大糸線糸魚川-白馬の列車ダイヤと4往復の臨時増便バスダイヤをみてみました
JR西日本から、2024年5月9日付けで「大糸線活性化協議会、大糸線利用促進輸送強化期成同盟会、JR西日本の3者連名による「大糸線『本格的な利用促進・利便性向上』の取組みについて」のニュースリリースがありました。
リリース内容の一部を引用させていただきます。
(以下引用)
北陸新幹線金沢~敦賀開業で利便性が高まる大糸線沿線へ、より多くのお客様にお越しいただくことを目的として、下記のとおり連携して事業を実施します。
~中略~
新幹線との接続を考慮したバスによる臨時増便
現行の鉄道ダイヤに加え、JR の乗車券類でご乗車いただけるバスによる増便を行うことで利便性を高め、大糸線の利用促進及び沿線地域の活性化に取り組みます。また、利用客の利用実態を調査し、延伸効果やニーズの把握を行います。
実施期間:2024 年6月1日(土)~2025 年3月 31 日(月)
実証区間:JR大糸線 糸魚川駅~白馬駅間
運行時刻:4往復/日
~中略~
実施内容:運賃は鉄道と同額です。
JRのきっぷや定期券等でご利用いただけます。
(以上引用)
次に、朝日新聞社によるストーリー、2024年5月11日付け「大糸線に臨時バス『新幹線客を逃すな』 接続よしで関西の誘客めざす」の記事から一部を引用させていただきます。
(以下引用)
長野県の阿部守一知事は9日の定例会見で、新幹線の延伸により大糸線が「(県の観光にとって)西側からの大きな玄関口になっている」と述べ、県が大糸線の利用促進に協力する姿勢を示した。
大糸線は、糸魚川―南小谷がJR西日本、南小谷―松本がJR東日本と管轄が分かれている。車両も異なり、南小谷駅での乗り換えが必要だ。阿部知事は昨年、個人的に白馬―糸魚川を鉄道で往復しようと考えたが、ルートの一部を車に切り替えたと明かし、「非常に南小谷の接続時間が悪かった」「バス輸送で潜在的な旅客需要を掘り起こすことが重要」と話した。
(以上引用)
長野県知事の白馬-糸魚川の列車往復で、「非常に南小谷の接続時間が悪かった」ため一部を車に切り替えたのはどの列車時刻だったのか、興味深いところです。
今回は、大糸線糸魚川-白馬の区間を対象に、列車ダイヤの状況を見てみました。
なお、特急「あずさ」は含まず、南小谷での普通列車相互の乗り継ぎを対象としました。
臨時増便バス時刻を大糸線ダイヤの後に併記します。
時刻の「:」は略させていただきます。
◆ 上り 糸魚川→白馬の乗継列車ダイヤ
600 → 720、 724→ 743
854 → 956、 1004→1022
1031 → 1135、 1203→1221
1323 → 1425、 1530→1548
1513 → 1615、 1618→1637
1649 → 1758、 1805→1824
2011 → 2112、 2130→2146
【臨時増便バス時刻】
糸魚川発→白馬着
1155→1311
1545→1701
1755→1911
2130→2246
◆ 下り 白馬→糸魚川の乗継列車ダイヤ
657→ 716、 735→ 833
801→ 820、 1004→1103
1123→1142、 1207→1306
1301→1320、 1443→1545
1551→1610、 1622→1721
1840→1859、 1907→2004
2057→2116、 2119→2217
【臨時増便バス時刻】
白馬発→糸魚川着
830→ 946
1340→1456
1710→1826
1930→2046
〇 所要時間
・最短:1時間24分
・最長:2時間25分
・平均:1時間52分
※臨時増便バス:1時間16分
〇 列車の南小谷駅接続待ち時間
・最短:3分
・最長:1時間05分
・平均:19分
〇 列車の所要時間
・最短:1時間20分
・最長:3時間02分
・平均:1時間54分
※臨時増便バス:1時間16分
〇 列車の南小谷駅接続待ち時間
・最短:3分
・最長:1時間44分
・平均:36分
大糸線全体の区間別平均通過人員をJR東日本、JR西日本のデータから見てみます。
◆ JR東日本
松本-豊科:7,944人
豊科-信濃大町:3,170人
信濃大町-白馬:666人
白馬-南小谷:188人
◆ JR西日本
今回の臨時増便バスの措置が、将来的に大糸線同区間の廃止につながっていく可能性を指摘するブログもいくつか見られました。
大糸線の列車設定時刻については、沿線での移動時間との反映や、糸魚川-白馬の需要供給バランス等も考慮する必要がありますが、同区間の所要時間が長いのは、南小谷の待ち時間によるものです。
南小谷での接続待ち時間が3分前後であれば全列車が所要1時間20分~25分で糸魚川-白馬を移動することができます。
JR西日本の糸魚川発着時間、新幹線接続時間を優先するのか、JR東日本白馬-南小谷の、信濃大町発着時間を優先するのかによって変わってきます。
JR西日本、JR東日本それぞれの事情を加味して、南小谷接続は二の次とするパターンもある結果、南小谷で1時間以上の待ち時間が生じるケースが出ているといえるかと思います。
臨時増便バスのポイントは南小谷での接続待ち時間がないこと
今回の4往復の臨時増便バス設定は、所要時間がすべて1時間16分であり、列車の最短接続パターンとほぼ同時刻です。
南小谷での接続待ち時間が無関係なのがバスのポイントです。
新幹線との接続時刻が考慮されており、その利便性による利用状況が注目されます。
バス利用が好調だった場合、あるいは大糸線との相乗効果を考えた場合、糸魚川-白馬の列車ダイヤを見直して、南小谷接続時間短縮、列車時刻変更、列車増発等で対応するのか、それが困難ゆえにバスと協働で相互に補完、補強、充実態勢を整えていくのか、今後が注目されるところです。
糸魚川-白馬の臨時増便バス設定により、大糸線の将来はどのように変わっていくでしょうか。
2025年3月までの試行の中、途中経過の状況、実施後の結果を見守りたいと思います。
(※ 記載にあたり、JR西日本ニュースリリース、2024年5月9日付け「大糸線活性化協議会、大糸線利用促進輸送強化期成同盟会、JR西日本の3者連名による「大糸線『本格的な利用促進・利便性向上』の取組みについて」及び朝日新聞社によるストーリー、2024年5月11日付け「大糸線に臨時バス『新幹線客を逃すな』 接続よしで関西の誘客めざす」の記事の一部を引用、参考にさせていただきました。)
※ 写真は本文と無関係です。