飛行機ファン、クルマファンは鉄道をどう見ているのか?
鉄道ファン同士での鉄道の語らいは楽しいものです。
これは、互いに鉄道が好きということが根底にあるから話が弾むと言えます。
飛行機ファン同士、クルマファン同士でも同じと思います。
今回は飛行機ファン、クルマファンが鉄道をどのように見ているのか、自己体験から探ってみます。
一人の飛行機ファンが
「列車のどこがいいんだよ。
長い時間、列車に乗っているのは時間が無駄だし、苦痛。
その点、飛行機は搭乗時間が列車よりずっと短いのがいいね。」
と語っていました。
ここで一例として東京-大阪を見てみます。
鉄道ファンは「のぞみ」で最短2時間20分台だから飛行機の出番はないと考えます。
飛行機ファンは、乗り物に乗る時間が短い方がいいと考えます。
飛行機が羽田空港出発から伊丹空港到着まで1時間10分程度、離陸から着陸までの時間としては45分から50分程度の飛行時間を最重視します。
羽田空港まで出発時刻の1時間以上前までに行く負担があろうと、待ち時間の是非よりも飛行時間が短い方が良いのです。
むしろ「のぞみ」で2時間以上も乗ることが時間の無駄、苦痛と受け止めます。
接客サービス、セキュリティチェックの安心感、空から見下ろす光景なども飛行機の評価に加わります。
さらに飛行機搭乗の非日常性、離陸と着陸の適度な緊迫感も飛行機の魅力になります。
羽田から伊丹でさえ飛行機ですから北海道、九州、四国、山陰へは鉄道の発想はないでしょう。
次に、クルマファンはどうでしょうか。
こちらも、一人のクルマファンの言葉ですが
「クルマは自分の所有、財産になる。
鉄道車両は自分の物にはならない。
列車を自分では運転できない。
自分の自由な時間に出かけられない。
列車に合わせて行動するのが苦痛。
座れる保証がない。
周囲の乗客に気遣う。
荷物が負担になる。
乗り換えが億劫。
家族で出かけると人数分だけお金がかかる。
切符を買うのも億劫。」
と次々に鉄道の不利な点を語りました。
東京-大阪でいえば東名・名神高速道路をマイカーで行く方が自由で、楽で、人数が多いほど安いという理論を展開します。
飛行機とは反対に、移動時間の短さではなくマイカーの活用による自由自在さ、経済性を重視します。
いずれも飛行機、クルマの利点を展開し、不利な点には触れませんでした。
飛行機、クルマの短所は長所が補うのでしょう。
短所も長所に変わるのでしょう。
鉄道の利点を理解はするものの、鉄道もいいねというまでには至りませんでした。
もっともそれは、鉄道ファンの自分も同じです。
飛行機ファンに対しては、鉄道が地上を走る安心感、乱気流とは無縁、着陸空港が満杯時の空中待機(空中旋回の繰り返し。ホールディング)などを伝えます。
しかし乱気流、ホールディングも面白い体験とか、飛行機には付き物の現象とあっさり返答されました。
クルマファンに対しては、列車内で走行中に飲食、飲酒、仮眠ができるのが列車の強みであることを伝えます。
しかしクルマを停めて飲食、仮眠すればいい、交替で運転、交替で仮眠すればいいということで、これも平行線でした。
逆説的ですが、鉄道ファンもたまには飛行機やクルマで移動してみることにより、やはり鉄道の方がいいなと鉄道を再評価し、安心するという回帰はあります。
飛行機搭乗によって飛行機の方が好きになる人がいたとしても、それはそこまでの鉄道との縁だったと割り切るしかありません。
逆に飛行機ファンの鉄道乗車体験によって、鉄道に関心が移るケースもあるでしょう。