR東日本では単線非電化への方向性の第一弾として、磐越西線会津若松-喜多方の電化設備撤去、気動車置き換えを行なっています。

JR東日本でさえも厳しい方向性で進む以上、JR北海道の苫小牧-室蘭の電車6往復だけの電化活用では、設備撤去は避けられないと思われました。

具体的には「すずらん」は「北斗」と共通運用で気動車化され、貨物列車は札幌貨物ターミナル-東室蘭の架線下を走行しない分、むしろすっきりするかのような半分負け惜しみ、投げやりの気持ちさえ起きました。

 

電化設備の撤去、複線の単線化の全国的な雲行き情勢の中で、JR北海道は737系電車投入で苫小牧-室蘭電化設備を有効活用する積極策に出るまでに、どのような判断経過があったのでしょうか。

JR北海道の立場で考えてみました。

以下、毎回のことですが根拠のない勝手な推論なので、予めご了承ください。

 

(1)前述の、苫小牧-室蘭の普通列車14往復の電車化、「すずらん」6往復と合わせれば計20往復であり、毎時に置き換えると1往復が電車ならば電化を残してもよいかということ。

(2)普通列車を2両編成ワンマン型737系にすれば現3両編成電車よりも経済的なこと。

(3)北海道新幹線開業後、特急「北斗」は長万部-札幌に運転区間が短縮され、本数は半減される一方、「北斗」の一部は室蘭-札幌の走行となって「すずらん」と統合、「すずらん」増発の形となるのではないかという点。

現在の電車「すずらん」とともに、「北斗」吸収の「すずらん」が全部気動車でよいのかということ。

(4)737系は函館線岩見沢旭川普通列車にも適当な形式であり、札幌起点で室蘭線との共通運用も可能なこと。

(5)小樽-岩見沢札沼線千歳線でも早朝・深夜の時間帯など、2両ワンマン型電車が望ましい時があっても3両編成の電車しかなかったこと。

(6)JR北海道の普通電車は近郊形721系、通勤型731系、733系、735系があるものの、いずれも国鉄711系思想を踏襲した3両編成であり、ワンマン運転には非対応で、737系がJR北海道の電化区間全体の効率化として望まれたこと。

 

以上を総合的に判断して、苫小牧-室蘭の電化を残し、残す以上は電化を積極活用していくことになったのではないかと想定します。

 

余談ですが、苫小牧-東室蘭で函館方面の貨物列車DF200形機関車、特急「北斗」キハ261系の油煙を見ると、国鉄時代に一挙に函館-東室蘭も電化してくれていたらとの思いがよぎります。

歴史に「もしも」は禁物ですが、貨物列車は函館-札幌をEH500電気機関車で、特急「北斗」は785系、789系電車が走っていたと思われ、苫小牧-室蘭の電化設備撤去も起こりえません。

残った函館-東室蘭電化の余力?を本州側の一部地区の電化に振り向けたことが北海道にとっては痛手でした。

しかしながら物は考えようであり、国鉄時代の苫小牧-室蘭電化があったからこそ、今回の737系積極策に打って出られたとも言えます。

JR北海道自力の電化は、札沼線電化との兼ね合いもあり両立は難しかったと考えられます。

 

JR北海道室蘭線電化設備有効活用の積極策が、他のJR電化区間路線にも波及していくことを願いたい思いです。

 

※写真は本文と無関係です。