平行普通列車

常磐線と京成松戸線に魅せられた者のブログです

JR東日本「オフピーク定期券」が伸びない背景と今後を考える

オフピーク定期券と通常定期券の金額差、通常運賃乗車時の利用上限をみてみました
旅行総合研究所タビリス、2025年5月1日付け「JR東日本オフピーク定期券』伸び悩み。値下げも購入率8.9%、目標17%に遠く及ばず」を拝読しました。

オフピーク定期券が、JR東日本で見込んだほど伸びなかった状況に触れた内容です。

記事の一部を引用させていただきます。

 

(以下引用)

JR東日本によれば、月3~4回程度、ピーク時に利用する程度なら、オフピーク定期券のほうが割安になるそうです。

JR東日本では、「通勤手当を抑制し、会社の経費節減につながる」とPRしています。しかし、オンピーク利用の出勤時に精算の手間が生じることもあり、導入企業は広がりを欠いているようです。 

~中略~

個人としてサラリーマンが購入するケースでも、オフピーク定期券が発売されたからといって、通勤時間をずらせる人は限られています。割引率を高めても、そういう人が増えるわけではありません。

~中略~

そもそも、いまオフピーク定期券を使っている人の多くは、「もとからオフピークに利用していた人」の可能性があります。オフピーク定期券の導入により、どれだけピーク時の利用者が減少したか、はっきりした数字は示されていません。

まとめると、オフピーク定期券の導入は、興味深い試みでしたが、想定ほどはうまくいかなかったように見受けられます。

(以上引用)

 

オフピーク定期券と通常定期券の金額差と、通常運賃で乗車時の利用上限回数をみる

オフピーク定期券を購入したものの、オンピーク時間帯で乗らざるを得ないとなった時、JR東日本の説明のような4回までならオフピーク定期券の方が得なのか、状況を見てみたいと思います。

なお、オフピーク定期券・通常定期券は、いずれも1カ月での金額です。

                                  (単位:円)

乗車キロ オフピーク定期 通常定期 オフピーク安価額 通常運賃

1~3km   3,630    4,280     650     150

4~6km   4,470    5,280     810     170

7~10km   4,750    5,620     870     180

11~15km   5,870    6,950     1,080     230

16~20km   8,110    9,620     1,510        320

21~25km    10,350     12,290     1,940          410

 

オフピーク定期券で通常運賃負担で乗れる上限は4回まで

以上により、オフピーク定期券購入後、オンピーク時に通常運賃で乗っても通常定期券よりも安価になるのは、いずれも上限4回まででした。

月に5回以上、オンピークの通常運賃で乗ることはないだろうという確信が持てるなら、オフピーク定期券の方が安いとは言えます。

 

毎週土曜・休日出勤、平日2日間休みの人には有利になるオフピーク定期券のPRを

また、土曜・休日は時間帯に関係なく終日利用できることから、毎週土曜・休日出勤で、平日中の2日間は勤務無しという人にとっては、オフピーク定期券は平日勤務の人よりは選びやすい環境ということも言えます。

その辺は、JR東日本もPRしてもよいように思います。

 

オフピーク定期券」が伸びない背景に何があるか?

記事の中で指摘されているように、「オンピーク利用の出勤時に精算の手間が生じること」「オフピーク定期券を使っている人の多くは、「もとからオフピークに利用していた人」」ということになろうかと思います。

オンピークの時間帯に乗車変更の場合、通常の運賃が必要となります。

通勤距離が長く、通常運賃の額が大きいほど、またオンピーク変更の回数が多くなるほど、オフピーク定期券でなく通常定期券ということになってきます。

 

「月3~4回程度、ピーク時に利用する程度なら、オフピーク定期券のほうが割安」に、実際になるかどうかは、月3~4回程度までで済むかどうかによります。

その回数が多くなっていくと、通常の追加運賃が通常定期券の設定金額に近づき、場合によっては足が出てしまい、最初から通常定期券にした方がよかったということにもなりそうです。

 

「オンピーク利用の出勤時に精算の手間が生じることも」については、時間外出勤命令により、事業所側が精算を認めてくれるかどうかの先決課題があります。

本人の勝手、自己都合と判断され、精算できない、または精算行為自体を自粛、見送るケースも現実としてはあるかもしれません。

 

また、私的なオンピーク利用ならば最初から自己負担なので、いずれにしてもオンピーク回数がある程度見込まれるなら、通常定期券に傾いてきます。

 

オフピーク定期券自体の見直しを

オフピーク定期券を、通常の定期券よりももっと安くする方法だけでは限りがあります。

オンピークの時間帯を狭めて王ピーク定期券拡大を狙うことは、オフピーク定期券の設定趣旨からして本末転倒です。

 

オフピーク定期券の登場によって、通勤時間をずらせる利用者の需要拡大が困難なことを裏づけた結果になりそうです。

JR東日本としては、オフピーク定期券を設定した以上、直ちにオフピーク定期券自体を見直すには早すぎるという考えかと思われます。

 

しかしながら今後とも、価格やポイント付与等ではオフピーク定期券への変更拡大に限界があること、オンピーク時間帯の縮小はできないこと、オフピーク定期券があろうと無かろうと、そもそも乗車時間をずらせない人が多かったのだろうという点は認めざるを得ないかと思われます。

したがって、オフピーク定期券は、利用が伸びる着実な方法を見出すのは困難であり、時期を見ての企画・設定自体の見直しが必要と考えます。

 

※ 筆記にあたり、旅行総合研究所タビリス、2025年5月1日付け「JR東日本オフピーク定期券』伸び悩み。値下げも購入率8.9%、目標17%に遠く及ばず」から一部を引用及び参考にさせていただきました。