首都圏8社のQR乗車券導入安定後は他私鉄、東海道・山陽新幹線へも普及拡大を
首都圏の鉄道8社(JR東日本、京成、新京成、北総、京急、東武、西武、東京モノレール)の連名で、2024年5月29日付けで「鉄道事業者 8 社による磁気乗車券から QR コードを使用した乗車券への置き換えについて」のニュースリリースがありました。
駅の自動改札機、自動券売機等の機器の、磁気乗車券用機構の複雑さ・鉄道固有の専門性の高さが伴うこと、磁気乗車券が金属を含むためリサイクルにあたり磁気層の分離・廃棄が必要なこと、磁気乗車券を自動改札機投入時に機器の不具合による券詰まりなどの課題解決策として、QRコードをかざす方式に切り替える趣旨です。
券詰まりトラブルが伴う磁気乗車券に対し、券を差し込まないQR乗車券が勝ることは明らかです。
スマホ、QRコードに慣れていない人でも、自動券売機で購入でき、券面に乗車駅や運賃情報が明示される点で、QR乗車券に違和感はないと思われます。
今回は、QR乗車券で気になる点と今後期待することについて触れたいと思います。
JR東日本の自動改札機でQR乗車券を中長距離用切符挿入口に入れない工夫を
読売新聞記事、2024年5月29日付け「JR東や西武など首都圏鉄道8社、乗車券を順次QR式に…改札機のメンテナンス性高める」から、一部を引用させていただきます。
(以下引用)
磁気式切符をすぐに廃止するかどうかは、各社で濃淡がある。東武は将来的に全廃する方針だ。JR東は、近距離路線では廃止するが、新幹線や特急などでは残す見通しだ。改札機の整備にかかるコストや、乗り入れ先の鉄道との互換性といった課題がある。
(以上引用)
JR東日本を除いた私鉄7社の場合は、地下鉄を含め、相互乗り入れ区間全体においても乗降対象区間エリアは一定の限られた範囲のため、磁気乗車券からQR乗車券への移行はしやすいと思われます。
相互乗り入れを行なっている東京メトロ、都営地下鉄、小田急、東急、京王、東京臨海高速鉄道などでも今後のQR乗車券への参画が期待されます。
一方、JR東日本の場合は、自社路線エリアの広さと他のJR会社との関連で、私鉄のようにはいかないと思われます。
JR東日本は中・長距離の乗車、東京近郊区間外での乗降、他のJR路線区間での乗降も考慮の必要があるため、自動券売機や自動改札機で磁気乗車券対応を残さざるを得ないためです。
ひとまずJR東日本は2026年度末からの導入に際し、東京近郊区間の自社エリアの中での普通列車乗車を対象とし、新幹線と特急については磁気乗車券で継続と思われます。
自動改札機においては、磁気乗車券用挿入口に、QR乗車券を差し込んでしまうことが考えられます。
誤ってQR乗車券を入れた場合、瞬時に差込口に戻る仕組みがまず必要です。
自動改札機の配列順序として、QRコード画面、IC乗車券画面の奥側に磁気乗車券挿入口を設けた方が、QR乗車券の誤入は防げます。
ただし皆無にするには限度があります。
QR乗車券は自動改札機にかざすことが定着するまで、自動改札機側では「QR乗車券はこちらへかざして」というような、切符のイラスト付きの掲示や音声案内、導入当初は乗降の多い駅での係員配置等が必要と思われます。
QR乗車券は自動改札機画面にかざかざすという特性ゆえ、乗車券コピーによる複製使用を不可とする判別するシステムが必要です。
また、ICカード同様、入場記録がない場合には出場不可とする仕組みも必要と考えます。
QR乗車券で自動改札機を出る際は、QRコード画面にかざした後、回収箱に入れる方法となりますが、持ち帰りや途中でのポイ捨ても考えられます。
回収箱は、QR乗車券だけが差し込める投入口サイズが望まれます。
こちらについても掲示や温泉の案内、乗降の多い駅での係員配置が一定期間は必要かと思われます。
東京発着の新幹線へのQR乗車券化を
JR東日本においてはまず同社管内相互間でのQR乗車券の普及定着が第一ですが、それが安定化後、次の段階として自社の東北・上越・山形・秋田新幹線と、北陸新幹線上越妙高までのQR対応が望まれます。
首都圏在来線特急も同時並行が求められます。
その次の段階としてJR西日本、JR東海との新幹線での乗降を可能にすることが望まれます。
とくに東海道・山陽新幹線は、乗降客が多いゆえ、自動改札機での券詰まりは混雑と混乱が大きくなり、QR乗車券化による乗降の迅速性、円滑性は大きな効果があります。
また、東海道線熱海以西のJR東海区間では最低限、沼津までQR乗車券での乗降を可能にしてほしいと思います。
多くの利用者の利便性や自動改札機通過の確実性向上のため、JR東海とJR西日本にもQR乗車券対応について前向きに進められることを望みます。
(※ 筆記にあたり、2024年5月29日付け、読売新聞「JR東や西武など首都圏鉄道8社、乗車券を順次QR式に…改札機のメンテナンス性高める」から一部を引用及び参考にさせていただきました。)