平行普通列車

常磐線と新京成に魅せられた者のブログです

JR九州「運賃・料金改定の申請」から415系の後継形式をよむ

415系置換は、九州内電化区間は821系、関門間はYC1系?

JR九州から、2024年7月19日付けで「運賃・料金改定の申請について」のニュースリリースがありました。

この中で、山陽線下関-門司の交直流デッドセクションを通過する、交直両用電車415系の置き換えについての話題があります。

リリース内容の該当部分を引用させていただきます。

 

(以下引用)

10. 利用者サービス向上策、(1) 安全・安心・環境効率のさらなる追求、ウ. 環境負荷の低減から
環境性能が大幅に向上した次世代の近郊型電車(821 系)及び蓄電池搭載型ディーゼルエレクトリック車両(YC1系)を導入し、旧型車両の置換えを随時進めています。

~中略~

●老朽化した車両・設備の更新
車両の老朽取替に合わせた新型車両の導入に加え、既存車両の内装更新、電子機器の更新により車両を延命化。安全・安心な輸送サービス提供のため、設備の改良や計画的な更新工事を実施

(「415系→老朽車両の取替→821系」の置き換わりを示唆する写真有り)

~中略~

これまでの主な取組み、環境負荷の低減・沿線活性化、電力・CO2排出量削減の取組み

走行用電力の削減・再利用

● 大容量の蓄電池を搭載した国内初の交流電化式の架線式蓄電池電車「DENCHA」の開発・導入(2016年)
● 回生電力を蓄電池に充電して加速時に利用する等、エネルギーを有効活用することができるYC1系蓄電池搭載型ディーゼルエレクトリック車両の開発・導入(2020年)

(YC1系気動車の写真有り)

~中略~
● 回生電力を貯蔵して加速時に使用することで運転用電力の電力使用量を削減できる電力貯蔵装置の導入(2018年)
● 隣接する変電所間で相互に電力を融通することができる電力融通装置を新幹線として初めて導入(2019年)

(821系電車の写真有り)

~中略~

設備投資計画

次世代車両の新製  2024年度~2030年度  約125億円

老朽化が進む車両を延命工事などにより長寿命化しているが、メンテナンスに人手や修繕等の費用も必要なことから順次、車両を新製

~中略~

今後の具体的な取組み ~安全・サービス~、安全性の向上

老朽化した車両及び鉄道設備の更新

(「415系→821系・YC1系」の置き換わりを示唆する写真有り)

~中略~

環境負荷の低減
821系近郊型交流電車(※写真有り)
フルSiCを採用した主回路システム搭載が特徴で、従来車(415系電車)と比較して約70%の電力消費量を低減できるため、今後も運転区間の拡大を計画

~中略~

YC1系蓄電池搭載型ディーゼルエレクトリック車両(※写真有り)
蓄電池を活用して回生電力を加速時に利用するエネルギーの有効活用などにより、従来車(キハ66・67形気動車)と比較して、約20%の燃料消費量を削減できるため、今後も導入を推進

(以上引用)

 

415系置換は821系が基本、ただし関門間はYC1系?

以上の内容から、基本的には415系は821系で置き換えるとみられます。

821系は交流電車のため、下関-門司の走行を除いた、415系運用の鹿児島線日豊線門司港、小倉発着列車に充当すると思われます。

ただし821系で門司駅構内にある交直デッドセクションを通過して、関門トンネル経由での門司-下関の走行だけはできません。

関門トンネル区間用に交直両用電車を持つ思想から脱却し、小倉-下関区間はハイブリッド気動車のYC1系が担うものと思われます。

関門間をYC1系に置き換えることは、直接的には表記されていませんが、新たに交直両用電車の新製、改造、または他社からの転入等には触れていませんので、現状ではYC1系か、BEC819系のいずれかになる中で、上記引用部分からYC1系と受けとめました。

 

BEC819系で置換と勝手予測のお詫び

筆者は以前、2023年7月10日付け、拙「JR九州415系交直流電車の後継車は何か?」でBEC819系と勝手に予測しました。

当時、BEC819系で九州内の交流電化区間で蓄電池に充電しておき、門司から関門トンネルを抜けて下関到着後、再び同トンネル経由で門司に戻るだろうと想定していました。

BEC819系には、門司→下関→門司の1往復で蓄電池駆動の際、万一、関門トンネルの上り勾配で停車した際の再起動に難はないかなどの課題があるようです。

BEC819系については、「改定の申請」本中の「大容量の蓄電池を搭載した国内初の交流電化式の架線式蓄電池電車「DENCHA」の開発・導入(2016年)」として触れられていますが、415系置き換えとの直接関連ではないと思われます。

いずれにしても415系置き換えがBEC819系というのは外れたようで、この場を借りてお詫びします。

 

tairayukiblog.hatenablog.jp

 

先程引用させていただいた最終段のYC1系の説明をみると、キハ66・67形気動車の置き換え用と読み取れますが、関門用への適当な形式が現在のJJR九州には他に見当たりません。

JR東日本E531系・E501系、JR西日本521系の購入、転用の可能性に触れたブログ等も見られますが、その可能性はなさそうです。

 

415系を821系とYC1系で置き換えた後の運用想定

現在の415系の下関発着列車をみると、下関-小倉を中心に、一部が下関-門司、そのほかは日豊線下り、下関→大分の1本、上りは柳ヶ浦→下関、行橋→下関が各1本となっています。

下関-小倉・門司はYC1系、下関→大分、柳ヶ浦→下関、行橋→下関の計3本は、下関発着を小倉または門司港発着に変更して821系化し、下関から大分及び柳ヶ浦と行橋から下関へは、小倉でYC1系に乗り換えになるかと思われます。

今後の415系の後継車、下関乗り入れ列車の動きに注目したいと思います。

 

※ 写真は本文と無関係です。