交流普通電車のDC置換傾向の中、JR北海道737系に期待
西九州新幹線武雄温泉-長崎開業により、長崎線肥前浜-長崎間の交流電化設備は撤去となりました。
非電化に戻したのは、長崎への貨物列車がないことや、普通列車は気動車で十分なこと、電化設備の維持管理経費等が理由と思われます。
鉄道財産の電化設備を撤去するのは複雑な思いが残りますが、特急列車、貨物列車があってこその普通列車の電車化とも言えた結果になりました。
肥薩おれんじ鉄道八代ー川内間は、九州新幹線開業により電車から気動車に変わりましたが、こちらは鹿児島への貨物列車があるため電化設備だけは残されました。
交流電化は直流電化に比べて輸送量が少ない区間に採用されるのが基本の電化方式です。
国鉄時代の余剰電車の大半は直流でした。
大手私鉄はすべて直流電車です。
えちごトキめき鉄道は、直流区間の妙高はねうまラインは直流ゆえにJR東日本の電車で継続しましたが、ほとんどが交流区間の日本海ひすいラインでは独自の気動車新製で対応しました。
日本海ひすいラインの場合、電車は交直流型が必要になり、車両が老朽化していたこと、新製するなら輸送量の実態、経済性、1両運転可能な気動車を選びました。
日本海ひすいラインの電化設備は貨物列車が主目的で、貨物列車がなければ極論すれば非電化にしていたかもしれません。
413系・455系交直流電車が観光用に活躍していますが、これは電化設備が残ったことによる活用ともいえます。
羽越線村上-鶴岡間も日本海ひすいラインとほぼ同様の環境で気動車ですが、特急「いなほ」が電車で走る点は異なります。
JR東日本の直流区間でも乗車実績から将来も電車が走るかは一概に言えませんが、大都市圏が直流電車である点は強みです。
交流区間には大都市電車の転用に難しい点があります。
直流電車は1両でも走れますが、交流電車は2両編成が最小限なのも痛手です。
IGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道の盛岡-青森間、奥羽線新庄-秋田-青森間、羽越線鶴岡-秋田間の701系は今後、どうなるでしょうか。
交流型最新電車の投入、E721系又は製造年の新しい701系で置き換えればよいのですが、乗車実績等からは厳しい面もありそうです。
交流電車の新製が厳しいならば肥薩おれんじ鉄道、長崎線長崎側、えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン同様、気動車の可能性があるかもしれません。
そんな中で、2023年春からJR北海道が室蘭-苫小牧で737系交流電車を投入するニュースがありました。
積極的に電化設備が活用されているとは言えない室蘭-苫小牧間で、気動車を電車に置き換え、積極的に電化を生かす選択に拍手したいと思います。
電化を生かした新製電車投入が他の交流電化路線にも波及してくれることを期待します。
※写真は本文と無関係です。