青春18きっぷが自動改札機対応になる中、「乗り鉄きっぷ」は有人改札口限定のまま?
青春18きっぷの一人単独、連続3日間(5日間)への変更が改悪等の声を中心に話題になっていますが、唯一評価される点として、自動改札機が通過可能の点があります。
自動改札機が設置された駅でありながら、わざわざ有人改札口を通るのは非効率であり、自動改札機が通過できることだけは良いことと思います。
「秋の乗り放題パス」や、JR東日本とJR北海道の「北海道&東日本パス」も同様ですが、自動改札機が通過できることは利用者側、鉄道側、双方の利点です。
JR東海では、土曜・休日の連続2日間有効の「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」を発売しています。
「乗り鉄きっぷ」と呼ぶ鉄道ファンが多いので以下、「乗り鉄きっぷ」で表記させていただきます。
東海道新幹線熱海-米原を含むJR東海の在来線全線と、私鉄16社の全区間に乗車できて、価格も8,620円、こども4,040円と安価です。
16私鉄の内訳は以下のとおりです。
①伊豆箱根鉄道(駿豆線) 三島-修善寺
②岳南電車 吉原-岳南江尾
③静岡鉄道 新静岡-新清水
④天竜浜名湖鉄道 掛川-新所原
⑤遠州鉄道 新浜松-西鹿島
⑥豊橋鉄道 新豊橋-三河田原、駅前-赤岩口・運動公園前
⑦愛知環状鉄道 岡崎-高蔵寺
⑧JR東海交通事業(城北線) 枇杷島-勝川
⑨名古屋臨海高速鉄道(あおなみ線) 名古屋-金城ふ頭
⑩明知鉄道 恵那-明智
⑪長良川鉄道 美濃太田-北濃
⑫養老鉄道 揖斐-桑名
⑬樽見鉄道 大垣-樽見
⑭伊勢鉄道 河原田-津
⑮三岐鉄道(北勢線) 西桑名-阿下喜(近鉄富田-西藤原を除く)
⑯近江鉄道 米原-貴生川・近江八幡・多賀大社前
JR東海全線と16私鉄の全区間を2日間で回るのは不可能ですが、JR東海と私鉄が協調して「乗り鉄きっぷ」に乗車できるようにしたのは嬉しいことです。
なお、大井川鐵道、名鉄、近鉄、名古屋地下鉄等、一部の鉄道はフリー区間に含まれていません。
自動改札機の通過は不可、有人改札口通過のみの「乗り鉄きっぷ」
2024年冬季から青春18きっぷも自動改札機通過可能になる中で、「乗り鉄きっぷ」は有人改札口通過のままとなっています。
今回の青春18きっぷの改定によって、2024年12月以降、JR東海の駅係員は青春18きっぷでは自動改札機通過で楽になるのに、「乗り鉄きっぷ」では有人改札口通過対応に追われるというのは妙な話です。
一つの理由として、東海道新幹線の乗車回数が4回までという制約があるため、有人改札口で通過回数をチェックする必要があるためかと思われます。
しかしながら新幹線の上限4回通過確認のために、東海道線や名古屋近郊を中心とする多くの自動改札機設置駅で、有人改札口しか通過できないままにするのは再考の余地があります。
全国エリアの青春18きっぷが自動改札機通過可能に変えたならば、JR東海エリア地区に特定される「乗り鉄きっぷ」は、JR東海区間はもとより、自動改札機を備えた私鉄にあっても通過可能にしていく必要があると思います。
ひとまず、16私鉄に先駆けてJR東海の自動改札機導入駅は通過可能にすることが望まれます。
「乗り鉄きっぷ」が東海道新幹線での4回までの利用回数チェックのために、JR東海の全駅で有人改札口通過限定にするのは不合理であり、自動改札口を通過するにはどうしたらよいかを考える発想が必要ではないでしょうか。
具体的には、以下のような複数の考え方、方法があるかと思います。
① 東海道新幹線で、特急券と「乗り鉄きっぷ」が一体、有効であれば自動改札機を通過できる前提で、4回の乗車回数制限をなくす方法
② 東海道新幹線の乗車回数制限をなくす代わりに「乗り鉄きっぷ」価格を値上げする方法
③ 東海道新幹線をフリー区間から除き、「乗り鉄きっぷ」価格は現状のままとする方法
④ 東海道新幹線をフリー区間から除く代わりに、「乗り鉄きっぷ」価格を値下げする方法
その判断は、「乗り鉄きっぷ」での東海道新幹線利用率がどの程度か、利用区間は熱海-米原の最大区間なのか、100~150キロ前後の区間なのか、新大阪や東京への乗り越し精算による利用が多いのかどうかにもよると思います。
「乗り鉄きっぷ」は、16私鉄まで含めた画期的な切符であり、JR東海は自社及び16私鉄の収入確保の確実性を前提に、利用者への配慮も願いたいと思います。
いずれにしても、全国での青春18きっぷの自動改札機通過が始まれば、連続2日間のJR東海特定の「乗り鉄きっぷ」の自動改札機通過の声が出てくるのは必須です。
甲府、国府津、辰野、塩尻、猪谷、新宮でも「乗り鉄きっぷ」発売を
併せて甲府、国府津、辰野、塩尻、猪谷、新宮の各駅、自動券売機での発売も望みたいところです。
小田原や湘南付近の旅客が、御殿場線入口の国府津で、また中央線甲府周辺の旅客が身延線入口の甲府で「乗り鉄きっぷ」を購入できないのは不便であるとともに、JR東海にとっても損失であり、JR東日本との調整を望みたいところです。
今後の改善を期待します。
(※ 筆記にあたり、旅行総合研究所タビリス、2021年11月4日付け、「『JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ』の研究。私鉄乗り歩きに最適」の記事を参考にさせていただきました。)